Track 1

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おかえり、聖騎士様!

……只今戻りましたー。……おーい、誰かいないかー? ただいまー。 あぁ、お前か。ただいまっ。と、いうか……、久しぶり。今、帰った。うん。 ふふっ、出迎えに来てくれたのは嬉しいが、そんな、走って来なくてもいいだろう。 戻った、と言っているのだから、私はどこにも行かない。 ん? 荷物? 荷物がどうした。……あ、持ってくれるのか? 大丈夫だ、これくらい持てる。 いや、遠慮してる訳じゃ……持てると言っているだろう。あ、うん、これは皆へのお土産と、……こっ、これは私物だからいい。 ……悪いな、すまん。ありがとう。正直助かる。今回の遠征も長旅だったからな、実はもうヘトヘトなんだ。 ……どうした? 両腕を広げて。……ハグ? ばっ、ばかめ! 帰ってくるなりすぐそれか! 私をいつでもどこでもそういうことをするような、浅ましい女と思うなよ! いいか、お前の妻は、王国の随一たる、聖騎士なんだからな! お前も夫として、清く正しい素行と態度を……。 ……なんだ。なーんだ。そのままのポーズでいたって、私は抱きついたりせんからな。……あ、あなたなどとも言わん! ……なぁ。メイドさん達に見られたら、恥ずかしいだろ……。何が大丈夫なんだ……。くぅ……、こんの……。 ……んもう、わかった、ちょっとだけな? ……ぁ、いや。やっぱりやめだ。うん。ざ、残念そうな顔をするな。 あー、その、だな。こ、今回の遠征は長かったと言ったろう! だからつまり、その、久しく水浴びなんか出来てないから……だな、えっと、汗とか、が……。 ええい! 恥ずかしいことを言わすな! ほらもう、どいてくれ! わっ、やめろ! 抱きつくな! こら! ……んんっ、こんな時だけ無駄な力を……! にっ、匂いを嗅ぐな! やーめーろ! んっ、このぉ、んむぅっ! ん、んふー、んふ、ふー、ふー、んふ、ん、ん…… んちゅ、ちゅちゅ、んふ、ちゅぅ……。ちゅぷ、ちゅ……。 むちゅ、ちゅ、ちゅう……。ちゅはっ、んる、るろぉ……。 ぷぁ。こ、この、不埒者め……。い、嫌じゃ、ないが……んむっ。 んむっ、ん、んぅ……。ちゅく、ぷちゅ……。ちゅ……。 ちゅる、んちゅ、ちゅりゅ、んろ……。んぁ、あむ、むぅ……。 むちゅ、んちゅ、ちゅ、ちゅちゅ……。ちゅぢゅ、えろ、れるぅ……。 っぷぁ。……ぅ、ぁ……。やっぱり、キス、上手い……。 私は、なんかその、お前のそういうやらしいので、大人しくさせられてしまうのが、ちょっと、自分に腹が立つ……。 ……満足、か? た、足りない?! あ、う、うぅ……も、もうおしまいだ! さぁ、とりあえず部屋に戻って着替えを…… ふぁ、あ、あっ! め、メイドさん! あの、いえ、違うんです、これは! こいつがその、言うから、仕方なく! あっ、いや待て、仕方なくしたんじゃないぞ? 私もしたかったからしたんだし、あああ、いや、だから、あの…… わ、笑わないで下さい! ……うぅ……。い、今、戻りました……。これ、お土産ですから、屋敷の皆で食べて下さい……。 ええ、ありがとうございます。荷物も……はい、私達の部屋へお願いします……。いっ、今のは内密にして下さいねっ! くれぐれも! ……行ったか……。ああああ、もう、馬鹿! おっ、お前がこんなところで求めるから、こんなことにぃ……っ! 全然大丈夫じゃなかっただろ! すごく微笑ましいみたいな顔をされたぞ! 馬鹿者! ええい……。ま、まぁ、いい……。終わったことだ……。とりあえず、着替えをしてくるから……なに? どうしてだ。 先に食堂なんか行ったら、お腹が減るだろう。それより先に着替えを……わ、こら、引っ張るな! なっ、なんだ、どうした! この、豪勢な食卓は! うわー、すごいな。こんな大きいケーキまで!  ……えっ、これ、私一人で食べていいのか! ほんとか!? ふわー……。メイドさん、よくこんなに…… お、お前が作ったのか? この料理達を!? 一人でか!? 凄いな、よく頑張ったな……。 ……む? 今日? 何かあるのか? 特に何かの記念日という訳でも、ないだろうに……あ、いや悪い。待て、思い出す。 えー、今日は遠征から帰ってくる日だから、えっと……何だっけ……。あぁ! ぁ、わ、私の誕生日、か……。そうか……。 最近忙しかったから、すっかり忘れていた……。それで今日はやたら、兵たちが労ってくれてたのか……。合点がいった。 ぁ、いや……その、なんだ、あ、りがとう……、ございます……。 こんなに立派に祝ってもらったのは、子供の時以来だ……。 ……ぅ、ぐすっ、ん、すまん。ちょっと、胸にきた……。いや、大丈夫……。 あ、あっ! この、こんなにケーキにろうそくを立てて……!  しかもこれ、1本多いんじゃないか?! いち、にー……いや、多いぞ確かに! ちゃんと数えろ! せ、せっかく感動していたのに……! なんて奴だ! だ、大体、ケーキにろうそくというのは、子供にするものだろう! こんな、こんなハリネズミとは言わないまでも、たくさんたくさんぷすぷすと……。 それに、テーブルいっぱい料理を用意して! 太ったりでもしたらどうする! 私は一応、王国の象徴なんだからな! それをお前、皆の前で演説でもする時に、まんまるいぷよぷよなのが出て行ってみろ! しかも肥えた理由が夫の手作り料理の食べ過ぎだぞ! 訓練してるから無いと思いたいが、そんなの情けないだろ! ……あ、いや。待て待て。か、片付ける事は無いだろう。そ、それとこれとは話が別だ。食べるぞ、食べる。うん。 それはもう、謹んで頂くとしよう。なんと言っても、お前が作った料理なんだからな。お腹も減っているし。 ……な、なんだ! にやにやして! やめ、その目をやめろ! そんな目で見るな! っ、くぅ……。 お前、わ、わかっててやってるんだろう! 私が、その、喋るのとか、不器用なのを知ってて……。 こ、これでも、最大限に感謝、してる、んだ! つ、伝わってるかどうかわからんが……。 ……伝わってる? ほんとにか? ……そ、そうか、ならいいんだ。うん。ありがとうな。 さ、さぁ、じゃあ、もう食べてしまおう! 冷めてしまうのがもったいない! さっさと着替えてしまうから、準備をして待っててくれ! すぐ戻る!

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