後輩に同人音声がバレて……
はぁっ、はぁっ、はぁっ……。
せんぱい、ごめんなさいっ。帰りのホームルームが長引いて遅れちゃいました。
……あれ? 先輩、もしかして寝ちゃってます?
いつもだったらこの部室で、まだかまだかと私を待ち構えているのに珍しいですねぇ。
せっかく書いてきた小説を先輩に読んでもらおうと思ったのに……。
うーん。起こすのも悪いし、一人で読書でもしましょうか。
……。
先輩が起きてないと、なんだか読書も落ち着きませんね……。
慌てて部室まで来ましたし、髪が乱れてないか手鏡でチェックしておきましょうか。
ん……、よし。これで先輩がいつ起きても大丈夫ですね。
……それにしても先輩、よく寝てますねー。
こうも熟睡してるとイタズラしたくなってきますね……。
せんぱーい、起きてますかー?
……。
うん、やっぱりぐっすりと寝てますね。
……ふふっ、先輩、SNSとかやってるんですかね?
どんなことを呟いてるか気になるなー……。
あ、先輩の携帯電話って確か指紋認証でしたよね……。
寝てるうちに先輩の指を認証部分に当ててしまえば、携帯の中身が見れちゃいますねー……。
……よし、寝てる先輩が悪いんです。こっそり見ちゃいましょう!
……えいっ。
これで携帯の認証完了、っと。SNSアプリは……あ、これですね。
どれどれ……、先輩、アカウントに鍵をかけてるんですね。誰にも見られないようになってる。
日記みたいにSNSを使ってるのかな? えっと、先輩の呟きは……っと。
「今日も後輩の真鍋がかわいい。2年生にもなって入部するのは勇気が必要だったけど、文芸部に入って正解だった」
……。私のこと、かわいいって呟いてる……。ちょっと恥ずかしい、かも……。
先輩ってば元から文芸に興味があるような感じではなかったですけど、そんな動機だったんですか。
他にも何か呟いてないですかね……。ええっと……。
「今日は真鍋が書いた小説を読ませてもらった。小説の事はよく分からないけど新人賞に応募とか勧めてみようかな。真鍋の小説おもしろいし」
……お、先輩こんなこと呟いてる。な、なんだか照れちゃいますね……。
実際に読んでもらった時は、ぶっきらぼうに「良いんじゃない?」としか言ってくれませんでしたし。
……ふふっ。……ふーん。素直に嬉しいぞー。ご褒美に寝顔をつついてあげよう。えいっ。えいっ。
あともう少しだけ先輩の呟きを覗き見しちゃいましょう。どれどれ……。
「今日は掘り出し物の同人音声を見つけたぞ! しばらくはコレを使おう!」
ん……? 同人……音声……? なんのことでしょうか? 音声……? 使う……?
よくわかりませんね……。どこかにタイトルとか呟いてませんかね……。あった。えっと……。
「気になっていた後輩に射精我慢させられるオナサポ音声」……?
…………はぁ。同人音声が何かは知りませんが、もうタイトルでどんな内容か何となく察しがつきますねコレは……。
ご丁寧にもこの携帯に、同人音声……?のデータが入っていますし、試しに聞いてみますか。
私がいつも使ってるイヤホンを先輩の携帯につなげて……。よいしょ、再生開始っと。
……。
……んん。
……ああー……。
なんというか……、本当に想像通りでしたね……。
先輩……、一人でえっちする時、こんな変態ちっくな音声を聞きながら、シてるんですか……。
まごうことなき変態ですね……。普通の女の子だったら、ちょっと引いちゃいますよ。
まあ先輩も男の子ですし、一人でえっちするくらい、私は気にしませんが。
うーん……。「気になっていた後輩に射精我慢させられるオナサポ音声」……ですか。
いや、やっぱり先輩は変態なんじゃないでしょうか?
……。
このことをネタに先輩を脅して遊んでみる……というのは悪趣味ですかね?
先輩の主導権を握ってみる、ってなんだか楽しそうですし。ふふっ。
……ん?
……わわっ、せ、先輩!? いつの間に起きてたんですか!?
え? 私の方こそいつから携帯を覗いてたのか、って?
えーっと、30分くらい……ですかね? す、すみません。寝てる間に勝手に先輩の携帯を覗いてました。
……どうしたんですか先輩。顔が真っ青ですよ。
「お願いだから同人音声のことは、皆には言わないでほしい……?」
ふふーん。どうしましょうかー……。
確かに先輩がこーんなえっちなもの聞いてるって皆に知られたらー……、大変なことになっちゃいますね?
だってタイトルが「気になっていた後輩に射精我慢させられるオナサポ音声」ですよ?
内容が、ちょっとまにあっくというか、えっちすぎますよねー?
うーん、そうですねー。今から私が言う事に答えてくれたら、言いふらすのをやめてあげてもいいですよ?
じゃあ質問! こういう音声ってどこで手に入れてくるんですか?
へぇ。ネットで一本700円とか1000円とかで売られているんですねぇ……。
……って、新刊の小説が一冊買えるじゃないですか!
この前も私のお勧めの小説を「金欠だから」って買うの断ってましたよね!?
オナサポ音声……でしたっけ? 私が実際に口頭で先輩に指示すれば、その、オナサポ音声の代わりになりませんかね?
それで浮いたお金で、私のお勧めの小説を買って読んできてくださいよ。
文芸部らしく、お互い読み終えた小説について討論したりとかしたいんですから。
え? 実際に知っている人にオナサポ指示されるなんて恥ずかしすぎて無理……?
だって「気になっていた後輩に射精我慢させられるオナサポ音声」なんて聞いてるんですし、興味ないわけじゃないですよね?
先輩は気持ち良くなれるし、私は先輩にお勧めの小説を買わせて文芸部の活動をさせられるし、ウィンウィンじゃないですか。
それに私の言う事を聞かないと、皆にバラされてもっと恥ずかしい目に遭っちゃいますよ?
……はい♪ 先輩から無事了承も取れたことですし、さっそくオナサポ……?をやってみましょうか。
とはいえ、私、当たり前ですが、やり方が分からないんですよねー。
せっかくですから、先輩の携帯の中に入ってた「気になっていた後輩に射精我慢させられるオナサポ音声」の流れに沿ってやってみましょうか。