導入
[2 - 導入]
あら、いらっしゃい…
ほら、突っ立ってないで早く入ればいいじゃないですか…
入って来ないなら鍵掛けちゃいますよ
あ、そういえば私の部屋へ来るのは久しぶりでしたよね
今日はたっぷり癒してあげますから
覚悟してくださいね
そうそう、この部屋でのルールは覚えてますか?
あら、覚えてないなんていけない子ですね
仕方ない、復習も兼ねてもう一度説明してあげましょう
この部屋はとある昔、催眠術師が実験に使っていたと言われています
あなたはこの空間では眠りにつきやすい
何故かというと、この部屋の独特な匂いは眠気を誘発する効果を持っているからです
横になればすぐ眠くなってしまう
でも眠らないでください、それがルール
私はあなたの横で色々な言葉を浴びせます
これでもかというくらい眠くなるような言葉を
つまりは眠気との戦い
もしそれに耐えられたら、ご褒美が待ってますから
楽しみにしてください
それでは始めますよ、私の指示に従ってください
そこに椅子がありますね、座ってください
あと、このヘッドホンを付けてください
なんでこんなに近くにいるのにヘッドホンが必要なのか?
それはここも完全な密室ではなくて、外の騒音が少し聞こえてくることがあるからです
私の声は、その携帯プレーヤーを通して無線で聞くことができます
私の声だけを、集中して聞くことができます
さぁ、腰掛けてください
後ろから失礼…
あら、肩こってますね、働きすぎなんじゃないですか?
ちょっとマッサージしてあげますね
サービスですよ♡
モミモミ、あ、この辺りが特にこってる
モミモミ、モミモミ
ついでに叩いてみましょう
肩たたきしてあげます
とととととっと、よいしょっと
もう一回、ととととととっと…
なんですか?そのお婆ちゃんみたいな目は
くつろぎすぎててムカつきます、肩グリグリしちゃいますよ
ほれ、ほれほれ
うふふ、痛がってる…
調子乗るとそうなりますからね
肩もほぐれたところで一度両腕をぐるぐる回してみましょう
はい、ぐーるぐるっ
そう、今度は反対方向に…ぐーるぐるっ
次はお祈りをするような感じで両手を合わせてください
ひじは手から90度になるように
そのまま力を入れてみてください
腕と肩に力が入りますね
はい、リラックス
次は首の運動をしてみましょう。
首を前に倒して
後ろに倒して
次は右に…
反対の左に倒してください
最後に首をぐるっと回しますよ
まずは時計回りに一回
その次に逆にぐるっと回して…
はい、これで上半身はほぐれたはずです
それじゃあ今からあなたの頭を落ち着かせてみます
まず背筋から首をまっすぐにして、目を閉じてください
安心して、私が後ろから頭をおさえて誘導してあげますから…
腰を軸にして、首は曲げずにそのまま直立した状態にして下さい
私の手の動きに合わせて円を描くように動きます
さっきほど首を倒さずに体がまっすぐなまま回していきます
そう、遠心力に任せるように
上半身全体を倒しながら、ゆっくり回していきます
前へ…右へ…後ろへ…左へ
ゆっくりと…ぐーるぐる…ぐーるぐる…
そう、私の手の動きの通りにしてればいいんです
こうやって回していると頭がぼーっとしてきます
あなたの頭の中は真っ白…
今度は逆方向に回しましょう
遠心力に任せるように前へ…左へ…後ろへ…右へ
ぐるぐる回しているうちに、だんだん色んな色の景色が見えてきます
見えてきましたか?秋の紅葉の景色が…
ほら、真っ赤に染まった木々があなたの心を落ち着かせます
また逆方向に回します。前へ…右へ…後ろへ…左へ
日が暮れて、夕焼けの光が景色をオレンジ色へ変えていきます
綺麗ですね、自然の美しさはこの世の宝ですから
今度は砂漠が見えてきましたよ、周りは黄色に染まってます
気温は暑い。喉が渇いて水が飲みたい、飲みたいですよね?
さぁ、逆方向に回しましょう
遠心力に任せるように前へ…左へ…後ろへ…右へ
景色は緑に変化します。そう、ここは森の中
空気が美味しい。生き物が住むにふさわしい場所
あ、近くに池がありますね、喉を潤すといいですよ
覗き込むと見える透き通った綺麗な水。大丈夫、飲んでみてください
ほら、水がおいしい
そして見てください
日の光が木の葉のすき間から降り注ぐように地面まで届いてる
あなたは落ち着いている
心の目を閉じてください
真っ暗になりましたね、じゃあ心の目を開いてください
景色が変わって今度は夜になりました
あら、なにやら波の音がしますよ
行ってみましょう
ほら、一面に拡がる蒼い海、綺麗ですね
月の光がやさしく海を輝かせています
なんてロマンチックなんでしょう
ここで上半身を回すのを止めてください
ここからさらに集中しましょうね
夜はどんどん暗くなっていきます
時間は過ぎて、ほんの少し光が差した時、周りは紫色に染まっています
あなたはこのまま眠くなる
意識がどんどん遠のいていく
眠りたいですよね、椅子に座ったままじゃぎこちない
じゃあ横になる準備をしましょう
何故準備が必要かというと、せっかくこんなに落ち着けたのに
今やみくもに動いてしまうと催眠状態が解けてしまいます
だから身体にこの状態を覚えさせて、ベッドに移っている最中も催眠状態を維持させます
いいですか?
暗示で今の催眠状態を身体に記憶させますよ
記憶させる場所は左手、
親指と人差し指をくっつけてください
そう、OKサインのような形です
そして私の言葉を繰り返してください
「あなたは親指と人差し指を合わせている時、催眠状態になる」
はい、もう一度。
「あなたは親指と人差し指を合わせている時、催眠状態になる」
よし、いいですよ
親指と人差し指を合わせてオーの形を作ったまま、あっちのベッドに移ってください
ほら、目を開けてもいいですから
さっきの暗示がある限り、あなたは催眠状態を維持できます
あれ、ちょっとふらふらしてる。ベッドはそっちですよ。ほら、私の手を握って
(5秒の空白)
横になりましたね、それじゃあ目を閉じてください。左手のOKサインは解いてもいいですよ、普通にしててください
さっきは上半身をリラックスさせましたね、今度は下半身をリラックスさせましょう
太ももから下に力を入れてください
そう、つま先まで満遍なくです
3
2
1
はい、リラックスして
体全体の力が抜けていく
何かを吸い取られるみたいに
あなたは眠りの世界へいざなわれる
安らかな時間。保証された安眠
あなたはどんどん眠くなっていく
もう力が出ない。意識も体も空っぽの空洞のようになる
目の前は真っ暗
私の声は聞こえているけど、もう聞こえなくなるかもしれない
今から数字を数えます
100からゼロまでゆっくりと
その間、あなたは眠気に耐えられるでしょうか
もし耐えたら、うふふ♡ご褒美あげちゃいます
数えてる間、時々目線を左斜め上に持っていってみてください
目に軽いけいれんが起こると思いますけど
それは脳波を下げる効果があるので覚えておいてくださいね
それではカウントダウンを始めます
100
99
98
97
96
95
94
93
92
91
90
89
88
87
86
85
84
83
82
81
80
79
78
77
76
75
74
73
72
71
70
69
68
67
65
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63
62
61
60
59
58
57
56
55
54
53
52
51
50
49
48
47
46
45
44
43
42
41
40
39
38
37
36
35
34
33
32
31
30
29
28
27
26
25
24
23
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21
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
(10秒の空白)