Track 3

Previous Track Back

催眠解除

「満足した? あたしにいじられて射精した変態は満足したのかしら? 満足したのならいいわ。あたしも楽しかったし」 「じゃあ催眠を解くわよ。今まで沈んでいた意識を、無意識に近い世界から浮かび上がらせるのよ」 「あたしが三つ数えて手を叩くと、あなたの意識に浮きが付くわ。いい、3、2、1、はいっ!(拍手)」 「身の回りの物が消えて、風景が消えて、暗い世界に逆戻り。部屋の空間も無くなって、暗い世界にあたしとあなたが浮かんでいるわ」 「今度は、あたしの姿がぼやけて、白い肌しか見えなくなる。あら、もうそろそろあたしの姿も見えなくなるわね」 「あたしの姿は消えて、周囲は透明な紺(こん)色になる。心地よい浮遊感がするわ。上の方に光の感触があって、その中をあなたは浮かんでゆく」 「あなたの身体を感じなさい。脳、心臓、神経、骨格がもどって最後に肉。溶けて無くなったようになっていたあなたの身体が、もとに戻ってゆく」 「大きく深呼吸をしなさい。呼吸のたびにあなたの身体は上昇してゆく。でも急いではだめよ。呼吸はゆっくり大きく。吸う、吐く、吸う、吐く」 「水面が見えるわ。あそこが意識の境界。水面から浮かび上がれば、あなたの催眠は解けるわ」 「水面までゆっくりあがってゆく。頭蓋骨から抜かれた栓もふさがって、意識はいつでも思考を取り戻せるようになる。でも催眠から抜けるにはきっかけが必要。そのきっかけを、今からあたしがあなたにあげる」 「いまから5数えると、あなたは目を覚ます。あたしの拍手とともに脳の歯車が噛み合い、思考が回転して現実を取り戻すわ。脳と心臓と身体ががっちり結合して、あなたは現実の身体を取り戻す」 「5、4、3、2、1、はいっ!(拍手)」 「ほら、目を見開いて大きく深呼吸をしなさい。あなたは催眠の世界から、元の場所に戻ってきたわ。あたしの声は聞こえるけど、姿は見えないでしょう? 周囲には、現実のあなたの世界が広がっているわ。ほら、身体を起こしなさい。何もかも吐きだしたあなたの身体には、新鮮な空気と気力が満ちているはず。生まれ変わったようにすっきりしているはずよ」 「後始末が終わったら、シャワーを浴びて汗と汚れを落とし、しゃっきりするといいわ。すっきりした身体と頭で、これからの残りの一日を過ごしなさい。でも、もし少しでももやもやすることがあったら、あたしがまたあなたの隠された性癖をむき出しにしてあげるから、あたしの声を聞きにくるといいわ。あたしはいつでもあなたのそばにいるから、遠慮なんてするんじゃないわよ。そしてあまり、あたしを待たせるようなことはしないことね。あなたの淫らな性癖を解消できるのは、あたしだけなのだから」

Previous Track Back