01
ふんふふ~ん、んふふ~ふふ……うん、できた!
ほら、どう?
素晴らしい完成度でしょう。
……えぇそうね、ソックリだわ。
まるで鏡に映したかのように瓜二つ……凄いわね。
二卵性の双子なのにこんなにソックリなんて……お父さんたちでも見分けが付かないんじゃないかしら。
ふふふ……んん?
それはまぁ、あなたは男の子だものね。
お化粧はしなくちゃ。
けど、まつげを増やしてるわけでもないし、厚塗りしてるわけでもない。
ほんの少し手を加えただけで、姉の私と同じ顔になる……男の子なのに、こんなに綺麗な顔をしてるなんてね。
私の双子として生まれたことを、誇りに思うといいわ。
あぁ、とても素敵……こんなに可愛くて綺麗な女の子、どこを捜してもいないでしょうね。
えぇ、私は自分の顔に自信があるもの。
だから、もっともっと自分を見ていたいの。
いつでも自分を眺めていたいんだけど、ずっと鏡を見ているわけにはいかないでしょう?
だから、同じ顔をした弟を便利に使おうと思って。
あなただって綺麗な私と同じ顔になれるんだから嬉しいでしょ?
あら……今どきは男の子だって綺麗な顔をしているものよ?
それに、この美しさに男も女もないわ。
性別を超えてる。
そうねっ、そうよ。
まるで天使みたい!
あぁ、素敵だわ。
私ってば天使だったのね。
たまにはいいこと言うじゃないの、ふふふ。
私の弟に生まれたおかげで、おかげであなたも天使になれたわね。
だから、この化粧も……私の服も、とってもよく似合ってるわ。
本当に、私がもう一人いるみたい。
あぁ、これで視界にはいつも私自身がいる……いつでも綺麗な私を見ていられるのね。
あら、何か問題があるの?
……はぁ、あなたの時間?
やぁね、弟は姉に絶対服従するものよ?
だから、私がいいって言うまで私の目に見えるところにいること……わかった?
さすがにトイレやお風呂は許してあげるわ。
でも、必ず私の許可を取ってからね。
あぁでも、一緒について行こうかしら……えぇ。
トイレやお風呂も!
何言ってるのよ、姉弟じゃないの。
ほんの少し前までお風呂は一緒に……トイレは別だったけど、気にしなくても……する?
あらそう。
それは残念ね。
まぁ、綺麗な私はトイレなんて行かないけど……なーんてね♪
大丈夫よ。
私は排泄物も綺麗だからね。
あぁはいはい、トイレの話はもういいわ。
とにかく、家にいる間は私の側から離れないこと。
いいわね?
何で急にって……急じゃないわよ?
ずっとこうしようと思ってたの。
だってあなた、日に日に私に似てくるんだもの。
最初は、私は私一人でいいって思ったんだけど、ある時から考えを改めてね?
どうせなら同じにしてしまおうって。
そう。
それで、私の格好をさせて、私の顔にしたの。
そうすれば、あなたを憎まなくてすむでしょ?
だって、私は自分が大好きだもの。
私に似た誰かはいらないけど、私自身なら、ね。
だから、あなたは私自身になるの。
学校では離れていられるからいいけど、家の中では一緒だもの。
だったら、むしろもっともっと一緒になればいいと思って……いいアイデアでしょ♪
そうよ、これが一番なの。
そしたら私は、自分の偽者を見なくてすむ……一番綺麗で可愛い、私自身を見ていれば、私は幸せだもの。
それにあなたも幸せでしょ?
……可愛い姉になれて。
あぁ、可愛いわ。
とっても可愛い。
私は今日も綺麗で、素敵だわ……んはぁ、あぁ、あぁん。
いいわね、これ。
鏡に向かって言うよりも、自分自身に言っている感じが強いわ、はぁはぁ。
んふふ、素敵。
たまらないわ……あぁ、はぁはぁ、可愛いわよ。
えぇ、とっても可愛いわ。
だからこそ、私は誰からも愛される。
私自身も、私を愛してるわ……世界で一番、愛してる。
ねぇ、そうでしょ?
あなたも、私を愛してるでしょ?
んふふっ、そうよね。
愛してるに決まってる……だって、あなたは私だもの。
自分のことを愛していない人間は絶対にいないわ。
人間は誰でも自分が一番可愛いものよね。
だから、少しくらい自己愛が強くても、まったくおかしいことじゃないわ……自分自身を愛するのは、人間の性なんだもの……ねぇ~、んふふ。
だからぁ……んっふ。
ちゅっ……んん!
あ、あん!
こら、なんで抵抗するの?
あなたは私なんだから、キスするに決まってるじゃないの。
つまらないことであなた自身に戻らないでくれる?
いいわね?
あなたは私の思い通りになっていればいいのよ……そう、あなたは私。
私は、自分自身を愛しているんだから……ん~っちゅ♪
ちゅっちゅっ、んん、んちゅっ、ぺろ~ん。
あふ、ふふふ。
キス、気持ちいいわ。
鏡にキスするのとは大違いね。
やっぱり、生の唇って素敵……実物っていいわぁ、んっちゅ。
ちゅっちゅっ、ん~っちゅ。
んむんむ、ん~っぺろん。
ぺろぺろ、れろっ、んん、んっちゅ……んもう、あんまりガチガチに固まらないの。
キスは嬉しいものでしょ?
だからもっと自然にしなさい……ん~っちゅ、んふん。
ぺろぺろ、んん。
さぁ、こっちにいらっしゃい。
今夜はずっと一緒にいましょうね……あら、自分自身と一緒に寝るのに、何か問題があるの?
ないわよね?
えぇそうよ、だってあなたは私なんだもの。