Track 6

拝み倒す

 は? 素股?  ふとももでオチンポを挟んでヘコヘコするアレですか?  そうですね……鋼のグリーブを脚に付けた状態でよければやってあげますよ。  痛いのは嫌なんですか? もっとマゾっ気磨いてくださいよ。  うーん……ズボン穿いたままでいいですか。  ……それも嫌なんですか。じゃあ諦めてください。  いくら頼まれてもやりませんよ。  大体、なんで素股なんですか。  どうせならもっとストレートに言ったらどうですか。  チンポをマンコに挿れさせてくれって言えばいいじゃないですか。  んー? オマンコに挿れたい訳じゃなくて、ただ肌に触れて体を抱き締めたいだけなんですか?  如何にも童貞って感じの願望ですね。  じゃあ裸で抱き合えばいいのに、おまけに素股を要求してくるとこがなんかヤです。  結局オチンポを気持ちよくしたいだけなんじゃないですか?  ……はぁ、そこは認めるんですか。  本番にしろ素股にしろ、とにかく肌を触れ合わせるのは嫌です。  まだ食い下がりますか。今日はなかなかしつこいですね。  ……そんなに私の体を抱きたいんですか?  ……うーん……やっぱり嫌です。  断る理由?  そんなの、あなたが童貞だからに決まってるじゃないですか。  童貞に女体なんて抱かせたらショックが大きすぎて即死ですよ。運良く命が助かっても三日三晩は寝込みますね。  知らなかったんですか? 抱く前に知れて良かったですね。  だから抱くのは諦めてください。私、人殺しにはなりたくないんで。  そんなに溜まってるなら手で抜いてあげますよ。今日は好きなだけ抜いてあげますから、それで我慢してください。  ……どうしても素股じゃなきゃ嫌なんですか? 素股の何がそんなにいいんですか。  はぁ? 二人で性器を擦り合わせて一緒に気持ちよくなりたいんですか?  なるほど……それはなかなか気持ち悪い願望ですね。  私は別に性的な快感なんて欲してないんですけど。  あなたは単に、私がヨガってる姿をオカズにしたいだけでしょ。フェミニストの皮を被った変態ですね。  っていうか、素股の快感なんてタカが知れてるんじゃないですか。  挿入した方がお互いもっと快感を得られると思いますけど。  ……もしかして、私が処女だから気を遣ってるんですか?  破瓜の痛みを味わわせたくないとか?  んー? 私が苦しむ姿を見たくないって?  いや、こうやって素股を迫られてることが既に苦痛なんですけど。  童貞のくせにそんなこと気にしないでくださいよ。ホントは血を見るのが怖いだけでしょ。  ……まさか、本気で惚れたんですか?  だったら素股の前に、私に言うべきことがあるんじゃないですかね~? んー?  ……うわ、キモ。腐ったケーキみたいなセリフ。  恋愛経験のない童貞に言い寄られたところで、何も嬉しくありませんね。吐き気を催します。  私の気分が悪化しきる前にとっととお帰りください。  それ以上気持ち悪いことを言うと本当に吐きますよ。直接飲みますか?  ……私のなら本当に飲めるんですか。ふぅん……別に飲んで欲しくありませんけど。  痛いのは嫌だけど汚いのは平気なんですか?  ん……私のなら汚くないんですか。……まぁ、そうですね。  じゃあ、試しに、この店の武器であなたを斬りつけてみてもいいですか?  私にやられるなら痛くないかもしれませんよ。  ……何を迷ってんですか。痛くないわけがないでしょうが。  誰がどういうやり方でやろうが痛いものは痛いし、汚いものは汚いんですよ。  ……素股するなら……私が服を脱がないと……気持ちよくありませんよね。  脱いだところで、こんな傷だらけの体じゃ、気持ちよくなれないかもしれませんけど。  こういう感じの体を見るのは……初めてですよね?  ……ですよね。まぁ……だから、あんまり見せたくなかったんです。  ……今日はこれでお開きにしましょうか。  まあ、気が向いたらまた武器を買いに来てください。  大丈夫ですよ。普通に接客しますんで。  ……なんですか? 安い同情は無用ですよ。うち、安物は取り扱ってませんから。  ちょ、やめ……うわっ、キモッ、傷痕舐めないでくださいよ。  何かやるにしても、もっと他にあるでしょうが。  無言で舐められるとか嫌過ぎるんですけど。  ……いつまで舐めてんですか。きっしょ。  言っときますけど、冗談じゃなくて本気でキモいですよ。私、心の底から気持ち悪がってますよ。  はぁ……もういいです。分かりましたからペロペロしないでください。  ……あなた、たぶん一生童貞ですよ。  ……ねえ、ホントにこんなのでいいんですか?  ……勃起してる。最悪。  はぁ……本気で惚れられちゃったみたいですね。  ま、仕方ないですね。私、可愛いから。  あんまりジロジロ見ないでください。もう服着ます。  ……素股? まだ素股してあげるとは言ってませんけど?  あなたがよくても、私は嫌です。  素股したいならもっと誠心誠意お願いしてくださいよ。  ……そういえば、せっかく私の名前教えてあげたのに、全然名前で呼びませんよね。  まあ、二人っきりだと相手の名前を呼ぶ必要なんてないんですけど、お願いする時ぐらいちゃんと名前で呼んだらどうですか?  ほら、「エリシャ」って呼んでみなさいよ。  ……様を付けなさいよ。  っていうか、なんで名前呼んだぐらいで照れてんですか。裸見ても照れなかったくせに。  ねえ、土下座しながらもう一回名前呼んでくださいよ。そしたら素股させてあげる……かも?  ……声が裏返ってますよ。  なんなんですか? 名前呼ぶぐらい、別にどうってことないでしょうが。  こんなんで恥ずかしがるとか、訳分かんない。  ……はぁ? あなたの名前も呼んで欲しいんですか?  あなたの名前、なんでしたっけ。忘れちゃいました。  「ゴミクズ」とかそういう感じの名前でしたっけ?  あ、思い出しました。「道端にへばりついたガム」だ。  道端にへばりついたガムさん、こんにちは。  っていうか、なんで私があなたの名前を呼ばなきゃなんないんですか。  私はお願いされる立場なんですけど?  これ以上変な要求をするなら、素股のお願いも聞いてあげませんよ。  ……ふーん……そんなにしたいんだ。そんなに私の股にオチンポ挟んで腰ヘコヘコしたいんだ。  ……そうですねぇ、そこまで言うならやってあげても構いませんけど……ひとつ条件があります。  ……私を山の向こうまで連れてってください。  危険は承知の上です。私だって、自分のとこで売ってる武器の握り方と振り方ぐらいは知ってます。  あと、いくらか貯えもあります。  このお金を全部あなたにあげます。これで装備を整えてください。  店のお金じゃありませんよ。私が働いて私が貯めたお金です。  大丈夫です。私が山に登ってどういう結果になったとしても、あなたに責任を押しつけたりしません。  私のことは全部私が責任を負います。  条件、飲んで貰えますね? (トラック07へ続く)