Track 3

第3話:密室での犯行

[狭いカラオケボックスの一室] (歌い終わる少女) ふ~、こんなふうに大きな声で歌うのも、ずいぶんと久しぶりだな…… お前とカラオケに来るのは初めてなんだが、曲の趣味が随分と近くて、嬉しいぞ。 意外だな。 ついこの間まで別々の人生を送ってたのに、その間も同じ曲を聞いていて、 なんだか、こうなるのが当然だったみたいな……そんな感覚だ。 ……すこし喉が疲れてしまった……かな。 お前……そっちに行っても……いいか? うふふ、では足の間に失礼するとしよう…… (膝の間に、主人公に背を向けて座る少女) ん……やっぱりここ……落ち着く…… いや、お前は歌うのに集中してていいんだぞ? 私はここで、お前の歌を聞きながら一人で遊んでいるよ。 ほら、起きてすぐに出てきたから、いろんなゲームのログインだけでもしておこうかと思ってな。 携帯、いいか? (主「わざわざ気にしなくてもいいよ」) そうか、感謝する お前、次は何を歌うんだ? なるほど、前期にやってたアニメのオープニングか。(うまるちゃん) 意外とそっち系も歌えるんだな。ちょっと楽しみ…… そういえば、あのアニメを見てると少し複雑な気持ちになっていたな…… だって、主人公は家でいつもごろごろしていて、兄にわがままを言って迷惑をかけたりするだろう? 確かに単純なアニメとしてみれば面白いし、キャラもかわいくて嫌いじゃないんだが…… その……やっぱり重ねてしまうんだよ。私の境遇にな。 あの主人公はまだ子供で、友達もいて、学校では成績優秀で…… それと比べて私は……って、時々思ってしまうんだ。 ……いかんな。またマイナス思考に…… 気を取り直して……ほら、歌うんだろ? (少女が渡したマイクを脇に置き、覗きこむ形でキスをする) ぁふ、んぅ……ちゅ、ちゅぷ……ちゅる、りゅ、れりゅ……んぷ、ぷふぅ…… ……ぷぁっ……はぁ……はぁ…… もう……お前はそうやって……節操が無いというか…… いや、嫌ではない。むしろ……嬉しいんだが……? でもお前、歌うんじゃなかったのか? 「歌うよりもこうしていたい」……ふふ、全く仕方のないやつだ。 いいぞ……ほら…………んふ、ちゅ、ちゅぷ、ちゅ……んぷ、ちゅ、ちゅぅ…… お前は……本当に……ん、ちゅぷ、りゅ……物好きだよな……んっ、ぷゅ…… 私は……そんなに魅力的か? お前がいなければ生きていけない私が……そんなに……ん、ちゅ…… (主「僕にとっては大切な存在だって、何度も言ってるじゃないか」) 何度だって聞くさ……だって私の大好きなお前が、私のことを大好きだって言ってくれるの…… 疑ってるわけではないが……すごいことだなって……思ってしまうんだ…… 好きだ…………好き、好き……好き…………ん、ちゅ、ちゅぷ…… ん、ちゅ、ちゅる……っぷ、れりゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ…… んぅ……ぷぇ…………ふぅ……はぁ…… お前……そっち向いていいか? ありがと…… よい、しょっと…… (主人公の腿の上に、対面する形で座り直す) ふふふ……こうやって向き合っていたほうが、しやすいだろう? ん……お前の顔、この高さで見る機会は滅多位にないよな。少し新鮮だ…… お前の太ももの上に座って……んちゅ、ちゅ、ん、ちゅぅ……こんな目線でのキス…… なんというか……ふぁ、ん……ちゅぷ、ちゅぴ……いいもの……だな。 ぁふ……ん、ちゅる、ちゅ、んぷ、りゅ……ちぷ、ちゅ…… (ゆったりとしたキス:60秒) ちゅ、ん……んぷ、ちゅ、ちゅ、ちゅる、れりゅ……ん……ぷぁ…… んゅ…………ふぇ?どうしたんだ、急に……(うっとりと) (主「あれって防犯カメラかな?」) 防犯カメラ……?……あぁ、アレ…… こういったところには必ずついてるよな……そういえば。 見られてるのかな……んちゅ、ちゅ……私達がこうやってキス……してるの。 ちゅ、ちゅぷ、んちゅ……私は別に……ぢゅる……気にならないぞ……? んちゅ、くぷ……れりゅ……別「カラオケボックスの中でキスをしてはならない」なんて法律はない……と思うし。 ……それとも、お前は嫌か?だったらやめておこうか? (キスを中断する少女、切なそうな顔の主人公) ……ふふ、そんな寂しそうな顔をするな。 お前が欲しがっているのはわかるぞ。 お前のステータスくらい、私にはお見通しだ。 私のキスで魅了状態になったお前……目がハートマークになってる。 ふふ、ただの比喩表現だよ。でもそんなこと、今は関係なかろう? ……それに、そんな切ない顔のお前も……なかなかいいものだ。 んちゅ、りゅ……んは、んぷ、ちゅ、ちゅぷぷ…… かわいくて、愛おしくて……胸が疼いて……大好きが……んく……抑えられない……! じゅる、ぢゅぅ……れりゅちゅ、くぷ、んぷ、んむ……ぷぁ…………はぷ、ちゅ、ぢゅる…… ちゅぷ、ぢゅる、んぷ……好き……ちゅぷ、くぷ……好きぃ…………んぅ、ゅ…… (「好き」を時々入れながら、激しめのキス:40秒) ちゅ、ちゅぷ、れる、れるれろ……んぅ…………ぷぁ…………はぁ……はぁ………… 不思議だ…… カメラがあるってわかってから、凄く胸がドキドキしてる…… バレたら怒られるのかなって思いも確かにあるんだが…… それよりも、「見られてるかも」って思うことで……その…… 興奮してしまっているような……そんな気がするんだ…… カラオケボックスでこんなこと……なんだか悪いことしてる気分…… はぷ、んむ、はむ、ちゅ、ちゅ……はむ、ぁむ、んぷ、くぷ……ちゅるる…… (急に少女を抱きしめる主人公) ……っひゃう!? んもう……お前、急に抱きしめるのはナシだぞ…… キスに集中しすぎて……完全に死角だった…… (主「もうそろそろ時間だから」) そうか、もう時間が…… 結構長めに取ったつもりだったが、時間の流れというものは残酷だな。 うむ、たしかにこのままこんなキスを続けていたら、部屋から出た時も上気したままで、きっと怪しまれてしまうだろう。 別に疚しい事はしてないんだが、怪しまれるのは何かと面倒だからな。 だったらクールダウンの意味も込めて……このまましばらくぎゅっとしていて……欲しい。 (ぎゅう~っと、力を込めて抱きしめる主人公) あぁ…………ん…………っ……………… お、お前……そんなに強く……んぅ……抱き締められたら………… 逆に……興奮…………っ…… して……しまうだろ…………っ! (抱きしめる力を緩める) ん…………ふぅ……………… 全く……お前は、力加減というものを……知らんのか…… そういうのは……時と場所をわきまえろよな…… でないと私は……どこでもお前のことを求めるような……悪い子になってしまう…… 「既にそうなってる気が」? ふふ……それもそうか。 こんな所でキスしたり、抱き合ったり…… すっかり当たり前のように感じているが、世間的に見れば正常な行為ではないもんな。 それもこれも、お前の教育に問題があるんだぞ? (主「……ごめん」) あ、いや、謝るな。別に責めているんじゃないんだから…… 私としては……だな…… いつでも「好き」って言ったり、愛情表現が許されているのは…… とっても嬉しいし、好き……なんだからな? こんなに愛に溢れた毎日にしてくれて…… こんなに愛してくれて…… …………ありがとう……ござい……ます…… (主人公、嬉し恥ずかしで抱きしめる手に力が入る) んきゅぅ……だから……んぅ…………そんなに力を……入れるなぁ…… 苦しくて、気持ち良すぎて…………変になって……しまいそうだ……から……っぁ…… もう…………馬鹿物………………んっ……(自分からの抱きしめに力を込める少女)