Track 1

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お前様はわしの妖術でとらわれたのじゃ

これ。これこれ。いつまで寝ておるか ……むう、やっと目覚めおったか いつまでも寝ておったらわしが退屈するじゃろ せっかく久方ぶりの人間、それも男の子に会うたというのに ん? なんじゃなんじゃ おーおー、動こうとしてもかなわぬぞ? ふっふっふ 不可思議じゃろ摩訶不思議じゃろ わしの妖術でお前様の自由を封じてやったのじゃ どうじゃ。すごいじゃろ? ついでに言っておくとこの社の周囲には強力な結界を張ってあってな 泣こうがわめこうが無駄なことじゃ 実はお前様が山に入ってくるのを見かけてから、ずっと狙っておってのう 途中、道に迷ったじゃろ? あれもな、わしが術を使ってお前様を惑わせたからなんじゃ わしはこの社から一里と離れることができんが、 わしの巧みな妖術によってお前様をここまで導いてやったと、こういうわけじゃな もうずいぶんと長いこと、わしはひとりぼっちじゃったからの 自ら山の奥まで分け入ってくる珍奇な輩もそうそうおらぬし、 たまには人間と話してみたいと思ってのう わしか? わしはほれ、見ての通りのあやかしじゃ この風雅な耳と優美な尾っぽを見ればわかるじゃろ うむ、狐じゃ。お狐様じゃ おっ、なんじゃなんじゃ わしの尾っぽに関心があるのか? なかなか見る目のある若人じゃな これはこうしてな、自在に操ることができるのじゃ ほれほれどうじゃ。触れてみてもかまわんぞ? ほーれほれ ああ、そうか お前様は動けんのじゃったな。わしの見事な妖術によって ほっほっほ、失念しておったわ ふむ、ならば…… わしがこの美しい尾っぽでお前様に触れてやるとしよう

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