食後のマッサージ♪
あ、おかえりー。洗いものは終わったのか? それくらいメイドさんがしてくれるだろうに、頑固な奴だな。
片付けまでが料理なのか? 私は中々した事が無いから分からんが……お前がそう言うならそうなのかな。お疲れさま。
……しかし、久々の我が家が、こうゆったりできるものとはな。ついソファに腰掛けたまま寝てしまうところだった。はは。
あっ……。んんっ。い、いや、別に? 何でもないぞ。
その、ただ、何だ。せっかく同じソファに座るのなら、そんな離れてなくてだな、もうちょっと近くにくればいいんじゃないか……と思っただけだ。
ち、近い! ええい、限度があるだろ! いや、こっちへ来いと言ったのは私だが……。
なぜ更に近づく! この……。く、お、落ち着かんな……。まぁいい。
あー、さっきも言ったが、うん、御馳走様でした。大変美味だったぞ。
実によく食べた……。久しぶりに食というものを堪能した気がする……。
……まあ、そうだな。遠征中はなかなか美味しいものは食べられなかった。
そうだぞ、干し肉なんかな。栄養もそれなりだし、一応美味しくないことはないんだが、やっぱりこうやってテーブルに並ぶあったかい料理の方が美味しいな。
あ、あー、いや、えー……な、んだ。うん。
お前が、その、作ってくれたから、特別美味しいというのも、ある、かもしれん。
と、言ってみたり、してな。ん、んんっ。げほげほ。んんっ。
少しの間
……くぅ、な、なんとか言え! なんとか……笑うな! せっかく一生懸命考え……ごほん、いや、何でもない。
少しの間
そ、そういえば、洗い物をして、手が冷たくなってるんじゃないか? ん? やっぱりか。そうか。
じゃあ、私があっためてやろう。手を出すといい。……てっ、手を繋ぎたがってる訳じゃない! 馬鹿者!
そんなこと言う奴はもうしてやらん。……ふん、人の善意をからかうな。ほら、早く。
ん……やっぱり、冷たいな……。まるで氷のようだ……。いつも悪いな……。お疲れ様。
んん……? ああ、何か手に当たると思えば、結婚指輪か。ふふ、これを見るたび、幸せな気持ちになる……。私? 私も当然付けてるぞ?
というか外す訳無いだろう……。お前にはめて貰ってから、ずーっとこの指に納まっている。私がお前のものである証だからな。
どんな時であっても、外すつもりはないぞ。これがあるだけで、常にお前と共にあるようなものだ。どんな剣より、どんな鎧より心強い。
……なっ、何を照れてる! わ、私は恥ずかしいことを言った覚えは……やめろ、真似するな! やめろぉ! こら!
……もぅ。人が真面目に言った事を茶化すんじゃない……。まったく。反省をしろ、反省を。
少しの間
い、いやしかし、あれだ、本当に疲れた。大変だったんだ、今回の遠征は。
色んな事件があったりしてな。良い事も悪い事もあって、まあそれなりにいい経験にはなったが、それでも気苦労の方が多かった。
やっぱりこう帰ってくると、我が家が一番だな、と実感するよ。明日はお休みを頂いたしな、ゆっくりできる……ん、んんーっぅ!
……え? マッサージ? いや、ありがとう。大丈夫だ。うん。
……そんなに疲れたと言っていたか? あー、すまん。ちょっと気が緩んでいたみたいだ。以後気をつける。
いい、大丈夫だ。大体、それを言ったらお前だって疲れてるだろ。
私はしないから分からないが、あれだけの料理、献立を考えるのだけでも大変だったんじゃないか?
うん、なら、お互い様だ。お互いに責務を果たしてるんだ、少々の疲労は仕方ない。
……なんだ、やけに食い下がるな。そんなにマッサージしたいのか?
ま、まさか、私の体に触りたいだけじゃないだろうな。……本当だろうな? 本当だな?
ふふっ、まあ、そこまで言ってくれるなら、お言葉に甘えるとしよう。
悪いな、なんか。うん、うん。ありがとう。
えっと、じゃあ、どうすればいい? 絨毯の上に寝転べばいいのか?
うつ伏せに? ん、わかった。ん、しょ……。
ふぅ……。それで? 後はされるがままか? わかった、任せる。
す、すこ、少しでもいやらしい事をしてみろ。外に放り出してやるからな。わかったな。
あぁ。……じゃあ、すまん、頼む。
あ、あぁ……。おぉ……。すぅ……ふぅ……。
なかなか、上手いじゃないか……。いいな……。
あっはは、いや、本当に……。いい気持ちだ……。力加減もいい具合だぞ……。
肩から背中ときて、腰へ降りていくんだな……? はふぅ……。
うぅん……マッサージかぁ……。昔は訓練の後、筋肉の凝りをほぐすとかで、ぐいぐいぎゅうぎゅうされたものだが……。
ああ、じいにな。もう、痛くてたまらなかったのに……。
いつのまにか、こんなに気持ちよくなってしまった……。はぁ……。
これは本当に、疲れ、取れるな……。ふぅ……。
あぁ……。すまん、これは……寝てしまうかも、しれない……。
くぁ、ふぁあ……。あー、すごいな、お前のマッサージは……。
正直、侮っていた……。また、頼んでいいか……?
うん……。是非お願いする……。
……だめだ、心地よすぎる……。ちょっと、寝るな……。悪い……。
……んっ……。ふぅ……。……んんっ……。
んぁ、んん……。んふ……、んぅ……。
ふぁ、ぁ……。ぅぁ……。んん……。
く、くぅ……。ふぁあ、ぁ、ぁっ……。
ぅぁ、ぁぅ、ぁ、あ……? んん……?
あ、こら、ば、ばかもの! 人の胸を、勝手に……ふぁ……っ!
や、やらしいことはするなと、言ったのにぃ……! んんっ……!
こら、やめろ! ふぅっ、やーめーろ! もう! ぅぁっ……!
ひうぅっ! や、耳は、だめ……っ! あ、ふぁ、あ、あぅ……っ!
だめ、あっ、くぁぅ……っ! ふうぅ……、うぁ、あんっ!
やぁ……。も、もぅ、この、あっ、いい加減に、しろっ!
けっ、獣かお前は! せっかく人が気持ちよく寝ているのに! そ、そういう、いやらしいことしか頭に無いのか!
時と、場所を、選べ! 食後のゆったりした時間に、こういうことをするな!
マッサージ、すごくよかったから、また頼もうと思ったのに……。これでは安心して身を預けられんだろう!
いくら妻だからと言ってな! いつでもどこでも応えると思うなよ! ばかもの!
もういい。ふん、がっかりだ、お前には。この色情狂め。ふーんっ。
先に湯浴みをして、ベッドで反省してろ。いいな。私は、お前が出た後行く。
その後お説教だ。寝てたりしてみろ、承知しないからな。
ほら、行け! 早く!