これからも一緒に愛し合うのじゃ
のう……お前様、わしが妖術を解いて結界も払ってしまったら……。
やはり、か、帰ってしまう……のか?
そ、その、お前様が孕ませてくれたから、じきに子供も生まれるだろうし、
わしは平気なんじゃがな? 子供がな?
父親がおらぬと寂しかろうと思うんじゃ。
ほれ、わしも六百年ものあいだひとりぼっちだったじゃろ。
わしはそれでも強くて偉くて立派なお狐様じゃから?
こうして今日までやってこられたわけじゃがな?
生まれたばかりの子のそばには、男親もおったほうがいいと思うんじゃ。
に、人間だって同じ道理じゃろ?
じゃから……ど、どうかの?
わしとその一緒にこれからえっと……。
え……帰らない、のか?
本当か? ここにいてくれるのか?
わしと一緒に……ず、ずっとか?
……ほ、ほう。そーかそーか。
ふふん。
お前様もわしの魅力に首ったけということじゃな。
ほっほっほ。
ああ待て待て、嘘だ嘘。待てといっておろうに。
むう……意地の悪い御仁じゃな。
まあよい。
お前様と暮らし、子が生まれて家族が増えれば……
長年わしを縛りつけていたものからも解き放たれる気がするんじゃ。
ひょっとすると、これからはこの社に縛られずに生きていけるような、
そんな気もしておる。
人間との子を宿し、すべてを許すことで……。
ん?
はて、わしはそもそもなぜここに封じられることになったのじゃ?
あまりに昔のことで、もう忘れてしまったな。
ふふっ。
じゃが過去などはもうよい。
今はお前様と、この腹の子と、家族で一緒に歩む未来があるのじゃからな。
のう?
……な、なんじゃその目は。
妙に優しい目でわしを見るんじゃないっ。
それではまるで子を見る親の目ではないかっ。
わしはお前様よりもずっとずーっと、長生きで偉いんじゃからなっ。
むむっ、何か言いたそうじゃな? じゃがそうはさせんぞ。このっ。
んちゅっ……はむっ、ちゅるっ……んはっ
ふふ……また元気になってしまうんじゃないか?
も、もう一回……するか?
お、お前様さえよければ……。
んっ……ちゅっ……。
はうぅ……だめじゃ、欲しい。お前様が欲しいぞ。
好きじゃ。お前様が大好きじゃ。
いっぱいいっぱい、これからも愛し合おうな