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第1話 鳥籠姫

[昼過ぎの寝室・くっついて眠ってる、前日に朝方までゲームやってたふたり] (自然と同じくらいのタイミングで目が覚める) んぅ……ん……んむ…… ふあ~あぁ(あくび)……んむ……ん…… (主「おはよう」) ん……あ、おはよう…… んふふ……なんだよ、お前…… 連休だと私みたいな生活リズムになるんだな…… やはり、お前と一緒に寝て起きてをできると、一緒に生きてるんだなって実感できる。 同じ時間を生きる……こんな幸福なかなかあるまい? 正月休みに感謝だな……ふふ…… (主「何が食べたい」) ん……朝ごはん? そうだな……ハムエッグ……エッグはスクランブルで頼む。 (主「もうお昼だけど」) ふふ……昼でも構わんさ。 私が目覚めたこの時が、私にとっての朝なんだからな。 お前だって、私からそう呼ばれる時だけ「お前」になるだろう? そういう話だ。主観のな…… 主「何言ってるのかよくわからないけど、わかったよ」 ん……まだちょっと寝ぼけてるかも……ふふ……ありがとな 。 あ、そうだ……では、私に卵の焼き方、教えてくれるか? 前に言っただろ?私もやってみたいって。 お前はいつもパパッとやってるようだし、そんなに簡単なら私にもできるはずだ。 (主「じゃあ、一緒に作ろう」と手を差し伸べる) ん……ありがと。 なんだかこうされるの、少しロマンチックだよな。 手を差しのべられて、鳥籠から救い出される姫のようじゃないか。 伸びたTシャツとボサボサ髪で姫という感じでもないが、お前にとってはこれでもいいんだよな? んしょ……(主人公に起こしてもらう) ふふ……ありがとな。愛しのナイトよ。 (手を引いたまま少女の体を寄せ、そのままキスをする) ん……んむ、ちゅ……んちゅ……ちゅう…… んふふ……目覚めのキス、素敵だ。 本当に、(手を差し伸べてくれたのが)お前でよかったよ。 私は、今こんなにも幸せだ。 私なりのペースではあるが、少しずつ、お前にふさわしい女の子になりたいと思ってるんだ。 ただ可愛がられるだけの姫じゃなくてな? お前と共に戦っていける、バトルプリンセスになりたいんだよ。 だからお前も私のこと、レベルを上げて、スキルも上げて、 ちゃんと使えるパーティメンバーにしてくれよな? [少し後、キッチンで料理してるふたり] (あまりうまくいってない様子の少女) んむぅ……卵を焼くだけと言っても、やってみると意外と難しいんだな…… 完全に卵そぼろだ……もうちょっとふわっとした感じになる予定だったのだが…… (主「火が入り過ぎたね」) なるほど……温まりすぎると固くなるのか。 だったらもうちょっと早く仕上げればいいのか? ん……奥が深い…… 横で見てる分には簡単そうに見えたんだが、やはり一朝一夕にはいかないか…… (主「じゃあこれは僕が食べるね」) あ……いや。これは責任もって自分で食べるよ。 お前に失敗作を食べさせるわけにはいかないし、ましてや食材を無駄にするわけにもいかないしな。 (主「僕は君の作った料理が食べたいんだ」) ん……そうか? まあ、そこまでいうのなら食べてもらうのもやぶさかではない。 料理、というには粗末な出来ではあるが……な。 お前も、女の子の手料理とか、そういうのに憧れたりするのか? (主「うん、嬉しい」) そうかそうか……それならば、私も嬉しいよ。 確かに、初めてかもしれないな。こうやってキッチンに立って、自分だけで何か作ったの。 焼く以外の下ごしらえは全部お前にやってもらったから、「自分だけ」というのは誇張表現かもしれないが…… だが、これで確実に料理のタレントスキルがレベルアップしたはずだ。 スクランブルエッグの基礎ポイントが0から1になったよ。ふふ。 それだけでも、私にとっては十分な進歩だ。 じゃあ、次はお前だな。私の分、作ってくれるか? わたしは……うん。横で見てるよ。 [朝ごはんを食べてるふたり] むぐむぐ……んむ…… ん……やはりお前の作った朝食は良いな…… パンもサクサクで、卵はふわとろ…… 幸せな1日の始まりの味だな……うん。 この味のお陰で、私の時間は更に豊かになるんだ……ふふ…… しかし、お前が毎日この時間に家にいるの、なんだか違和感があるよな。 (主「邪魔だったかな」) な、何を言ってるんだ!邪魔なわけがあるか……! 私はただ、こんな毎日だったらもっと幸せなのになって、そう言いたかっただけだよ。 第一、お前の家に勝手に居座ってる私にそんなこと言う権利はないだろう? だが……ん……仕事で忙しそうにしてないお前は、いつもよりも優しい目をしている気がするよ。 (主「あんまり見つめられると照れるんだけど」) んふふ……いいじゃないか。減るものでもあるまいし。 お前の目……本当に好きだなぁ…… 今日は特に……ふふ。 やっぱりストレスの問題なんだろうか? 何事も、心の負担は軽い方がいいもんな。その気持ち、よくわかるよ。 私も以前は毎日辛い思いでいっぱいだったが、今ではその感覚もすっかり忘れてしまったよ。 それもこれも、お前が隣にいてくれるから……お前が私を守ってくれるから、なんだぞ。 ありがとな…… だから今だけは……この正月休みの間だけでも、仕事のことは忘れて、のんびり過ごそうじゃないか。 それに、今日も特に予定はないんだろ? じゃあ、また後で一緒にランク上げ、手伝ってくれないか? 私の方、後ちょっとで新しいブキが解放されるんだ。 ネットで調べる限り私にぴったりの性能みたいだし、それで一緒に戦えば、もっと強くなれると思うんだ。 (主「いいよ。せっかくだしね。」) ああ。では、さっさと食べて出陣だな! (トーストにかじりつく少女) はむっ……むぐむぐ……んふふ……

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