Track 2

食後のマッサージ♪

あ、おかえりー。洗いものは終わったのか? それくらいメイドさんがしてくれるだろうに、頑固な奴だな。 片付けまでが料理なのか? 私は中々した事が無いから分からんが……お前がそう言うならそうなのかな。お疲れさま。 ……しかし、久々の我が家が、こうゆったりできるものとはな。ついソファに腰掛けたまま寝てしまうところだった。はは。 あっ……。んんっ。い、いや、別に? 何でもないぞ。 その、ただ、何だ。せっかく同じソファに座るのなら、そんな離れてなくてだな、もうちょっと近くにくればいいんじゃないか……と思っただけだ。 ち、近い! ええい、限度があるだろ! いや、こっちへ来いと言ったのは私だが……。 なぜ更に近づく! この……。く、お、落ち着かんな……。まぁいい。 あー、さっきも言ったが、うん、御馳走様でした。大変美味だったぞ。 実によく食べた……。久しぶりに食というものを堪能した気がする……。 ……まあ、そうだな。遠征中はなかなか美味しいものは食べられなかった。 そうだぞ、干し肉なんかな。栄養もそれなりだし、一応美味しくないことはないんだが、やっぱりこうやってテーブルに並ぶあったかい料理の方が美味しいな。 あ、あー、いや、えー……な、んだ。うん。 お前が、その、作ってくれたから、特別美味しいというのも、ある、かもしれん。 と、言ってみたり、してな。ん、んんっ。げほげほ。んんっ。 少しの間 ……くぅ、な、なんとか言え! なんとか……笑うな! せっかく一生懸命考え……ごほん、いや、何でもない。 少しの間 そ、そういえば、洗い物をして、手が冷たくなってるんじゃないか? ん? やっぱりか。そうか。 じゃあ、私があっためてやろう。手を出すといい。……てっ、手を繋ぎたがってる訳じゃない! 馬鹿者! そんなこと言う奴はもうしてやらん。……ふん、人の善意をからかうな。ほら、早く。 ん……やっぱり、冷たいな……。まるで氷のようだ……。いつも悪いな……。お疲れ様。 んん……? ああ、何か手に当たると思えば、結婚指輪か。ふふ、これを見るたび、幸せな気持ちになる……。私? 私も当然付けてるぞ?  というか外す訳無いだろう……。お前にはめて貰ってから、ずーっとこの指に納まっている。私がお前のものである証だからな。 どんな時であっても、外すつもりはないぞ。これがあるだけで、常にお前と共にあるようなものだ。どんな剣より、どんな鎧より心強い。 ……なっ、何を照れてる! わ、私は恥ずかしいことを言った覚えは……やめろ、真似するな! やめろぉ! こら! ……もぅ。人が真面目に言った事を茶化すんじゃない……。まったく。反省をしろ、反省を。 少しの間 い、いやしかし、あれだ、本当に疲れた。大変だったんだ、今回の遠征は。 色んな事件があったりしてな。良い事も悪い事もあって、まあそれなりにいい経験にはなったが、それでも気苦労の方が多かった。 やっぱりこう帰ってくると、我が家が一番だな、と実感するよ。明日はお休みを頂いたしな、ゆっくりできる……ん、んんーっぅ! ……え? マッサージ? いや、ありがとう。大丈夫だ。うん。 ……そんなに疲れたと言っていたか? あー、すまん。ちょっと気が緩んでいたみたいだ。以後気をつける。 いい、大丈夫だ。大体、それを言ったらお前だって疲れてるだろ。 私はしないから分からないが、あれだけの料理、献立を考えるのだけでも大変だったんじゃないか? うん、なら、お互い様だ。お互いに責務を果たしてるんだ、少々の疲労は仕方ない。 ……なんだ、やけに食い下がるな。そんなにマッサージしたいのか? ま、まさか、私の体に触りたいだけじゃないだろうな。……本当だろうな? 本当だな? ふふっ、まあ、そこまで言ってくれるなら、お言葉に甘えるとしよう。 悪いな、なんか。うん、うん。ありがとう。 えっと、じゃあ、どうすればいい? 絨毯の上に寝転べばいいのか? うつ伏せに? ん、わかった。ん、しょ……。 ふぅ……。それで? 後はされるがままか? わかった、任せる。 す、すこ、少しでもいやらしい事をしてみろ。外に放り出してやるからな。わかったな。 あぁ。……じゃあ、すまん、頼む。 あ、あぁ……。おぉ……。すぅ……ふぅ……。 なかなか、上手いじゃないか……。いいな……。 あっはは、いや、本当に……。いい気持ちだ……。力加減もいい具合だぞ……。 肩から背中ときて、腰へ降りていくんだな……? はふぅ……。 うぅん……マッサージかぁ……。昔は訓練の後、筋肉の凝りをほぐすとかで、ぐいぐいぎゅうぎゅうされたものだが……。 ああ、じいにな。もう、痛くてたまらなかったのに……。 いつのまにか、こんなに気持ちよくなってしまった……。はぁ……。 これは本当に、疲れ、取れるな……。ふぅ……。 あぁ……。すまん、これは……寝てしまうかも、しれない……。 くぁ、ふぁあ……。あー、すごいな、お前のマッサージは……。 正直、侮っていた……。また、頼んでいいか……? うん……。是非お願いする……。 ……だめだ、心地よすぎる……。ちょっと、寝るな……。悪い……。 ……んっ……。ふぅ……。……んんっ……。 んぁ、んん……。んふ……、んぅ……。 ふぁ、ぁ……。ぅぁ……。んん……。 く、くぅ……。ふぁあ、ぁ、ぁっ……。 ぅぁ、ぁぅ、ぁ、あ……? んん……? あ、こら、ば、ばかもの! 人の胸を、勝手に……ふぁ……っ! や、やらしいことはするなと、言ったのにぃ……! んんっ……! こら、やめろ! ふぅっ、やーめーろ! もう! ぅぁっ……! ひうぅっ! や、耳は、だめ……っ! あ、ふぁ、あ、あぅ……っ! だめ、あっ、くぁぅ……っ! ふうぅ……、うぁ、あんっ! やぁ……。も、もぅ、この、あっ、いい加減に、しろっ! けっ、獣かお前は! せっかく人が気持ちよく寝ているのに! そ、そういう、いやらしいことしか頭に無いのか! 時と、場所を、選べ! 食後のゆったりした時間に、こういうことをするな! マッサージ、すごくよかったから、また頼もうと思ったのに……。これでは安心して身を預けられんだろう!  いくら妻だからと言ってな! いつでもどこでも応えると思うなよ! ばかもの! もういい。ふん、がっかりだ、お前には。この色情狂め。ふーんっ。 先に湯浴みをして、ベッドで反省してろ。いいな。私は、お前が出た後行く。 その後お説教だ。寝てたりしてみろ、承知しないからな。 ほら、行け! 早く!