プロローグ 地下牢に捕らえられて……
セラフィリアは怪しげな薬を飲まされ、牢の床に座り込み辛そうにしている。
錬金術師の女、ミアがそれを見て笑う。
【セラ】 「あっ……くぅ……! 身体がっ、熱く……はぁっ、はぁっ……んっ!」
【ミア】 「んふふっ♪ だいぶ効いてきたみたいねぇ♪ 実験は成功かしらぁ♪」
【セラ】 「ああっ、くぅ……! 一体っ、何を飲ませたのですか……!?」
【セラ(M)】 「ここに連れて来られてから……もう何日経ったのでしょうか……」
【セラ(M)】 「私は今、ほの暗い城の地下……鉄と石で作られた、罪人用の粗末な牢に囚われています」
【セラ(M)】 「陽の光は届かず、ぼんやりと灯された蝋燭の灯だけが、鉄格子と私の影を石畳に映し出していました」
【セラ】 「どうしてっ……こんなっ、ひどすぎますっ……はぁっ、はぁっ!」
【セラ(M)】 「私の衣服はそのほとんどが剥ぎ取られ、残っているのは下半身に身に着けている下着と、手袋、ソックス……」
【セラ(M)】 「それの他は、王家の人間であることを示す、紋章の入ったサークレットと、首飾りだけでした……」
【セラ(M)】 「私は……セラフィリア・シュレスティン……この国の、姫です……」
【ミア】 「大丈夫よ、熱いのはすぐ収まるはずだからぁ♪」
【セラ(M)】 「怪しい錬金術師の女性……私を捉えた張本人である彼女が、私の苦しむ様子を観察しながら、楽しそうに話しかけてきます」
【セラ】 「はぁっ、はぁっ……んくっ……! このような愚かな行い……今すぐお止めください……!」
【セラ(M)】 「私は、熱くなっていく自分の体を抱きしめるようにしながら、目の前の彼女を睨みつけました」
【セラ(M)】 「この身体の熱さ……これは、先ほど無理やり飲まされた薬の副作用……錬金術師は、そう言っていました」
【セラ(M)】 「薬には、魔法の効果があって……彼女が自分で開発した薬だと……」
【セラ(M)】 「彼女の言葉が真実かどうか、なぜこのようなことをするのか……そして、飲まされた薬の効果はなんなのか……どれも、私には確かめる術はありません」
【セラ(M)】 「ただ、副作用の話だけは……今、この身を苛む発熱で、嫌でも信じざるをえませんでした」
【セラ(M)】 「この体の変調はすさまじく……熱は私の体力を確実に奪い去り、もはや立つことすらままなりません。……まるで、拷問を受けているかような苦痛です」
【セラ】 「ああっ、くっ、あっ……はぁっ、はぁっ……!」
【セラ】 「国についての陳情や要求であれば、きちんと公的な場で話をいたしますから……もう、おやめください……!」
【ミア】 「んふふっ♪ 別にそんなことして欲しいわけじゃないのよぉ♪」
【セラ】 「ならっ、なぜこんなことを……!」
【セラ(M)】 「彼女は、突然城内にあらわれました」
【セラ(M)】 「そして、魔法陣から触手型の魔物を多数召喚し、それらに城内の人間を襲わせました」
【セラ(M)】 「私は、父様や母さまを逃がすため、自ら囮となって捕らえられ……気を失いました」
【セラ(M)】 「次に気づいた時には、この地下牢の中に一人……衣服を奪われ、惨めな姿で転がされていました」
【ミア】 「どうしてこんなことするのか、気になるのかしらぁ? んふふっ、でもそれはぁ♪ ひ・み・つ・よぉ♪」
【セラ(M)】 「彼女はおどけたようにそう言って、くすくすと笑います」
【セラ】 「ふっ、ふざけないてくださっ、くああっ……! はぁっ、はぁっ……誰かっ、早くっ、助けに……はぁっ、はぁっ……!」
【セラ(M)】 「身体はどんどんと熱くなり、意識がぼうっとして、視界が霞みます。ひどい耳鳴りもしているようでした」
【セラ(M)】 「感じたことの無い、身体の内側を焼かれるような感覚。高熱にうなされた時のものを、何倍にもしたような気持ち悪さが、私の胸の中で渦巻きます」
【セラ(M)】 「私はもう身体を起こしていることすらできず、ほとんど倒れるようにしながら、牢の石畳の上に身体を横たえました」
【セラ(M)】 「冷たい石材が、私の体温を奪っていき……私は、一つのことに気づきました」
【セラ(M)】 「身体の熱は主に下半身、私の下腹部から全身へと広がっているようなのです」
【セラ(M)】 「そしてそれは収まるどころか、更にひどくなっていくようでした……」
【セラ】 「あっ、あなたなど……はぁっ、はぁっ……! 私のっ、騎士団が帰ってきたら……!」
【セラ(M)】 「城が襲撃された時……私の護衛である騎士団長、幼馴染でもある女性が、偶然城を離れていました」
【セラ(M)】 「代わりの護衛は無事に逃げ延び、城の大事を伝えられたのでしょうか……いえ、きっと大丈夫なはず」
【セラ(M)】 「きっと、騎士団の皆は今この時も、私を救出しようと頑張ってくれているはずです」
【セラ(M)】 「私も、頑張らねば……!」
【セラ】 「はぁっ、はぁっ……! もしっ、薬で私から情報を聞き出そうというのならっ……はぁっ、はぁっ……!」
【セラ】 「私はっ、あなたのような卑怯者にはっ……絶対に屈しませんっ……! はぁっ、はぁっ……!」
【セラ】 「諦めてっ……私をっ……今すぐに開放してくださいっ……! はぁっ、はぁっ……!」
【ミア】 「ふぅん……♪ 別に、そんなつもりはないんだけどぉ……♪ そういう気の強い女の子、嫌いじゃないわぁ……♪」
【ミア】 「でもぉ、いつまで持つかしらねぇ……♪ んふふっ、んふふふふっ♪」
【セラ(M)】 「彼女の笑い声が、牢の中に響き渡ります」
【セラ(M)】 「……下腹部の熱さは、いよいよその強さをまして……私の身体と精神を、激しく苛み始めました……」
(おわり)