1話目:誘拐事件
(寝息・20秒程度)
くぅ……すぅ……ん…………ふぅ……すぅ……
…………はっ!
(目が覚めて自分の状況が理解できていない少女)
え……あれ、なんで私、こんなとこに……?
家で眠ってたはずなのに……なんで電車に……
ん……そっか、夢か……なるほど……
じゃあもっかい眠れば……ん……くぅ……すぅ……
(少女の頬を突く主人公)
んむっ……何だお前……これは夢なんだから起きるのの邪魔をするなよ……
(少女におはようのキスをする主人公)
ん……んむ、ちゅ……ちゅむ、ちゅ……ん……
んぁ……気持ちい……んふふ……
ん……くぅ……すぅ…………んぅ……
(起きない少女の唇に舌を忍ばせる)
んむ……むぁ、ぁぷ……ぇる、れぇ……れる、んりゅ……えりゅ……
んちゅ、ちゅるる……ぇぷ、ぁぷ……んぷぁ……っ……
ん、ふぅ……こんなところでそんなキス……
やっぱり夢じゃないのか……ん……でもなんで……
(主「急に出張することになったので勝手に連れてきた」)
急な出張か……なるほどな。社会人は大変だもんな。
だが……それは私がここにいる理由にはなってないぞ。
勝手に連れてきたって言ったって……寝ていた私をどうやってここまで……
(主「荷物が少なかったからおんぶふで」)
んむ……家から駅までそれなりにあるだろ。馬鹿者め。それをおんぶでなんて……
しかも、「荷物が少なかったから」なんて、そんな、私をモノみたいに言うなよ。
ふん……だが、今の今まで目を覚ませなかった私も相当か……ふふ。
今朝まで2日、連続徹夜でゲームをやっていなければ、普通に起きれてたかもしれないんだがな。
もしくは力尽きて眠らなければまだマシだったか。
(主「昨日、ずっと起きてたの?」)
ああ、そうだ。やめどころが見つからなくてな。
昨日の夜、ご飯とお風呂の時以外はずっとしてた……ふふ。
しかし、あれだな。やはりオープンワールドは時間泥棒過ぎるよ……
ポリゴンの引っかかれるとこを探して、普通じゃ登れないところに登ろうとするだけで半日遊べるんだぞ?
全く……作りの甘さのお陰でこっちは時間を無限に溶かしてしまうじゃないか……
……起きたら続き、しようと思っていたんだがな。(わざとらしく)
(ネットで据え置きゲーム機と繋がった携帯ゲーム機を渡す)
あ……これ、わざわざ持ってきてくれたのか?
なるほど、リモートプレイになってるのか。
確かに携帯機だとボタンの数は足りないが、出来ないこともないかもしれないな……
そうだ、スマホは……
(少女のスマホを渡す)
ん……用意がいいな。
もしかして、パソコンも付けてくれているのか?
(頷く主人公)
そうか。なら、リモートデスクトップでブラウザゲーム程度ならどうにかなるか……
全くお前は……用意周到だな。畏れ入るよ。
で、この格好なのだが……
(外行きの、少し気合の入った服を着ていることを疑問に思う少女)
記憶が確かなら、私はいつものTシャツで寝ていたと思うのだが……
これ、外行きの洋服じゃないか。
お前……私が寝ている間に勝手に着替えさせたな?
(主「まあね」)
ん……まあ、あの格好のまま外に出るわけにもいかないからな。
これは……礼を言っておくべき、なのだろうか。
別に、いつも見られてるわけだし、今更恥ずかしいとかではないんだが……
やはり、寝ている間に好き勝手されていたというのは、少々納得いかないな。
今度お前が寝ている間に仕返ししてやるからな。覚悟してろよ?んふふ。
それで、今日はどこまで行くんだ?と言うか、今どの辺りなんだ?
(主「都心の方へ。もうすぐ着くよ」)
そうか。もうすぐ着くのなら、もう少し詳しい行程を聞かせてほしいんだが……
(主「二泊三日の予定。」)
なるほど、二泊三日……
んむ……すると、この不便な生活が三日も続くわけか……
しっかり準備してくれたのは嬉しいんだが……それなら起こしてくれればよかったのに……
(主「幸せな顔で寝てたから」)
……ふふ、そうか。私の安眠を邪魔したくなかったと……
お前はそういうところあるよな。別に、咎める気はないが……
もう夕方……だよな。ということは、仕事は明日か?
(主「うん」)
泊まりは?ホテルか?
んふふ……そうか。なんだか普通のホテルに泊まるのも久しい気がするな。
特に、お前とこうやって一緒に暮らすようになってからはあまり遠出をすることもなかったし……
そのおかげで少々不安に思っているのだが……でも、お前と一緒なら大丈夫、だよな?
(主「努力します」)
ふふ。信頼しているぞ、我がナイト。
……な、お前。そっち……お前の席、膝の上……いいか?
(主「こんなところで?」)
大丈夫だろ。他に人はいないみたいだし、少しだけだから……な?
(主「じゃあ少しだけね」)
ん……
(主人公の膝の上に対面する形で乗り、主人公を抱きしめる少女)
(少し囁き声ぽく)
寂しかったのか?一人で仕事で遠くに行くのが。
(主「まあ、ね」)
そうかそうか。ふふ。お前らしい回答だな。
かわいい……ん、ちゅ。
別に私は怒ってないぞ。ただ、少々自由が効かなくなるのを面倒に思っているだけだ。
それに……仕事から疲れて帰ってきたお前を癒してやれる存在がいないと、辛いだろう?
私はお前の修理基地だ。消耗したところはすぐに直してやらないとな。
私も……家で一人残されるよりは、多少不便だとしてもこうやってお前と一緒の方がずっといい。
一人は寂しいんだよ。怖いし、辛い。
少し帰りが遅くなるだけでもダメになってしまうのに、何日もなんて、私には耐えられないだろうな。
だからこれからも、私の事をちゃんと持ち歩いてほしい。
お前の胸ポケットに入りはしないが、一緒にいろんなところに行きたいし、一人ぼっちにはしないでほしい。
いいな?
(主「了解」)
うん。いい返事だ。
だが、今日みたいに寝てるところを攫ってくるのは……勘弁してくれよ?
(/少し囁き声ぽく)