04
ループ洗脳1回目 レン視点
「こぷぁ!? つ、つぎは、ひゃ!? 豚怪人!? 何そのおちんちん、いや、そんなドリルのような、あ”、あ。あああ!? さっき出されたザーメン掻き出して!?? ひゃぁぐっ!?」
魔獣や怪人に犯されてもう何時間たったかわからない……きたない白濁液を注ぎ込まれて、どんどん改造されていくのがわかるのが恐い。普通なら痛みでどうにかなってしまいそうな行為も全部気持ちいい感覚に置き換えられて、最初はとっても不快だった怪人と肌を合わせる感覚も無理やり気持ちいいにおきかえられて、自分の体が怪人に変わっていくのが気持ちいいのにとても怖い。
でも、頑張ってとノノの声が聞こえた気がしたんだ。こんなことぐらいで負けない。負けちゃだめだ……僕はノノの顔を思い浮かべながら必死に快楽の波から耐え続けた。
「レンちゃん、おきて。レンちゃん、レンちゃん」
「ん、んんんん?」
いつの間にか気を失っていたみたい。目が覚めるとノノの姿が目に入った。あの凌辱は夢かと思ったけど、周りはさっきまで捕まっていた部屋だ。あそこにまだ何か入っているような感覚は嫌でもさっきまでの凌辱が現実だったことを思い出させる。
「ノノ!?」
「よかった、もう目が覚めないかと思ったよ。あんな姿で……」
幸い服は装置の傍にあった。違和感はあったけど時間が惜しいので脱出しながらノノと情報交換する。
「ごめん! ちょっと油断していてあいつらに操られちゃっていたの……」
ノノに今までの経緯を聞きながら進む。でも、どこがおかしいのかわからないけどどんどん違和感が強くなってきて、焦燥感が膨れていく。
「とりあえず、脱出口は見つけてあるから、こっちだよ!」
慎重にでも素早く周りを警戒しながら進むノノ。
【ジュエル・ブルー(八島蓮)はジュエル・ピンク(御船ノノ)に……】
っく、頭痛が……まだ本調子じゃないのかな。
「ここって、オプト・ムーンの本拠地だと思うけど居るのは 1 人だけ。たぶん、司令官の予想通り、後は全部倒しちゃったんだと思う。ただ、監視カメラとかがいくつもあるから注意してね」
違う。これは違う。
「あ、監視カメラがあるから……」
「……」
「レンちゃん?」
「……だれだ、オマエ。ノノの姿でノノの匂いでノノの声だけど違う」
「え、何言ってるのレンちゃん!?」
違う。 味覚を除いた五感全部がノノのと同じだけど、これは違うと僕の感が危険信号を出している。警戒は解かずにノノの姿をした何かと対峙する。
「……はー、もう、この段階で失敗しちゃうなんて予想外。でも、レンちゃんはやっぱすっごいね。今回は匂いもきちんとノノと認識させていたのに野生の感ってやつ?」
僕の感が正しいと言っている。どう見てもノノなのに目の前に対峙しているだけで悪寒が止まらない。
「オプト・ムーンの怪人か? 正体を現せ!」
くすくす、とまるで町中でおしゃべりをしているくらいの気軽さのノノの姿をした怪人をにらむ。今でも『ごめんごめん、あまりに真剣そうだったから乗ってみたんだよ』と、僕の直観を否定してほしいぐらいの気持ちだけどそれはないだろう。
「んー、あ、そうだ。うん、ごめんごめん。まだきちんと自己紹介してなかったね」
にっこりと笑って、それは、無防備にその場でくるりと一回転すると、まるで魔法少女の変身のように姿を変えた。魔法少女の衣装はピンクから黒に。スカートの内から覗いていた白のレースはとても下品な黄色に。そもそも、スカートは前がほとんどない状態で毒々しい緑色の肌がおへその下まで見えている。
「はーい、初めまして。オプト・ムーンの、えーと、洗脳怪人になるのかな? ……こほんっ、オプト・ムーンの洗脳怪人、ブラック・フォビュラスでーす!」
「な!?」
変身に驚いたわけじゃない。そもそも、それは変身といっても変わったのは衣装のデザインと肌の色だけだった。
「もう、レンちゃんったら、驚いた顔もかわいいけど、せっかく私が変身して決め台詞言ったんだからもうちょっと、こう、いい反応をしようよ」
相変わらず、それはノノの顔でノノのしぐさでノノの声でしゃべっている。
「ふ、ふざけるな!? いい加減ノノの姿をするのをやめろ!」
「えー、それは無理だよ。だって私はノノ。元ジュエルスターズ、ジュエル・ピンクの御船ノノだもん」
「え……」
気づいてはいた。たぶん、変身する前、しぐさや匂いや声が同じ時点で。
「う、ごめん、レンちゃん。オプト・ムーンに洗脳され……にげ」
「ノノを置いて逃げれるわけないじゃないか!?」
「……く、う、ダメ」
「ノノ、洗脳なんかにまけ……」
「ダメ……我慢できない。あはあはは、ちょ、っく、くくく、そんな必死になって、レンちゃん、ぷぷぷ」
「え?」
「えーっとね、私もう完膚なきまでに隅から隅まで洗脳されちゃってね。心も体も完全にオプト・ムーンの怪人なの。つまり、レンちゃんの敵。だから、こうレンちゃんに助けを求めるとか、ジュエル・ピンクだったころの正義感が復活してとか無いから。うん、だましてごめんね。まあ、悪の組織の怪人だししょうがないよね?」
ノノの言っていることはたぶん本当だろう、そもそも、目の前の怪人がノノということも否定することができないでいる。
「っく、でも、僕はあきらめない」
「あれ、レンちゃん何言っているの? 今は私のことよりもレンちゃん自身を心配しないと」
「え?」
「だって、今、レンちゃんは敵の本拠地に捕らえられていて、体はもうとっくに改造が終わって、目の前には洗脳怪人が立っているんだよ?」
ノノはそんなこともわからないのかな? と呆れた顔でこっちを見ているけど僕はノノが何を言っているのか理解が追い付かなくて……
「まあいいか、1回目はこれで終わり。うん、次はもうちょっと変えてみようかな? 一度、やっちゃうのもいいかもね。私の匂いと味をレンちゃんに覚えさせて、ふふふ、楽しみ。頑張ってねレンちゃん、たぶん無駄だけど、長く持ってくれた方が楽しめるからね」
パチンと蛍光灯のスイッチを切るように視界どころか僕の意識も途切れて……