01 導入~どうしようも無いお兄さんは悪魔にでもすがってみる?~
はぁーい、お兄さん♪ 今日の調子はどうかしら?
あら……? 顔色が悪いみたいだけど……
あぁ 今日も負けちゃったんだ…… まぁ、勝負は時の運って言うし
それにお金はまた借りれば良いじゃない?
あー…… でも貴方、もうウチのブラックリストに載っちゃってるんだっけ……
って事は…… 一世一代の大勝負だったのに…… 結局負けちゃったって所かしら? クスッ
ねぇ、図星みたいだけど…… お兄さん、借りてるお金を返す宛はあるのかしら?
常連だから知ってるとは思うけど、ウチは魔族が経営する非合法の裏カジノ
当然……「返せません!」 じゃあ済まないのは分かるよね?
私がこのマイクでちょっと連絡を入れるだけですぐにこわーいおじさん達がやってきてぇ……
ふふっ どうなっちゃうんだろうねえ?
定番なのは…… 体のどこかを売り払ったり、強制労働施設にずーっと収容されたり……って所かしら?
お兄さんみたいな男の人だと、そういう趣味のおじさんが高く買ってくれたりもするみたいだけど♪
クスッ…… どれもイヤだよねぇ?
あら……そんな事言っちゃダメ。 どんなにどん底でも自分の命を無駄にする事は最も愚かな行為よ?
それは魔族も人間も一緒。 どうせ捨てる命ならもっと有効に扱わないと、ね?
まぁでも…… それだけの覚悟があるのならもう怖い物なんて無いだろうし、文字通り……悪魔にでもすがってみる?
ええ、私が生き残るチャンスをあげるわ
今からお兄さんと私で、1:1(いったいいち)の勝負をしましょう?
勿論タダで……とは言わないけれど、もしもお兄さんが勝った時は積もった借金をぜーんぶ無くしてあげる
あら……怪訝そうな顔をして…… もしかして嘘だとでも思ってる?
まぁそう思われても仕方ないけど、これは本当の話
このカジノでは私たち魔族がお金持ちの人間なんかよりずっと上の権力を持ってるの
借金を無かったことにするなんて一言で済んじゃうわ
ねぇ、どうかしら? 今のお兄さんには悪い条件じゃ無いでしょう?
ん? クスッ
今のお兄さんに場代や負けた時の事なんかを気にしてる余裕があるのかしら?
それに……今からそんな事ばかり考えてるようじゃあ結果は見えてるわ
そんなだから今までずーっと負けてるって事にそろそろ気づいた方が良いんじゃない?
まあ、どちらにしろお兄さんの命運は私が握ってるって事
ねぇ、どうする?
私と中身も分からないあやしーい賭けをするか…… それともこのままこわいおじさん達につれて行かれるか……
さぁ、今すぐ選んでね?
ふふっ…… 決まりね♪
それじゃあ場所を変えて、もう少し細かいお話、しましょうか?
ほら、こっちよ…… 付いてきて