雪山で遭難~猛吹雪の中、避難小屋を発見
【雪那】
…あの…大丈夫、ですか…?
ちょっと、失礼しますね……
【雪那】
こんなに体温低いのに、身体、震えてない……この様子じゃ、もう……
……服、脱がせちゃいますね……
動くと危険なので、じっとしていてください……
【雪那】
……ふぅ……こんなもの、でしょうか……
少しは、身体が軽くなっていると、いいのですが……
ごめんなさい……本当は、冷えた身体を温めるのが最優先なのに……
ここは避難小屋ですが、火をくべる事はできません……
私は、雪那(ゆきな)と申します……
この小屋は、私の住処……そして、人間には寒すぎる場所……
私自身から発せられる冷気で、ここは完全に、人間の生活できる空間ではなくなっております……
雪女……人々の記憶に根付く、人ならざる者……それが、私です……
人間のような温かみを持たない私には、着実に死へと向かう貴方を、助けてあげることができません……
……ですが、ひとつだけ、試させてください……
最期に、暗い暗い記憶ではなく、温かな感触が残るように……
雪女である私でも、もしかするとお役に立てるかもしれないから……
どうか今は、私に全てを、預けてみてください……