エピローグ 肉箱様に消化された私
ストロー状の触手が現れて
体液をすすってゆく
自分がどうなっているのか分からない
気持ちいいけど脳が作り出した幻なのかな
恐怖や痛みを和らげるために過剰に分泌された脳内麻薬物質
私はもうわずかな脳細胞の塊だけになってまったのかもしれない
肉箱様がドロドロに溶けた私の肉をすすっている
肉箱様の一部になれるんだ
永遠に生き続けるの
この快楽がつづくのよ…
とうとう私は肉箱様に消化されてしまった
全身ドロドロに溶かされ、ゆっくりと肉箱様に養分として吸収された
残りかすは、排泄器官を通って近くにある池の水面に浮かび上った
この池の底には、チューブ状の肛門が無数に突き出しており
まるで草原のようになっている
私の残りかすはそこから排泄された
私が肉箱様の奥に入って行ったことは地元の人々に知れ渡った
あのとき、制止を振り切って肉箱様に入ったのだから
そして、今日。新たな事実が判明した
肉箱様の排泄物が悪臭を放ったのだ
ある人が思い出してつぶやいた
あの子の母が蒸発したときも同じニオイがしたと
おそらくは私の件もなかったことにされるだろう
肉箱様は古来よりこの地に伝わる守り神
人を食うなどあってはならないのだから…