Track 2

Scene02「天眼寺亜子、初めてのキス」

…… ふぅ、待たせたか…? すまない、生徒会が長引いてしまってな。 ……先週の金曜だったな、君に…その、告白…されたのは。 さ、さすがに一週間経ったら慣れるものだな…んっ…今日もあったかいな、君の手は…/// では…帰ろうか。 …… ……っ… な、なぁ… ……今日は、その…大橋ではなくこっちから…ちょっと遠回りになるが…こちらから帰らないか? 少し、その、話がある…のだが…。 …… く、クラスのだな。 東雲は知っているな? …そう、私達と同じクラスの、君の右後ろの席の女子だ。 あ、あの、だな…。 東雲の、話なのだが…そ、その…東雲も、私と同じっ…か、かかかか…彼氏持ちだったらしくてな… いや、私たちの事は言ってない…い、言えるはずもない…! ま、まだ時期尚早…だと思ってな…。 と、ともかく、東雲が…その、なんだ… あ、か、彼氏というのは…立原…なんだ。そうだ、同じクラスの…。 そ、そのふたりがだな…先日、東校舎の屋上の扉前でだな、せ、せせっ、せっぷん、を、だな…して、いたんだ…。 いや、その…相談を受けたとかそうじゃないんだ、私が、現場を目撃した、というか… 君は…どう思う? 私達はまだ、学生…であるし…そ、そういうことはこう…お、大人になってからするべきだと思うのだが… こ、この考えは、どうなのだろう? ふ、古いか? 私の考えは、古いだろうか…? 君と付き合う前は、そういったことは成人してから、男女の責任を持てるようになってからすべき、という考えに揺るぎはなかった… だが…その、私の考えは古いのではないか、と…そう思うようになって… ど、どうだろう…? せっぷん…そ、そうか…き、キス…そう、キス、だな。 キス、は…いまどきの私達くらいの年齢の男女なら…つきあっていれば自然にするもの…なのだな… そ、そうだな。時代はいつまでも不動のものではない…こう、ぐ、ぐろーばるになってゆかねばならんと思う。 す、すまんな。君にこんな相談をしてしまって…胸のつっかえが取れた…… む…? してみるか? って…何をだ? …私と? …君が? …… …!? ももももも、もしや、キキキス、を、かっ!? いや、あの、ならん、ならんっ! 私達にはまだ、はやいっ! つ、つきあってまだ一週間…だぞ!? それこそ、心通じ合う夫婦のようになってから…っ 大人になってから…だな…! い、いやいやいや、早速矛盾してしまっているぞ私…! ぐう、た、確かにぐろーばるに、とは言ったがっ…! かといって、今、君とキッ…キスするなど…! ……… すー、はー、すーはー…い、いや、すまん、取り乱した…っ そうだ。今私が言ったばかりだったな…口だけで言い訳したところで、卑怯者にしかならん。 態度で示すのもまたっ…け、経験といえよう…な! 何事も経験、経験…だっ… してみないとわからぬこともある…た、確かにな。 すー、はー、すー、はー…よ、よぅしっ! …… 実の、ところ… …… 東雲の、き、キスを見てから…ほんの少し、考えていた事だったのだ…っ こ、こんなに急にとは思わなかったが… いずれ私は君と、ああいうことをするのか、と…/// き、君のことは…その、き、嫌いじゃない…というか、この一週間で…その、ちょっと、す、す、すっ… ま、まあいいっ…その、だからっ…! よしっ…き、キス…して、みるか…! ……すーはー、すーはー… そ、その前にひとつだけ… 笑わずに聞いてくれるか…? ……キス…で… 子供は…できない…よな…? ……… わ、笑うなというにっ…! だ、だって…! 今は保健体育でさすがに、そ、「そういう事」は学ぶがっ…! 子供の頃から、てっきり…子供は、せ、接吻で生まれてくるものと…思っていたから…! ま、万に一つ、ということがある…かもしれないではないかっ…! ……… よ、よし…目を、つぶればいいのだな… よし、こいっ…! …… ちゅっ… ……… いま… いま、した、のか…? …や、やわらか…かった… ど、どんな気分…と聞かれても…わっ、わからない… 何? それならもう一度、だと…? う… では、では、今度はその…私からしてみて…いいか? 今度は、君に目をつぶってもらって…だな…ん、そうだ、よ、よよよし、い、いくぞ…! …… ちゅっ… ……… くぅあぁぁぁぁ/////// なんだか急にっ…! 恥ずかっ、恥ずかしく…なって…! あ~~~~っ…! すすすす、すまなかった今日はっ…! こんな、こんなっ…! だ、だめだっ! 君の顔が、みみみみ、見れないっ…! ま、また明日なっ…! 今日は、そのっ…かかかか、帰るっ…! 明日っ! 明日必ず、感想、言う、からっ…今は、勘弁してくれっ…! で、ではなっ…! ぁぁぁぁ~~~~っ…!