第3話
―自宅・夕方―
がちゃ
妹135「ただいまー」
妹136「……あれ? 兄さーん?」
妹137「ふむ……。兄さんの靴がない。私のほうが早かったか」
妹138「ま、そういうときもあるわよねー。ただいまーっと」
とたとたとた
妹139「えーっと、パンは冷蔵庫冷蔵庫ー。ふふっ、兄さんの大好物~。“こりゃうまい!”って言ってたものね。……んー。二つあるし、一つくらい私が食べても……」
妹140「んー……。いや、全部兄さんにとっておこ。一つより二つでしょ、やっぱ」
妹141「ん? あーっ! もう、兄さん食器洗うの忘れてるー。全く、変に抜けてるところがあるのよねぇ……。はぁ、もっとしっかりしてくれないかしら」
がちゃ
兄 「ただいもー」
妹142「あ、帰ってきた」
たたたた
妹143「おかえり、兄さん」
兄 「おう、今日は先だったか」
妹144「うん。今日はホームルームが早く終わって。私も今帰ったところ」
兄 「僅差だったか」
妹145「そそ、僅差僅差。一歩私のほうが早かったのだ」
兄 「なにを偉そうに」
妹146「あ、そういえば兄さん。今朝、食器洗わずに出たでしょ」
兄 「あ」
妹147「“あ”、じゃないわよ、全く。なんで水に浸けるまでの作業ができてるのに、その先を忘れてるのよ。ぼーっとしてたじゃ言い訳にもならない」
兄 「あー。一旦トイレに行って、テレビ見たりしてたら……」
妹148「一旦トイレに行ってテレビを見た、ね。ふぅん。まあいいわ。やってもらってる側だし、あまり文句を言うのもアレね」
兄 「ほっ」
妹149「食器洗いは私がやっておく」
兄 「駄目だ、俺がやる」
妹150「あー、いいの。気にしないで。毎朝やってもらってるし、これくらい私がやる」
兄 「そもそも俺の仕事だから」
妹151「そもそも俺の仕事? いいの。気にしないでって言ってるでしょ? 人が気にしないでって言っているのに、いつまでも一方的に気にし続けるのは、逆に失礼よ?
それに、人の厚意は受けるべきだわ。それをも断るなんて、それこそ失礼だわ」
兄 「あー」
妹152「はいはい。兄さんは今日一日お疲れさま。……あー。あとで、夕飯の手伝いでもしてくれる? おかずを作っててくれーって、お母さんに頼まれてるから」
兄 「お安い御用」
妹153「うん。じゃあ、適当にそこら辺にでも座ってて。用があったら呼ぶから」
兄 「おー」
妹154「あ、そうそう」
がさがさ
兄 「んー?」
妹155「はい、これ。今日帰り道に、あのヘンテコなパン屋……なんて名前だっけ。移動販売式のやつ」
兄 「メルヘン?」
妹156「うん。そう、それ。ついでだから、そこで買ってきたの。はいこれ」
兄 「ん」
妹157「兄さんの大好物でしょ? コレ。2つだけだから、一人で全部食べちゃって」
兄 「あのな、妹」
妹158「ん? どうかした?」
兄 「別に大好物じゃないんだが」
妹159「え、大好物じゃない……嘘。兄さん、これ好きでしょ? 前に美味しいって言ってたはずよ」
妹160「(そのはず。記憶には自信がある……。絶対言ってたはず)」
兄 「随分昔に美味いと言っただけな気がする。ただそれだけだ。好物とまで言わん」
妹161「む……。確かに、美味しいと言っただけで、好物とまでは言ってなかったけど」
兄 「まぁ美味いから別にいいんだが」もぐもぐ
妹162「んー……。美味しければ好物になる、ってわけじゃないのね……。でも、兄さんは優柔不断だから。好きな物をはっきりと“好き”って言わない傾向が強い」
兄 「なんじゃそら」
妹163「だから、美味しいと言ったものを大好物だーって思うしかない。そんなこと言うんだったら、今度から好きな物は好き、嫌いなものは嫌いってはっきり言って」
兄 「お、おぉ」
妹164「……、あ」
妹165「(じゃあ、兄さんが私のことを好きって言ってるのは……、ホントの本当に好きってこと……?)」
兄 「ん?」
妹166「いや、えーと……うん?」
妹167「(いやいやいや。高が寝言。信憑性の欠ける言葉を信用したら駄目ね。……って、信用したらなんだっていうの……? あー、もういいや。考えても無駄ね)」
兄 「なんだ」
妹168「……んーん、別に」
兄 「はあ」
―自室・深夜―
コンコン
妹169「兄さん、兄さん。私です。コンコンコン。兄さんの妹です。開ーけてっ? コンコンコン」
妹170「(この時間帯は起きてるはず。早く入れろー、迎え入れろー)」
兄 「じゃーかしい!」
がちゃ
妹171「あ。起きてた。ふふっ、この時間に起きてるなんて、兄さんは本当規則正しい。お陰で私も規則正しく行動できるわ」
兄 「なんでお前が俺の生活習慣を知ってるんだ」
妹172「ん? もー、何言ってるんだか。家族なんだから、何時に寝るのかくらい知ってるわよ。お母さんだってほら、夜更かししたら、朝になってぐちぐち言うでしょ?
あれは兄さんが何時に寝るのか知っているからできる所業よ。他人には無理だわ」
兄 「そりゃ他人には無理だろうよ」
妹173「はい、お小言は終わり。もう寝るんだから、さっさと寝ましょ。今日は疲れたー」
兄 「勝手にしろ」
妹174「ほら兄さん。先に入って? いつも通り、兄さんは壁側ね」
兄 「んー」
ごそごそ
妹175「ふぅ。やっと素直になったわね。ここ最近何かとうるさかったから。今日もまた何か言われるんじゃないかと、内心気が気じゃなかったわ」
ごそごそ
兄 「あんな平行線上の議論しても埒が明かん」
妹176「ん、っと。(もぞもぞ)……ふぅ。はいはい、なるほど。兄さんも利口になったのね。よしよし。頭撫でてあげるー」
兄 「やめーや」
妹177「ふふっ、口では嫌がっていながらも、抵抗の素振りを見せないところを見ると……、兄さん。嬉しい?」
兄 「ふん」
妹178「やー、怒らないでー。ごめんねー? ごめんねー?」
兄 「誰だお前」
妹179「あははっ。んー、ちょっとテンション外れてた。……もう大丈夫」
兄 「そうか」
妹180「あ、そうだ。兄さん、寝言を言わない方法、考えてみた? 前に考えておいてーって宿題出してたでしょ?」
兄 「おー、あのことか。考えてるぞ」
妹181「ひゅー、さすが兄さん。考えておいてくれてたんだ。それで? どんな案?」
兄 「ピロートーク作戦」
妹182「……“ピロートーク作戦”?」
妹183「(ピロートーク、って……え? それって、エッチをした後にする会話のことよね?)」
兄 「そうだ」
妹184「……。ていうことは、つまり……」
兄 「まぁ名前は適当で、大した意味はないんだが」
妹185「私と兄さんが、そういうことをする、……っていうこと?」
兄 「そういうこと?」
妹186「うん。そういう……、こと……」
妹187「(兄さんと……セックス……)」
兄 「まぁ、ピロートークをする作戦、ということだからな。ピロートークをすることになる」
妹188「……、やっぱり、ピロートークさせるつもりなんだ。……兄さん、大胆。っていうか、ぶっ飛びすぎ。
なんで寝言いわないようにするためだけに、妹とピロートークしようだなんて思うの。なんていうか、……すごい。
発想がすごい。さすがは兄さん。でも、予想を遥かに超えてたわ。これは普通と違う、超絶兄さん」
兄 「褒めてるのか」
妹189「褒めてもいるし、貶してもいる。普通の人はそんな飛躍した考え方しないもの。一般的に言えば、変人ね」
兄 「褒めてねーよそれ」
妹190「おかしいわね。今のところだけを抜き取れば、褒めているはずなんだけど」
兄 「もーいーわ^^」
妹191「あー、もー、拗ねないで。よちよち」
兄 「触んじゃねーやい!」
妹192「あはは、ごめんごめん。……それで? ピロートークをするに当たって、どういう効果が得られるの?」
妹193「(まず、私が兄さんとえっちするってところに大きな問題があるような気もするけど……。まぁ、いっか。
別に兄さんのことは嫌いじゃないし、いずれ誰かに奪われるものなら、いっそ……)」
兄 「寝言は夢を見ているときに出るもんだ。じゃあ、夢を見ないような深い眠りをすればいいんだから……。寝る前に喋り疲れさせて、それで寝ればいい」
妹194「ふむ。……要は、熟睡させるためにお互いを疲れさせようっていうこと? 疲れて、死ぬように眠る、と」
兄 「まぁ簡単に言えば」
妹195「ふぅん。……まぁ、確かに疲れるでしょうね。ピロートークするためには、相当なエネルギーを使うだろうし」
兄 「相当ってほど使うか……? 喋るだけだぞ?」
妹196「喋るだけだろって、あのね。確かに私は声を出すだけかもしれないけど、他にも神経使うのよ?
初めてだから痛いだろうし、それを我慢しながら、声を抑えなきゃいけないから、きっと腹筋も使う」
兄 「ん?」
妹197「兄さんだって、……いや、兄さんこそ、喋るだけでは済まないでしょ? 基本的に体を動かすのは男のほうだし、結構疲れるんでしょ? アレ」
兄 「なんのことだ」
妹198「なんのことって、だから……。んんぅ、恥ずかしい……。もう、こんな空気じゃなかったら、絶対に言わないんだから……」
兄 「あ、あぁ……?」
妹199「……、腰、動かすから……。男の人は疲れるでしょ? すぐには終わらないだろうし、何分も、ずーっと動かし続けて……」
兄 「は。は?」
妹200「あっ! それとも、私に動けって言うつもり!? 兄さん、私初めてで、きっと痛い。それなのに私から動けだなんて、そんなの無理……」
兄 「あのー、やっぱ作戦名が悪かったわ」
妹201「うん? なに、作戦名が悪かった?」
兄 「ピロートークはねえわな。さすがになかった。確かに誤解招くわ。はっははー」
妹202「誤解を招く……? ん? んー? ちょっと、兄さんが何を言いたいのか、全然理解できないんだけど」
兄 「なあ。ピロートークってなんだ?」
妹203「え? ピロートークを説明してみろ……。んん……、今日の兄さん、積極的」
兄 「どこがだよ! 早く言えっての!」
妹204「ん……。ピロートークってのは、だから……。え、……えっちをした後の、会話のこと……」
兄 「んー、やっぱりそう捉えてたんだよなあ! おかしいと思ったわ!」
妹205「え、なに。どうしたの? 声を押し殺しながら悶えないでよ。……妹にこんなこと言わせて、興奮してる?」
兄 「違うと言うとろうに!」
妹206「あ、違うんだ。じゃあなに」
兄 「俺の言いたいピロートークはそういうことじゃない」
妹207「……? ピロートークは、そういうことじゃない……? 嘘。じゃあ何だって言うのよ」
兄 「男女が同じ床に寝て言葉を交わすことだ」
妹208「男女が同じベッドに寝て、言葉を交わすこと……?」
兄 「そうだ」
妹209「……それじゃ、今こうして兄さんとしてる会話が、ピロートーク?」
兄 「んー。だから、ピロートークっていう言葉を使ったのが間違いだな。ピロートークなんてもはや隠語での使われ方のほうが強い」
妹210「……はあぁぁぁ。もー、バカ。びっくりさせないで。作戦名が悪かったって問題じゃないわ。もー、私の赤っ恥」
兄 「すまん」
妹211「すまんじゃないわよぉ。本当、びっくりしたんだから。覚悟決め始めてたのに、どっと緊張が抜けたわ」
兄 「なんの覚悟だ」
妹212「え……? あぁ、覚悟のこと。……兄さんに初めてをあげる覚悟。……決めておかないと、さすがにね」
兄 「おま、ばか!」
妹213「あれー。なんで私叱られてるのかなー」笑いながら
兄 「実の兄に、お前、そんな、おまえー!」
妹214「んん。だって、兄さんがしたいって思ったんなら、仕方ないじゃない。兄さんが思ったなら、倫理に外れるとしても、まぁ……受け入れないとなーって」
兄 「……なに言ってんだおまえ」
妹215「ふふっ。変かな?」
兄 「いや、変というか……なにを言ってるのか理解できない」
妹216「何を言ってるのか理解できない……。んー、そう言われても」
兄 「お前は俺に襲われてもよかったのか?」
妹217「……、兄さんに襲われてもよかったのかって? ……良くはないわよね。でも、兄さんが私に魅力を感じて、そういうことしたいって思ったのなら、私はきっと拒絶しない。
兄さんを、受け入れる」
兄 「……」
妹218「……兄さんは、私とそういうこと……したいの?」
兄 「なわけあるか」
妹219「む。速答? そんなはっきりと拒否されるのも傷付く。はーぁー、私には女の魅力がないのね」
兄 「魅力とかって話をしてるんじゃねーだろ」
妹220「魅力とかっていう話じゃ、ない? じゃなに? 妹だからそういうことしないっていう理由? そういう倫理感情論を兄さんは展開するつもりなのかしら?」
兄 「まるで俺が間違ったことを言おうとしてるみたいじゃないか」
妹221「世間でそう言われているから駄目。みんなが言うから駄目。なにそれ? そんなの兄さんらしくない。もっと兄さんらしく、自分の考えを持って主張をしてほしい」
兄 「えー……」
妹222「えーじゃない。全く、そんな兄さん、嫌い」
兄 「一緒に寝たくなくなったか?」
妹223「それとこれとは別。嫌いだからって、一緒に寝たくなくなるってことはない。こじつけで話を転換しないで」
兄 「はひ」
妹224「はぁ……。今日はなんだか疲れた。もう寝ましょ。ん……、すぅ……おやすみー」
兄 「おやすみ」
妹225「すぅ……すぅ……すぅ……すぅ、あ。そういえば兄さん。ちょっと訊いておきたいことがあるの」
兄 「なんだ?」
妹226「兄さんって……。どーてー?」
兄 「な、なななっ、なにおぅ!?」
妹227「そんなにうろたえないでよ。失礼なことを訊いてるのは自覚してる。でも、もし“どーてー”じゃないなら……、それは、もう……私の知らない兄さん。
私の知ってるような、穢れのない、まっさらな兄さんじゃないってこと」
妹228「もしそうなら……、ちょっと、兄さんとの接し方を変えなきゃ」
兄 「……どう変えるんだ」
妹229「どう変えるか? ……それは、簡単に言えば、ちょっと距離を開けてしまうかも。兄さんを兄さんと思えなくなる。
私の知らないような兄さんなんて、兄さんじゃない。赤の他人みたいなもの」
兄 「んな極端な話あるか」
妹230「ふふっ。そう、今のは極端な話。兄さんは兄さんだし、私の家族に変わりはない。だけど、ちょっと違うの。
家族だけど、家族なんだけど……、なんだか、遠くの存在に感じるようになるの」
兄 「ふうん」
妹231「もしそうなったら……、ふふっ。兄さんとの添い寝もしなくなるかも」
兄 「なんだと」
妹232「さあ、兄さん? 兄さんは、“どーてー”? それとも、違うの?」
兄 「俺は……」
兄 「ど、童貞ちゃうわ!」
妹233「“童貞じゃない”。ふーん、どーてーじゃないんだ。そっか。……ふふっ。う そ つ き」
兄 「な」
妹234「兄さんは“どーてー”よ。ふふっ、絶対そう。私の目に狂いはないわ。どんなに口で言ってても、態度が……ね?」
兄 「どういうことだ!」
妹235「だって、兄さんは兄さんのままだもの。絶対に変わってないわ。“どーてー”のまま。私の知ってる兄さんのまま。女の子なんて、ろくに知らないはずだわ」
兄 「お前こら」
がばっ
妹236「きゃっ。んもー、怒ったー? んー、後ろから……っ、強く抱きしめ過ぎ。苦し、痛、いたたた、痛いイタイイタイっ」
兄 「童貞ちゃうわ!」
妹237「んも、なにムキになってるの? え? なに、テクニックを見せてやる……?」
兄 「そうだー、見せるぞー覚悟しろー」
妹238「あ……、う、うん……。ぁ、でも、さっき……妹を襲うとか有り得ないみたいなこと言ってなかった?」
兄 「襲ってるのではない。披露するだけだ」
妹239「襲ってるんじゃない、披露するだけ……。あは、そんな理屈……。まぁ、通るかな?」
兄 「覚悟しろー」
妹240「……、んひゃ。っ、お腹さするだけじゃ、テクニックにならな(むにっ)――んっぁ! んふ、はぁっ……、……どうしたの? もう、終わり?」
兄 「あ、っとー……」
妹241「胸、軽く揉んだだけ、だけど。兄さんのテクニックは、もう……おしまい?」
兄 「きょ、今日はこの辺で勘弁してやろう」
妹242「ふふっ。今日はこの辺で勘弁してやろうって」笑いながら
兄 「な、なんだこら。文句あんのか」
妹243「んーん。文句ない。兄さんのテクニック、凄かったよ? あははっ」
兄 「バカにしやがって」
妹244「馬鹿にはしてない。安心しただけ。だから今のは感謝の言葉よ」
兄 「わかりにくい」
妹245「わかりにくい? ん……。これが、私でしょ? 昔っから、私はこんな感じよ」
兄 「……」
妹246「……っ、んっ……。ふぁ……」息を吐くような
妹247「(兄さんの手……おっぱいに触れたまま……。気付かないフリをし続けたほうがいいかな……)」
兄 「あ、すまん」
妹248「ん、……んーん。平気。なんでもない。……。それじゃ、おやすみ。兄さん」
兄 「おー」
妹249「すぅ……すぅ……、ん……っ……、すぅ……すぅ……」
3~5分、呼吸音を挿む。
兄 「妹」
妹250「んんぅ……? にー、さー……?」
ぎゅっ
妹251「んわっ、ん……なに……? どうしたの……?」
兄 「……」
妹252「……兄さん?」
兄 「……」
妹253「……。ええと、あー……、さっき、私の名前……呼んだわよね……? っ、ん……息、近い。こしょばゆいー」
兄 「……」
妹254「ん……。さっきのは、寝言? それとも起きてて呼んだ? ……抱きしめてるのも、寝ぼけてるのか、起きてるのか……」
兄 「……」ぎゅう
妹255「ん、んんっ。さっきより、強く……。もう、私は兄さんの抱き枕じゃないのよ? 全く、聞いてるのかしら」
兄 「好きだ」
妹256「――っ! また、好き、って――んんっ」きゅぅ
妹257「(なに、なになに。兄さんに好きって言われただけで、胸がきゅーってなった……。今まで、こんなこと……。好きって言われたのなんて、初めてじゃないのに)」
妹258「っ、ん……、ふぅ……ふぅっ……。また寝言? もう、結局寝言を言うんじゃ、兄さんの作戦も功を奏さなかったってことね」
兄 「愛してる」
妹259「んんっ。(ぞくぞく)……、そんな、心もこもってない“愛してる”なんて……」
妹260「(あ、そうか。これは別に私に言っているわけではないのよね。兄さんのうわ言にいちいち意味を求めたら切りがないわ。適当に聞き流しておくのが一番……)」
妹261「気持ち悪いだけよ……。兄さんは、妹の私が好きな変態? ……いや、私のことが好きだから変態っていう決め付けはどうかしてるか」
妹262「(そんなこと言ったら、私を好きになる人は全員変態ってことになるものね)」
妹263「……。気持ち悪い。ほんっと……、気持ち悪い……。……気持ち悪い、兄さん。……、兄さん……」
妹264「一体どんな顔して言ってるのかしら。今度一緒に寝るときは、兄さんの顔を見つめながら寝てやりましょ。今日は背中向けてるし……、抱き付かれちゃ、身動きできないし。
ふふっ、どんなご尊顔で寝言を言うのか、見ものね」
妹265「……、おやすみ。兄さん。良い夢を」
呼吸音
◆3.5
妹266「……ん、んん……。んー? ぁ……、あ……、あー……?」寝ぼけ眼
妹267「なに……? だれ……? ……にーさん……? んん……?」
妹268「なに、してるのぉ……? んっ、んんっ……。おしり……、なに……? 硬、ぃ……」
妹269「……にーさん……? ……にーさーん……。なに、して……んんっ」
妹270「はぁ……は……、ぇぇ……? ……、おしり、熱っ……」
妹271「……。っ、こ……これっ……、硬いの……もしかして……、っ」
妹272「に、兄さん? なっ、なにしてっ」
妹273「んんっ、おしりに、擦り付けてるの、これぇっ」
妹274「……ちん、ち……っ」
妹275「兄さん、だめっ、んんっ。放してっ、なんでこんなこと……っ」
妹276「兄さんっ。ん、んんーっ……。にい……、……? 兄さん、もしかして……寝てる?」
妹277「んっ、ん……。寝ながら、おしりに硬いもの擦り付けて、る? んっ……」
妹278「じゃぁ……駄目だ……。下手に動いて、起こしたら不味い。んっ……、我慢。じっと我慢……」
妹279「ん、……っ、は……。ふぅ……、ん、んぅ……、すぅ……すぅ……」寝ようと努力するが、堪らず声が漏れる
妹280「(兄さんの息、すごい荒い。本当に寝てるの? ……まぁ、じゃなきゃ、兄さんがこんなことするとは思えないか。こんな……、性の捌け口に妹の体を使うようなこと……)」
妹281「すぅ……す、んっ……ふぁっ、ん、んー、んんーっ。そこ、胸……っ。本当に寝てるの……? んゅっ!」
妹282「ぁ……は、ぁっ……ん、んん……。ん、ん、んんっ、んんーっ、んゃっ、はぁっ……ふぅっ……」
妹283「(胸、こねて……っ、でも、この不規則な力加減……。寝てるのは本当みたいね。手の動きに、少し違和感を覚えるし)」
妹284「(それでも……んん。胸を触られていることには変わりないし、おしりに硬いの、必死に擦り付けてきてるし……)」
妹285「あ……ぅ、ん……、はぁ……。すご、……硬い。これが、兄さんのちんち……、男性器……。生殖器……? ん、何でもいい。ふわぁ……、兄さんの……ぁぁ……」
妹286「生殖器は、触ると快感を得られるように……んっ、なってるのよね。だから、兄さんもこうして……私のおしりに腰を押し付けてっ、ん……、ふぁ」
妹287「体が動いてるってことは、……脳が起きてて……んっ。夢を見てる、のよね……。だからきっと、兄さんは、きっと……。エッチな夢を見て、ん、ぁ、ふっ……はぁ、はぁ……」
妹288「夢の中で、必死で……、ん、ごくっ。はぁっ……、っ、ふぅ……は……。わ、私を、犯して……、ん、は、はぁっ」
妹289「(っ、違う違うっ! 私とは限らないっ! 私じゃない、誰かかも知れない。私以外の、……だれ、か……)」
妹290「(……だれ? 兄さんが夢の中で犯してるのは誰? 私の知らない人? 私以外の、見知らぬ誰か、と……?)」
妹291「(……だれ、か……と……。……っ)」
妹292「(……いやだ。想像したくない。他の誰かとエッチしている兄さんなんて見たくない。想像したくもない。いやだ。いやだ、いやだ。やだやだっ!)」
妹293「(――っ! ……なんで、いやなの……? 他の誰かとしてる兄さんを、なんで想像したくないの? どうして?)」
妹294「(……、そんなの決まっている。私の知っている兄さんは、女性とそんな邪まな関係を持ったことがない。他の誰かと、そういうことしている兄さんなんて、私は知らない。
だから、そんなことしてる兄さんを、見たく、ない……から)」
妹295「(他の……だれ、か……?)」
妹296「(他って……なに。他じゃないのって、だれ。……。わたし……? ……私と、兄さんなら、いいの……? 私が、兄さんに……犯さ、れ……て……)」
妹297「ん、んぁっ、ふぁ、はっ、はぁっ、ぁ、ぁあっ、ん、んんんーっ!」
妹298「やだっ、だめ、にいさんっ! む、むねっ、ん、んんっ! んふぁっ、こねちゃ、ゃぁ……らのぉっ……、んんーっ!」
妹299「し、しびれるぅ……、くら、くあ……すう、のっ、んんっ、ふぁっ!」
妹300「だめら、起こしたら、だめっ……、ん、んふ、ふーっ、ふぅっ、ふっ、ふーっ」口を閉じて声を堪える
妹301「(声は、出したら駄目。兄さんを起こしたら、きっと、気まずくなる。もう、一緒に寝られなくなる。そんなのいや。嫌だから、私が堪えないと……!)」
妹302「(……でも、無理っ。兄さんが、私のおしりに腰を突き上げるたびに、お腹が疼いて……、んーん、違う。お腹なんかじゃない。ここは、私の……生殖器。
お腹じゃなくて、股のほう)」
妹303「(ははっ、はははっ……。私の体が、欲してる……。ふふっ。兄さんの逞しいのを、求めてる……。ぱんぱんに膨れ上がった兄さんのものを、迎え入れたくなってるのね……。
んふふっ)」
妹304「(できも、しないのに……っ。求めても、迎え入れることなんて、永遠に、来ないのに……。はははっ)」
妹305「(ふふっ。今度は胸まで疼いてきちゃった。胸……。ん、違う。疼いたんじゃない。疼きじゃない。これは……締め付けられているだけ。
胸の奥が、心臓が、きゅーって、掴まれたような感覚……)」
妹306「(もう……、いや……。はやく……早く終わってよ……。股の疼きと、胸の苦しみを、早く止めて……。早く……)」
妹307「ん、んんっ、ん、ふぅ、ふーっ、ふ、ふっ、ん、んはっ、は、ん……、ふぅっ、っ、ん……」
妹308「ん、んっ、んっ! んんんーっ! んはぁっ! ぁ、ぅっ、んんっ、ちく……、ん、ん、んっ……、ちくび、だめ……、だぁっ……ぇぇ……っ!」
妹309「はぁ、はぁっ、はっ、はぁっ、ぁっ、む、んんっ……! ふーっ、ふーっ、ん、んはっ、はぁ……、はぁっ、ん……ふぁっ」
妹310「ふっ、ふっ、ふ、んんんっ! んぁっ! そこっ! だめっ! いちばっ、さわっ、ちゃっ! だめにゃっ、とこっ! ぉ、ぅんっ! んんーっ!」
妹311「さすった、らぁっ! だっ! ぅんっ! んぁっ、は、はぁっ! ぱんつ、そこっ、はぁっ、だめ、だめだめっ、だめっぇ、ぇぇぁ、あっ、ぁぁっ、んんんんーっっ!!!!」
妹、達する
妹312「――っっ! んぁっ! ――はぁっ! ぁ、ぁっ、ぁ……、はぁっ……はぁ……、はっ……、はっ……は……。ふぅ……、ふぅ……」
妹313「……ん、おしりの……震えて、っ……はぁ……はぁ……。ふーぅ……、おわっ、た……。やっと……。ふーっ……」
妹314「はぁ……。兄さんの手も止まって……、夢も、もう終わりかしら。ご苦労様、夢の中の私」
妹315「……。だから、なんで私と……。私と決まったわけじゃ……。~~っ! もうっ、兄さんのせいだ。とにかく兄さんのせい。兄さんが悪い。全部全部、兄さんの……」
妹316「……。お疲れ様、兄さん。また、明日……」