戦いが終わって
よくぞ魔王を滅ぼしてくれました。勇者よ。
これで世界には平穏が訪れることでしょう。
さすがはわたくしの見込んだ男。
あなたなら必ず成し遂げると信じていました。
ならば、わたくしも約束を果たさねばなりませんね。
さあ。あなたの願いを一つ、おっしゃってください。
どんなことでもかまいません。
この世の平和とはかりにかけられるものなら、なんでも。
…なっ…!
…どんなことでもと申し上げましたが、それはなんとも大それたことを…。
…いいえ。よいのですよ。
少々、驚きましたが、その願い、確かに聞き届けました。
わたくしでよろしければ、喜んで、あなたのお子を孕みましょう。
…ふふふ。ご自分でおっしゃったのに、なんてお顔。
あなたがたの神話にもあるように、かつては人と神とがもっと密接に関わっていた時代もありました。
大昔には、わたくしだって戯れに人間に恋をしたことくらい…。
もともと、人間とは神に似せてつくられた存在。
人の快楽とは、神々の快楽でもあるのです。
それではわたくしも、ひさかたぶりに肉の官能を味わうとしましょう。
ただし、今、あなたが見ているわたくしの姿、聴いている声は、啓示を与えるために映し出された幻のようなもの。
実際に地上に降りてあなたと事に及ぶためには、人間と同じ肉体を形作らねばなりません。
それには人の強い想いと、依代が必要なのです。
…そう、ですね。
それでは、あなたにはこれからここで、精を吐き出してもらいましょう。
そうです。自分で自分を慰めて、わたくしの目の前で、お射精、するのです。
あなたの強い欲望と生命の証を媒介とし、わたくしは肉の体を得る。
本当にわたくしのことを抱きたいのなら、すべてをさらけ出して、その想いをはっきりと示すのです。