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知らない田舎町の小さな居酒屋へ

【詩乃】 ……お客さん? ごめんなさい、もう閉店なの……また来てくださる? ……あ、まって………えっと……まだ大丈夫でした よろしかったら、一杯呑んでいってくださいませんか? こちらへお座りください 今は他に誰もいませんから、どうぞ遠慮なさらずに…… お酒、何にしますか? 日本酒? それとも、ビールかしら? おつまみと一緒に、適当に見繕っちゃいますね ゆったりとお待ちになってくださいな ……あら? まじまじと見つめて…… 「どうして通してもらえたのか?」って顔、してますね そうね……思いつめた表情、してたから…… それに貴方、この辺の人じゃ、ないでしょう? どこから来たの? 隣町かしら? ……えっ? そんなに遠くからいらしたの? まぁ……なんでまた……? お仕事の出張……ってわけでもなさそうね ……ううん、話したくないなら話さなくてもいいの ここは、そういう場所……一時的に忘れるための、拠り所…… 重いなら、無理して吐き出さなくてもいい…… でもね、お酒が回って、口が軽くなったと思ったら言っていいのよ それを聞くのが、私の一番の仕事…… とは言っても、もう営業時間過ぎちゃってるから……プライベートだけどね あ、悪いことしたなーって顔、してる……うふふっ♪ いいのいいの、プライベートってことは、私の自由なんだから ちょっと、お話してみたくなっちゃったの……なんとなくね だから、気にしないでちょうだい……ね? はい、この辺で愛されている、地元の銘酒よ 呑み易いけど、回るのが早いから注意してね まぁまぁ、いい呑みっぷりだわ、うふふっ♪ じゃあちょっと失礼して、私も……んっ………っ ふぅ……っ……うん、やっぱりおいしいわね♪ この辺は水が綺麗だから……飲み物の質が高いんです ……あら? なんだか目が回ってるように見えるけど…… え? お猪口一杯しか……まだいけますよね? せっかく来ていただいたんですから……はい、どうぞ おぉ、またまたいい呑みっぷり……って、あれ? おきゃくさん? あの……おきゃくさーんっ?

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