第4話:セーブポイント
[駅近くのファミレス]
(グランドメニューを眺めながら)
うーん……どれも美味しそうだなぁ…………
このドリアにしようか……それともこっちのパスタにするか……
デザートも食べたいし……うぅ…………
なぜファミレスのメニューはどれもこれも魅力的に感じてしまうのだろうか……
オススメはこれ!みたいに書いてくれると、注文しやすいのになぁ……
……なぁ、お前。
いくらまで……いい?
(主「いくらでも、好きなモノを注文したらいいよ」)
本当か!?……でもお前、お金は大丈夫なのか?
(主「そんなこと気にしなくていいよ」)
気にするなって言われても…………
うむ、そうだな。こういう時はお前の言葉に甘えておこう。
………………
……ん、私は決まった。
お前は決まったか?
お、そのハンバーグも美味しそうだな……
え?分けてくれるのか?
んふふ……お前ってやつは。
じゃあ、注文しようか。
[数十分後]
(いろいろ頼みすぎてお腹いっぱいな少女)
ううぅ……もうお腹いっぱい……苦しい……
(主「調子に乗ってあんなに注文するから」)
いやぁ、お腹が空いてる時には「きっと食べられる!」って思うんだがな……
いつもお前が作ってくれる時はちょうどいい量が出てくるから、自分が小食なのを忘れていたよ。
じゃあ……はい。勿体無いし……食べていいぞ。
(待ってましたと、少女が差し出す皿を受け取る)
なるほど……いっぱい食べるお前の注文が少なめだったのは、この事を見越しての事だったのか。
お前の予知能力……たまにすごいなって思うぞ……
「予知じゃなくって行動パターンを読んでるだけ」?
うふふ……そんなに私はお前に理解されているのか……
幸せものだな、私は。
……なぁ、実はデザートがまだなんだが……よかったら半分食べてくれないか?
(主「そう来るだろうと思ってたよ」)
うん……感謝する。
……あ、あと……
お前がそれを食べ終わってから持ってきてもらいたいんだが、いいか?
(主「腹ごなしってこと?」)
うん、そう。もうちょっと時間開けたら、食べられるかなと思ったんだよ。
それに、お前が食べてる間にアイスが溶けてしまったら、お前がおいしく食べられないだろう?
どうせ食べるんだったら……一緒がいいと思わないか?
……………………(主人公が食べるのを見つめる少女)
……………………
ん?どうした、手が止まってるぞ?
「見られてると食べにくい」?
……だって、お前の食べるところ、なんというか……愛しくてな。
でも、邪魔になってるのなら仕方ないか……
そうだ、お前の隣に行っていいか?
いいじゃないか、減るものでもないだろう?
それに私が視界にいなければお前は、食べるのに集中できるだろうし、
私はお前の死角から観察できる。
どちらにも都合のいいことだ。
ふふふ……では、隣に失礼するよ……
……………………
美味しいか?
「普通」って……ふふふ、やっぱりな。
だって、お前の作る料理のほうが断然美味しいもんな。
少なくとも、私にはそう感じたぞ?
特にあのハンバーグ……あれはお前の足元にも及ばん。
お前が作ったという事実の主観的な補正がかかってるのかも知れないが、
それでも私にとっては、な。
ふぁ…………んぅ…………(眠そうなあくび)
…………………………(しばらく見ていたが、疲れから眠りこけてしまう少女)
………………ん……くぅ…………すぅ…………
…………………………
[1時間後]
ふぁ……!
じゅる……(よだれを)
あ……私、いつの間に寝落ちしてたんだ……?
お皿も全部片付けられてるし……
すまんな。お前、店員から注意されなかったか?
「察してくれてた」……うぅ……
そういう気遣いをされると、恥ずかしいな……
でも、お前……起こしてくれたっていいじゃないか……
(主「疲れてるんだろうと思って」)
うむ……たしかに今日はいっぱい遊んで疲れたな。
楽しかったけど、こんなに体力を使ったのは久々だったんで、実は少々きつかったんだ。
ふふ……助かったよ。
おかげでHPもMPも全快だ。
そういえば、まだデザートは持ってきてもらってない……よな?
ちょうどお腹の具合も良くなってきたことだし、そろそろ頼むとするか。
[数分後、頼んだデザートが来た後]
(主人公が差し出すスプーンに乗ったアイスを口で受け取る少女)
あ~~、はむっ
んふ……甘くて、美味しい……v
なぁ、お前。もっと……もっと欲しい……
……はむっ、あむあむ……
(主「なんだか小鳥に餌を与えてるみたい」)
ふぇ?
んむ……だから餌付けとかそういうことを言うなと言ってるだろ……
お前は……食べなくていいのか?
ふふ……食べたいんだろう?いいぞ、私が「あ~ん」って、してやる。
ほらぁ、恥ずかしがるなよ……
あ~ん…………あっ。
……ほら、よけるから頬についてしまったじゃないか。
お前は忍者か……全く…………
(顔を近づけ、頬についたアイスを舐めとる少女)
えぇる、れりゅ……ちゅぷ……
んふふ……甘い。
ほら、おとなしくしろ……
それとも……またして欲しいのか?
うふ、ふふふ……本当にかわいいな……
キスして欲しいなら素直に言えばいいものを。
私は、いつでもお前の欲求を……受け入れてやるんだからな。
んちゅ、ちゅ、ちゅ……ふふ、まだ少し甘い……
れりゅ、ちゅ……ちゅぷ、ちゅる……
じゃあ今度は……私にも……
(少女の頬にキスをする主人公)
……ん……ふぅ…………っ…………
もう……何か付いてるわけじゃないんだから、そんなに舐めなくても……
「甘い」?……そんなわけ無いだろ。
どちらかと言うと今日は遊んで汗もかいたし、塩っぱいと思うぞ?
(ほっぺたをはむはむする主人公)
ぁ……ふぅ……そんな……唇であまがみ……やぁ…………
……もう、恥ずかしいだろ、こんな所で……
んぅ……ほら、ちゃんと食べるぞ。
早くしないと、アイスが溶けてしまうからな。