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■むすめ04『忙しいパパに尽くす心配性なむすめ』
■01
お帰りなさいパパ。
今日も一日お疲れ様でし……え?
うん、そろそろかなと思って。
最近、このくらいの時間になることが多いでしょ?
……私?
大丈夫よ、もう少ししたら寝るわ。
いいんだってば、さっきまで宿題してたし……それより、お夕飯は食べた?
もう遅いけど、お腹空いてるなら胃に優しいもの作るわよ?
……は~い。
それじゃ、お風呂入っちゃって?
ふんふふんふふ~♪
……え?
何言ってるのよ、迷惑だなんて考えたこともないわ。
このくらいの時間、夜更かしって言うほどでもないし。
お料理するの好きだし、得意だしね。
それに、パパが頑張ってお仕事してくれているから、こうしてお料理できるのよ?
食材を買うのにも、料理道具を買うのにもお金が要るんだから……もっと?
うぅん、十分あるから。
あんまり大金持ち過ぎてたら怖いからいいわ。
私とパパが食べていくだけなら、もう十分過ぎるほどあるでしょ、お金……だ、だからね?
そんなに根を詰めて働かなくてもいいんじゃ。
ご、ごめんなさい。
お仕事のことに口挟んじゃいけないわよね……うぅん、ごめんなさい。
でも私、お父さんのことが心配だから……毎日毎日、朝早くからこんなに遅くまで働いて……。
体の方は大丈夫?
どこも悪くしてないわよね?
……嫌よ?
パパが疲れて病気になったりしたら、私……私っ……ぐすんっ……そうよ。
二人きりの家族なんだから……ぐすん……。
あっ、ごめんなさい。
パパを困らせたいわけじゃないのっ……うん、大丈夫。
私は平気よ。
それじゃ、お夕飯作っておくからお風呂入っちゃって。
いつもみたいに烏の行水じゃ駄目よ?
ゆっくり浸かって、体の疲れを癒してね♪
……あっ、そうだ!
大切なこと忘れてたわ!
……ほら、かがんでかがんでっ……ん~っちゅ♪
大事な大事な、お帰りなさいのキッスよ。
うーん、さっきのキス、ちょっと不自然だったかしら。
ちょっと唇に近すぎた?
うぅん、どうせなら一気に唇にした方がいい?
で、でも、唇はやっぱり唐突よね……驚かせちゃう。
でも、一度しちゃえば、これからずっとしても不自然じゃない、かな?
何気ない振りさえしてれば、私の下心になんて気付かないだろうし……そ、そうよね。
パパってば鈍感だし。
よ、よーしっ。
明日こそお帰りなさいのキスで……うぅん、行ってきますのキスで!
親子の親愛のキッスなら大丈夫。
軽く唇に触れるだけならきっと……きっと大丈夫?
……ごくん。
あ、あれ?
そう言えば、今日は本当にゆっくり入ってるわね。
ちゃんと温まってるかしら……まさか、お風呂で寝ちゃったりしてないわよねぇ……って!
ちょ、ちょっとパパぁ!?
パパ!?
……って、ホントに寝てるーっ!
パパ、パパってば!
ちょっと溺れちゃう……パパってばぁ!
はぁはぁ……何じゃないでしょ?
お風呂で寝たら溺れちゃう!
まったくも~っ……あ……きゃあっ!
み、見てない見てないっ……ちょっとだけしか……ごくんっ……な、なんで勃起してるのよぉ……えぇ?
べ、別にいいわよ……うん、大丈夫。
それよりっ、いくら疲れてるからってお風呂で寝ちゃうとか駄目でしょ?
こんなことじゃ、心配で待ってられないわ……あ、そうだわ。
これはもう、毎日一緒にお風呂に入るしか……。
え?
……やぁね、こんなことでパパを嫌いになったりするはずないでしょ?
本当よ……パパを見捨てたりなんてしないわ、絶対にない!
私は本当に、パパのことが大好きだもの。
大好き……大好きよ♪
……ん~っちゅ!
だから、余計な心配しないでいいの。
ママみたいに、パパを置いていったりしないからね……と言うか、むしろ私の方が心配しっぱなしよっ。
……でしょう?
そうよ、毎日パパのことばっかり考えてるの。
ふふっ、まるで私の方が、パパのお母さんみたいね?
それとも……妻、とか?
うん、そうかも……そう思わない?
だから、私がパパの奥さんみたいっていうことっ。
え……だ、だったら、こんなことで心配させないでよね?
……私は、いいのに……いつだって、パパの妻になれるのに……。