謁見の間~戦況報告
エンプサ 閣下、報告致します。エリアBでは敵軍と交戦の末、わが軍の包囲網は突破され、付近のエリアは完全に制圧されました。
閣下 なにぃっ?馬鹿な!戦力の差は圧倒的な筈だぞ!それだけの戦力を持っていながら敗戦するなど何たる失態か!
エンプサ 申し訳ありません。作戦は順調だったのですが、敵軍に例の…奴が現われてからあっという間に戦局がひっくり返ってしまいまして…
閣下 またかっ!これで何度目だ。毎回たった一人の兵に作戦をメチャクチャにされたんでは話にならんぞ!
ええいっ!ありったけの兵を出してまずアヤツを始末するのだ!懸賞金ならいくらでも出すぞ!
エンプサ 閣下、折角のご提案ですが奴の戦力は規格外です。正攻法では成功率は低いかと…こちらの被害も大きくなってしまうでしょう
閣下 ではどうしろと言うのだ!そう言うからにはお前には何か良い策があるんだろうな
エンプサ はい。どんなに戦闘が強くても、親しい相手にいきなり襲われては攻撃を防ぎきれないでしょう
閣下 ほぅ…つまりだまし討ちか
エンプサ はい、私の部隊はだまし討ち…特に色気で男をたぶらかすスペシャリストが揃っております。今まで我等に狙われて落ちなかった男はいません。
それに、この作戦の為に偵察の者に奴の身辺を徹底的に調査させてあります。奴は幼い頃より修行に明け暮れて育ったため女性との交際経験は皆無です。このような男をたぶらかすのは容易いかと…
閣下 うーむ…
エンプサ さらに、奴は子供の頃母親に対する強い愛情と執着を持っている子供だったそうです。しかし、その母親は奴がまだ幼い頃に病気で亡くなってしまっているのです
閣下 それが…?何だと言うのだ。
エンプサ 母性に餓えているのですよ。今でも母親の話には異常に敏感になるようです。
さらに、我々は母親についても調査済です。見た目は勿論、性格クセ等もすべて真似る事ができます。
エンプサ 愛した母親の面影を持った者が目の前に表れればその姿を母親に投影するでしょう。
一つ一つの言動は強烈に母親の事をを思い出させ、奴の心を奪っていきます。
完全に母性に溺れ、信じきって無防備な姿になれば、どんなに戦闘が強くても関係ありません。簡単にしとめる事が出来るでしょう。
閣下 うーむ…そんなうまくいくかの~?
エンプサ もし、、失敗した場合でも多量の兵を投じて戦う場合と違ってリスクはほとんどありません…
最悪でも作戦に参加した少数の者がやられるのみ…一度是非、私にお任せして頂けませんか?
閣下 ふむ、確かにな…。して、その作戦を実行する者はどいつだ。連れてこい!
エンプサ それは…実は私なのです
閣下 なにーっ!
エンプサ あと一名、手下の者を同行させるつもりですが、この作戦は私が主体で進めようと考えています。
どうか、やらせて頂けませんか?
閣下 うーむ…解った!この件はお前に任せよう!
しかし無茶はするなよ。危うくなったら作戦は中止して戻るように。お前は国のために必用な人材だからな
エンプサ ありがたきお言葉ですが、ご心配なく。
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