第9話 明日のことと、先のこと
[就寝前、ベッドの中で抱き合ってるふたり]
本当に、今日はお疲れ様だったな。
んふふ……帰ってきてからずっと抱きしめられてる気がするぞ?
ん……さっきみたいな、激しいのはダメだが……
私を抱きしめることでお前の体力と状態異常を少しでも癒せたらいいなとは思うから……
私を、宿屋のように使ってくれて構わんのだよ?
お前にとっての私は松の部屋なんだろう?
存分に癒やされてくれよ。ふふ。
……たくさん頑張ったんだよな。私には分かるよ。
私の幸せのために全力で生きてくれてるんだもんな……本当に嬉しい……
私もな、今日、一杯頑張ったんだ。
見知らぬダンジョンで迷って、いっぱい敵を倒して、レアなアイテムを手に入れて……
少しだけレベルが上がった気がする。今の私はグレード2のファイターだよ。ふふ。
先程は圧倒されて言い忘れていたがな?昼に出かけた先で面白いゲームを見つけたんだ。
二人で遊べるアナログゲーム……もうこっちで遊ぶ暇はなさそうだが、帰ってからでも、一緒にやろうな。ふふ。
ほら、もっと強く抱きしめてくれ。そのほうが落ち着いて眠れる……
(主「もう大丈夫なの?」)
ふふ……さっきのことなら心配するな。流石にもう大丈夫だよ。
全く、何を不安に思ってるんだか。
私はお前が思ってるほどやわじゃないぞ。
耐久度だって、お前がいつも修理してくれるから十分に残ってる。
壊れてしまうことがあるというのなら、それはお前の愛で一杯一杯になってしまってる時だが……
それも、一時的なものだろう?
でも、そうだな。
最後はこんなふうに……お前の腕の中で終わりたいかもしれない。
いや、これは別にいつものマイナス思考で言ってるわけじゃないんだぞ?
人間、始まりがあれば終りもある。
生まれた以上、生きている以上。それは避けられないことだろう?
時々、考えてしまうんだ。自分の終わりを、な。
でも、お前の……愛する人の腕の中で迎えられるのなら、こんな人生でも、ある程度の納得は行くんじゃないかなって。
(「馬鹿なことを考えてないで寝なさい」的な小突きを入れる主人公)
あたっ……んむ……小突くなよ……
まあ、確かに。お前には少し寂しい思いをさせてしまうかもしれないな。
でも……私だって、これ以上大切な人を失う悲しみを感じたくないし……お前を失ってしまったら、私はきっと耐えられないだろう。
考えるのだって、怖いんだぞ……うぅっ……
(少女を抱きしめる主人公)
ん……ふゅ……
…………
いつも私のわがままを聞いてもらっていて、こういうことを言うのも悪いと思うが……
私より先に、死ぬなよ……?
約束……して、欲しい……
(主「そこまで言うなら努力するよ」)
ふふ……ありがと……大好きだよ……
(自然と唇を重ねるふたり)
ん……ちゅ、ちゅ……んむ、ちゅ……
んふふ……お前とのおやすみのキス……本当に、好き。
お前が好きで、キスが好きで……でも、それだけじゃなくてな。
このキスは、言わばセーブポイントのようなものなんだ。
ここで中断して、眠ってしまっても……
また、起きたらお前の腕の中から再開できるから、な。
ふふ……ん、ちゅ……ちゅ、ちゅぷ……んちゅ……ちゅ……
……ん……ふぅ……一緒に眠るの、本当に幸せ……
なかなか機会がないし、一人で眠るのと違って、目の前に温度があって、息遣いがあって……
すごく落ち着く……安心できるんだ……
私の……居場所……んふ……
愛してる……大好き……ん……んぅ……
ん……くぅ……すぅ…………ふぅ……ん…………