Track 2

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c添い寝

 ん? ふふ……そっか、このまま甘えていたいんだね?  いいよ、ほら、いい子いい子してあげる。よしよし……。  たくさん甘えていいからね。このまま、私の胸に顔をうずめて、ぼんやり、ぼんやーりしてればいいよ。  こうしていると……頭の中がどんどん白く、それとも暗く……考えていることがぼやけていくよね。  自分の頭の中で生まれる言葉の意味が、だんだん分からなくなっていく……。  分かるのは、私の言葉だけ。この世界で頼りにできるのは、私の言葉だけ。  ……ううん、この世界では、私の言葉さえ聞いていれば、それでいいの。  なんにも自分で考えない……考えるのってめんどうくさい。  私の言葉に従うの……従っていれば気持ち良くなれるから。  ふわふわって、頭の中にワタが詰まっているみたい。ふわふわ、ふわふわ……。  ふふふ……どんどん、自分で考える力が無くなっていく。  ほら、だからもっと私に甘えて。ぎゅーって、しがみついていなさい。  それもできないなら、もう、ただ寝ているだけでもいいよ。私が抱きしめてあげる。  ……幸せ? 自分で何にもしなくていいの。なんにも考えなくていいの。全部私が決めてあげる。  幸せでしょ? ふふ……決めるのはお兄ちゃんじゃないよ。私が幸せって言ったら、幸せなの。  私が幸せって言うたびに、お兄ちゃんはますます頭がしびれて、なにも考えなくなる……私に甘えるだけの、お人形。  私の言葉通りに、お兄ちゃんの気持ちは染まっていく。  ほら……幸せ。ふふ、頭の中に、ぽわってしみていく……私の言葉が……幸せが……。  あ、また幸せになっちゃったね……あ、またまた、幸せって言葉がお兄ちゃんの頭にしみていく。  ふふ……気持ちいい? とーっても、幸せ、だよね? もっともっと幸せにして欲しい? じゃーあ、いっぱい幸せにしてあげる。  幸せ……ふふ、幸せだね……女の子に抱っこしてもらって、幸せ……あたまをいい子いい子されて、幸せ……とーっても気持ち良くて、幸せなのが、幸せ……。  ふふ……まるでとろけちゃいそう……幸せって言葉に、溺れてしまいそう……。  あれれ? なんでお兄ちゃんはそんなに幸せなの? 思い出せない? じゃあ、私が教えてあげる。  お兄ちゃんは今、年下の女の子に甘やかされてるの。年下の女の子に甘やかされるのが、心ががとろけるくらい幸せ。  どうしてだか、わかる?  これって、とっても恥ずかしい事だから。男の子が、自分より年下の子に甘やかされるなんて、とっても恥ずかしい事だから。  だから、そんな恥ずかしい自分を受け入れてもらえるのが、幸せ。恥ずかしくって、幸せ。  ふふ……でも、ね? やっぱり、本当は恥ずかしい事だよね? こんなの、誰かに知られたら、きっとお兄ちゃんは恥ずかしくて顔も見せられないよ。  それに……ふふ、私に、可愛い、なんて思われてるのも、やっぱりホントは、恥ずかしい事。だよね、恥ずかしいよね?  ふふ、ほら、どんどん恥ずかしくなるよ。恥ずかしいよね、恥ずかしいね?  恥ずかしいって言われるたびに、頭の奥がキューって熱くなるよ  ふふ、もっともっと甘えてごらん? お顔を、ぎゅーって私の胸に隠してごらん? だって恥ずかしいもん。  甘やかされて、とろけちゃってる顔、見られるのは恥ずかしい。恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい……頭の中がどんどん熱くなる。恥ずかしさで、熱くなる。  ふふ……でも、私はそんな、恥ずかしいお兄ちゃんが好き。  お兄ちゃんがそんな恥ずかしい顔してると、とっても幸せ。  お兄ちゃんが恥ずかしいと、私は幸せ。私が幸せだと、お兄ちゃんも幸せ。  ほら、頭の中の、恥ずかしい熱がとろけて……ぽわぁって、あったかくなる。頭の中が、白く、それとも黒く、あるいはピンクに染まっていく。  ふふ……だからとっても幸せ。私に甘える事が、とってもとっても幸せなの。  恥ずかしかった? イジワルしてごめんね? でも、私にイジワルされるのも、とっても幸せでしょ?  ふふ……幸せ……幸せで、幸せ……幸せなのが、幸せ……私とこうしている事が、幸せ……私とこうしてるだけで、幸せ……。  もう、なんにも考えられない……頭の中が、ぼんやり、ぼんやりしていく……幸せで、ぼんやりぼやけてく……。  ふふ、よしよし……朝まで、ずぅっとこうしていようね。お兄ちゃんが気持ち良く眠れるように、そばにいてあげる。  なんにも心配いらないよ。私に任せていれば大丈夫。  さあ、また明日になったら、男の子を頑張れるように、私が秘密の魔法をかけてあげる。  多分お兄ちゃんには、聞こえても、理解できない。もしかしたら、聞こえないかもしれない。  聞こえないふりでも、わからないふりでもいいから、ただこうして、甘えながら聞いていてね。  お兄ちゃんは、朝になると、すっきりと気持ちよく目を覚ますことができます。  そのときには、私がかけた暗示は、もう力を失っています。  お兄ちゃんの意識は、お兄ちゃんのモノ。これは、アナタの願望を反映した、ひとときの夢です。  でも、寂しくないよ、またいつでも会えるし……これから、目覚めるまでずっと、この心地よさを、感じていることができます。  そして目覚めたとき……すっきりと気持ち良く、すがすがしい自身に満ち溢れた気持ちで、目覚める事が出来ます。  ……ふふ、お待たせ、お兄ちゃん。  ううん、なんでもないよ……分からなくてもいいの。目が覚めたら、すっきり気持ちよくおきられるってこと。  だから、今は、私の声に包まれながら……ねんねしちゃおうね……。  ……私が、朝までずーっと抱っこしていてあげる。  ほら、甘えん坊さんがぐっすり眠れるように、羊さんを数えてあげるね。  羊が1匹……羊が2匹……。  ほら、閉じているまぶたがどんどん重くなっていくよ?  羊が3匹……羊が4匹……羊が5匹……羊が6匹……。  まぶたがとろーん、重くなる……くっついて、離れなくなる。  羊が7匹……羊が8匹……羊が9匹……。  意識がとろーり、とけていく……。  羊が10匹……羊が11……羊が12……羊が13……羊が14……。  体がとろん、と重くなる……。  羊が15……羊が16……羊が17……羊が18……。  意味の無い言葉に、考える力が奪われていく……。  羊が19……羊が20……羊が21……羊が22……羊が23……。  声を聞いているだけの集中力も、無くなっていく……。  羊が24……羊が25……羊が26……羊が27……羊が28……羊が29……羊が30……  大丈夫、聞いていなくてもいいよ。ただ、私の声が右から左へ……頭の中を通っていくのが、気持いい……。  羊が31……羊が32……羊が33……羊が34……羊が35……羊が36……。  ……もう何も考えず、ただ心地いいまま、意識を失うの……。  安心して……私がそばにいてあげる……。  羊が37……羊が38……羊が39……  さあ、あとはもう、ずぅっと羊さんを数えててあげるから……寝ちゃいさない……おやすみ……くすっ。  羊が40……羊が41……羊が42……羊が43……羊が44……羊が45……羊が46……羊が47……羊が48……羊が49……。  羊が50……羊が51……羊が52……羊が53……羊が54……羊が55……羊が56……羊が57……羊が58……羊が59……。  羊が60……羊が61……羊が62……羊が63……羊が64……羊が65……羊が66……羊が67……羊が68……羊が69……。  羊が70……羊が71……羊が72……羊が73……羊が74……羊が75……羊が76……羊が77……羊が78……羊が79……。  羊が80……羊が81……羊が82……羊が83……羊が84……羊が85……羊が86……羊が87……羊が88……羊が89……。  羊が90……羊が91……羊が92……羊が93……羊が94……羊が95……羊が96……羊が97……羊が98……羊が99……。  羊が……ひゃーく。  ……おやすみなさい。ちゅっ。

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