01
あっ……お、おかえり。
ねぇ?
もしかして今日も……や、やっぱり買って来ちゃったのね!?
しかも三つも!?
な、なんで……バイト代出たから?
うぅ、そんな。
そんなぁ……ゴクリ。
駄目!
う、ううん。
本当は嬉しいのよ?
いつもケーキやおやつを買ってきてくれるのはとっても嬉しいの。
大好きよ♪
……で、でも、あの、その……お姉ちゃん、そろそろお肉が。
だから駄目なんだってば!
これ以上お肉が付いちゃうと……ううん!
これ以上になるともうぽっちゃりとは呼べない。
ううん、すでにぽっちゃりじゃなくておデブさんの域だと……。
そう言ってくれるのは嬉しいんだけど~!
それに、そう言ってくれるのはあなただけで、最近はお母さんにもちょっと食べすぎって言われてるから……それにほら、あなたのバイト代。
うぅ……そりゃあ、自分で稼いだバイト代なんだから好きに使っていいとは思うんだけど。
そのお金でお姉ちゃんが大好きなデザートを買ってご馳走してくれるのは嬉しいんだけど~!
元々太りやすい体質だから、あんまり甘い物食べ過ぎると……だ、大好きだけどっ、食べすぎるのはよくないでしょ?
あぁーん。
そう言ってくれるのはあなただけなんだってば~!
そ、そう?
でも、世の中の男の人ってみんな痩せてる人が好きじゃない?
え……あぁ、それはまぁ、オッパイ大きいアイドルの方が受けは良いかもしれないけど……で、でもほら。
そういう人は、お腹は引っ込んでるじゃない?
バストはあって、ウェストはくびれてて、ヒップもあるけど太ももはそんなに太くなくて……でも、お姉ちゃんはタプンタプンだしぃ。
そんなことあるんだってば~!
今日だって友達に……もうちょっと痩せたらモテるわよ?
とか言われたし。
え……べ、別にモテたいわけじゃないけどさ、えへへ……う……あうぅ。
すみません。
ちょっとはモテたいです……だ、だってお姉ちゃんだってお年頃だし?
交際経験のない女ってモテないって言うし……え?
あ、うーん。
だってあなたは弟だし……ねぇ。
あぁ、ち、違うの!
大好きよ?
お姉ちゃんのことわかってくれるのは、いつだってあなただけだわ。
えぇ、大好きよ、大好き……本当は今日もケーキ買ってきてくれて凄く嬉しいの。
甘い物大好きだもの……けど、あなたが買ってきてくれるから嬉しいのよ?
あなたが大好きだから、一緒にケーキを食べられるのが嬉しいの……で、でも……本当にもうお肉が~……。
え……ダイエットは明日から?
そ、そういうこと言ってるから、いつまで経ってもダイエットできないのよ。
だから、今日こそはって思い立ったが吉日……え?
す、捨てるって何を?
買ってきてくれたケーキを捨てるぅ!?
なななっ、何言ってるの!
そんな酷いことできるわけないじゃないの!
あなたが一生懸命お仕事したお金で買ってきてくれたケーキなのよ?
粗末になんてしたら、お姉ちゃん死ぬまで後悔するわ。
どんな罰が当たるのか、わかったものでもないしっ……だ、だから、そうね。
ダイエットは明日からで……ゴクリ。
うぅ、結局ぅ。
ううん、いいの。
ケーキが大好きな私が悪いのよ……あなたは少しも悪くないわ。
だから、今日もね。
ほら、おいで?
ありがとうのハグぅ、んん、んふ。
あぁ、今日も抱き心地最高。
ケーキのお返しがこうやって、ぎゅ~ってしてあげるだけなんて寂しいわ。
本当はもっといろんなお礼をしてあげたいんだけど……お姉ちゃん馬鹿だから、何も思いつかないのよね。
えぇ、いいの?
うん、いつもそう言ってくれるのは嬉しいんだけど……こんな風に抱き締めてあげるだけだなんて。
だって、家族なら抱き合うのなんて普通じゃない?
え……そうね。
今日もお腹がいいの?
えぇ、わかったわ……ん、んふ。
確かに、お腹に顔をうずめるのはあんまり普通じゃないかもしれないわね。
弟の顔をお腹で感じるなんて、なんだか変な感じぃ。
んん、んはぁ、はぁはぁ。
あ、あんまり擦り付けたらくすぐったい……あん!
んん、んん……んあ!?
ひゃん!
お、お腹の鳴る音聞いちゃ駄目~!
んもう、馬鹿~!