プロローグ
「アカナメ」
日本に古来より存在するその妖怪は
人の垢を舐めて育つと言われている
特筆すべきはその長い舌
ぬらぬらと唾液を出しながら
肌をなぞり垢をとっていく
アカナメは積極的に人を襲うことはないが
それでも生きるのには困らないという
なぜだろうか
それは
一つはアカナメが
絶世の美女とも、美少女の姿であるとも言われるため
そして
アカナメに舐められるその感覚は
快楽そのものであるからだ
一度アカナメのエサになった人間は
その快楽が忘れられなくなってしまう
アカナメの舌が体中をじゅるじゅると這い回る
くすぐったいようなぞわぞわするような
体中が敏感になったような感覚
そして、我慢できない絶頂
最近、町ではこんなうわさがある
アカナメを家に呼ぶ方法についてだ
方法は簡単
夜中の2時
町が寝静まって音のなくなった時間
ドアの前に塩水を垂らした小皿を置く
それはアカナメへの合図だ
鍵が開いています
どうぞ入ってください
アカナメはそれを見つける
それを見つければ
きっと入ってきてくれる
エサに飢えたアカナメは
すぐにアナタの姿を探すだろう
もし、アカナメが入って来たとしても
アナタは絶対に動いてはいけない
裸のまま横になって
ただ目をつぶっていなければいけない
なぜなら、アカナメはとても臆病な妖怪だから
最初は、アナタが本当にエサになってくれるかどうか
冷静に見極めているだろう
しかし、飢えたアカナメは
アナタが動かないのを確認すると
すぐに体にすりより
そして
舐め始める
いつまでもいつまでも
アナタをじゅるじゅると
なぶっていくように