導入
左:
右:それでは、まず、あなたに催眠を掛けていきましょう
左: 既に私達の誘導はあなたと
右:と、言いたいところですが
左:話し始めた時から始まっていましたよね?
右:
左: 声に集中している 私達が言ってた
右:私達の声が 頭の中に
左: 回転した もしくは 目眩が
右:グルグルと 光景が思い 起こされて
左: 頭が 揺らされる 体感が
右:クラクラと意識が 錯覚に陥り
左: 反発心が 生じてもおかしくない
右:声によって様々な ダメではない
左:変化するのは
右: とても良い反応
左:仮にそうなっても 反抗しようと
右: 催眠に 掛かってる
左: 思うほど 深く
左:思えば 更に
左: 掛かっていく
右:はめられて
左: 催眠に掛かる
右:これが催眠 意図しなくても
左:勝手に流されていく
右: 変性意識 に沈められる
左:例えば、あなたの利き手からロボットに変えていきます
右:
左:
右:と言われて、意識は利き手に向いたはずです
左:いいですよ?そのまま
右:
左:
右:利き手が意識されて、私達が「重くなる」と
左:
右:暗示を言って、その通りになったら
左:面白いと思いませんか?
右:
左:あなたが利き手を意識した事で
右:あなたの利き手
左:利き手だけが、重く
右:利き手だけが 重く感じられてくる
左:ロボットは何で出来てるんでしたっけ?
右:
左: 鉄の冷たさも感じられる
右:そう、鉄の重さが 感じられるかもしれない
左:あなたはロボット
右: 鉄で出来ている
左:丈夫な鉄
右: 真っ直ぐな鉄
左:だから、曲げられない
右: 曲げられないのは分かりますよね?
左:重くて
右: 冷たくて
左:通電していない ただの鉄の塊
右: あなたはロボット
左: あなたは動かない
右:私達が指令を出すまで 動けない
左:次は逆の手
右: 利き手がロボットになってるのに
左:そっちの手だけまだ人間なんておかしいと思いませんか?
右: おかしいと思いませんか?
左: 利き手は何で出来てるんでしたっけ?
右:思いますよね?
左: 冷たくて 鉄だから重たい
右:温度は? 重さは? 重たいんでしたよね?
左:そして、まだ私達は何も指令を出していない
右: 私達は何も指令を出していないから
左: 出来ないんでしたよね?
右:動かすことは出来ない
左: ヒンヤリと
右:鉄の塊 横たわってるだけ
左:次は右足
右: ほら、右足に意識が振られる
左:さっき利き手を意識したら 重く
右: どうなって
左: ヒンヤリした塊
右:どう感じて そう、ロボットに
左: 指令があるまで動けない
右:なったんでしたよね?
左: 動かそうとも思えない
右:指令があるまで、動かそうとも思えない
左:「動かす」考えがないから
右: 通電してないから
左:指令が無ければ、あなたの身体は重たい鉄
右:
左: 左足も右足と同じ
右:残りは何処だったっけ?
左: 重くて
右:右足の感覚がコピーされる 冷たい
左:動けない
右: 動かせない
左:次は何処? 内蔵の代わりにエンジンと配線を詰めてあげる
右: 胴体
左: 四肢を動かすことも出来ないもんね?
右:配線が無ければ
左: 私達の指令
右:大事な大事な
左:伝える事が出来ないもんね?
右:伝える事が出来ないもんね?
左:両足に伸びるコード 黄色や青
右: 赤や緑
左: 配線や基盤に変わっていく
右:身体の中の神経が
左: 新品だから部品も綺麗で
右:ハンダで固定されて
左: 絡まりあう配線
右:複雑に伸ばされる配線
左:あなたの身体をしなやかに動かす為
右: 隅々まで張り巡らされる
左:右手にも 足元と同じ
右: 左手にも
左: お腹の中も 背中も
右:下腹部も 胸部も
左: 何本ものコードで繋がっている
右:首元だって
左: 大事な大事なコードを
右:私達の指令を伝える配線
左:
右:丈夫な鉄で覆ってあげると
左:当然、重さが感じられるよね?
右: 今までと同じ
左:四肢よりも、頑丈で、分厚い鉄で覆ったんだから
右:
左:
右:四肢よりも、感覚が強く感じられるかもしれない
左:あなたの身体はさっきと比べてどう変わりましたか?
右:
左: どう変わって
右:どこが どうなってるんでしたっけ?
左:次は、残った頭を変えていきますが
右: その前に――
左: 私
右:皆様、お気づきかもしれませんが、私と
左:タイミングによって復唱していた
右: 復唱していたっていつから気づいていました?
左:左右から同じような言葉を
右: 言葉を言われると
左:片側から話されるよりも
右: 頭の中に焼き付いていく
左:復唱された事で今のように
右: 術師が二人いる場合
左:左右にいる場合とても効果的
右: とても効果的ですが
左:もし、二人が別々の事を言ったら――
右: どうなると思いますか?
左:例えば
右: