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猫又さんとお茶を飲む

にゃあ・・・うぅ、ん・・・ふわぁ・・・はいはい。 ここにいるわ。 ふわ・・・寒いからこたつの電源を入れて丸くなっていたのよ。 猫だもの、当然でしょう。 なによぅ・・・勝手にこたつを付けるなとは酷いわね。 今日はあなた以外誰もいなくて こたつ付けてくれる人がいなかったんだもの・・・まだ朝晩は冷え込むのよ。 暖かさを求めてしまうのは生き物なんだから当たり前じゃない。 もう若くないんだから・・・労ってちょうだい。 ・・・む、失礼な態度ね。 あーあ・・・悲しくなってきちゃったわ。 ぐすん・・・この哀れな年寄り猫のお願いも聞いてはくれないのね・・・酷い人にゃあ。にゃあすんにゃあすん。 ・・・ん?もちろん嘘泣きよ。 よく見破れたわねーいいこいいこー。誉めてあげるわ。 ご主人様の優しさに感動しちゃったにゃー。にゃあ。 たまには猫らしいところを見せておかないと せっかくの猫娘設定が忘れられてしまいそうだから。 全くあなたって人間は敬う気持ちが足りないわ。 せっかく猫又が憑いているっていうのに・・・。 おばあさまは優しかったわよ。 毎晩暖かいお布団で寝かせてくれたんだから。 人間の姿を真似て、人間の言葉をしゃべるから? この前やっと人の姿を取れるようになったのよ。 あなたくらいの年頃の男はそっちのほうが嬉しいだろうと思ってサービスしたのに・・・なにが不満なの。 この姿を見せて以来、猫のままでも布団に入れてくれないし・・・。 まあいいわ。 それよりも・・・そんな所に突っ立ってないでこっちへいらっしゃい。 こたつなら一緒に入ってくれるでしょう? 我輩の根城へようこそにゃあ。 ご主人さまはお茶をご所望かにゃあ。 にゃによぅ、せっかく出迎えてあげたのに。 それに、猫の一人称は「ワガハイ」が適切だと昔の文豪も言っていたわ。 まあ・・・あの猫の名前が「ワガハイ」だった説、なんてのもあるけれど。 ふぅ・・・ほら、足延ばしていいわよ。 冷えちゃってるじゃない・・・にゃあ。 今日は冷え込む日だから特別こたつが気持ちいいでしょう。 ほら、あたたかいお茶いれてあげるわ。 んしょ・・・こうやってね、蓋ではかるのよ。 はい、どうぞ。 それとお茶請けね。 みかんじゃないわよ、おせんべいと・・・あと、これはお母様の置いていった飴玉ね。 猫は柑橘系の臭いが苦手なの。 飴玉もオレンジ味以外でお願いするわ。 わたしの分も・・・ んくっ・・・んくっ・・・ふぅー、おいしい。 あったまるわね。 あなたもどうぞ。 せっかくなんだからあったかいうちに飲みなさい。 それとも・・・猫よりも猫舌だったかしら。 ん、そう・・・おいしい?それは良かったわ。 にゃふ・・・にゃふふ・・・。 にゃあに?お茶くらいゆっくり飲みなさい。 せわしない若者ね。 ふふ・・・こしょこしょー・・・・・・にゃあ? いたずらなんてしてないわ。 くっついてるからつい・・・体の一部があたってしまうことくらいあるかもしれないけど。 わたしのしっぽがあなたの耳にあたったとしても、それは偶然。 うん、もちろん偶然よ。 わざとくすぐったりなんてしてないわ。 そんなことより、おせんべいもどうぞ。 あーん、んくっ・・・ぽりぽり・・・おいしいわ。 お茶受けには最高よ。 おじいさまのお気に入りのお店のよ。 お母さまがご仏壇にあげてくれていたから持ってきたわ。 大丈夫よ、本人の許可は取ったもの。 にゃあ・・・だってわたし、妖怪だもの。 あなた以外はただ、おばあさまの飼い猫の子供か孫だと思っているようだけど・・・由緒正しい猫又よ。 行灯の油は舐めないけど。 しっぽだってほら、ちゃんと分かれてるじゃない。 別に・・・妖怪だからって悪さしなきゃいけない決まりもないし・・・。 人の姿が取れるようになったからといっても、 誰にでも見えるってわけじゃないみたいだし・・・。 元はただの猫、何の害もないわよ。 電気代に有害とか細かいことをいうんじゃないの。 男の子なんだからもっと大きく構えてなさいな。 ほらほら、そんなことはいいから・・・ もう一杯どうぞ・・・にゃあ。 にゃふ・・・んふふ・・・そうそう、ちょっとくすぐったいくらいで ピクピクするんじゃないのよ。 シッポは一本じゃないんだから、 たまたま両耳にふわふわの毛並みがあたってしまっても それはちょっと珍しい出来事というだけ。 ・・・うん、やっぱりいい味ね。 お茶もおいしいし・・・となりの飼い主はなんだかあたたかいし。 もっとくすぐってあげるからあたたかくなりなさい・・・。 ・・・にゃあ?うん、わざとお耳こしょこしょしていたわ。 よく見破ったわね。 自分で言った・・・かしら。 まあいいじゃない、そんなのは些細なことよ。 わたし、寒がりなの。 今の飼い主はあなたなんだから・・・あっためてちょうだい。 はなれちゃだめ。 にゃあ・・・にゃふ・・・にゃふふ・・・ 首筋もくすぐってあげるからカイロになってちょうだい。 ぴくぴく震えておもしろいわ。 笑いたいなら素直に笑ってもいいのに・・・こらえちゃって。 女の子にくすぐられて笑いたくないか・・・男の子ねえ。 でも愉快だから・・・そのままでいい。 そのまま横にいてちょうだい。 ・・・だめって言ってもくっつくわ・・・だって猫だし、妖怪だもの・・・にゃあ・・・。

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