こころとからだの雨宿り
坊っちゃん
起きて
気持ちよう眠っとったよ
うふふ
どう?
気持ちは落ち着いとる?
ゆったりしとる?
うん
ほんなら、そのまま
まだ雨は止まんけ、あたしが坊っちゃんを綺麗にしてあげるけんね
そう、雨宿り
照れんでいいのよ
合う度にしてきたろ
坊っちゃんがどんなに大きくなってもあたしはずっと坊っちゃんにこうしてあげたいんよ
さ、それじゃ
体を洗っていくますよ
冷たかったらちゃんと言うてね
どう?
冷たい?
ん
ん?
冷やりして冷たいのが気持ちいい?
そう よかった
それじゃお顔から洗ってあげる
おでこ...
お鼻...
右のほっぺ...
右のお耳...
左のほっぺ...
左のお耳...
気持ちいい、坊っちゃん?
体を拭いて洗うのは久しぶりで、心地いい うふふ
優雨は坊っちゃんが気持ちいいことしかしませんよ
さ、それじゃ首から下も拭いてあげましょうね
喉...
喉ぼとけ、大きいね
まわって...
項...
すこ~し浴衣を解けるよ
雨だけど空気は湿ってるし
あたしが近くにおるけ、寒くはなかろう
うふふ
右肩...
右の...うふふふ
恥ずかしいから言わんとこ ふふふ
左肩...
左の...うふふ
ほら、寒くなさそうよ(?)
少し熱いくらい
そのまま...んしょ
右の腕...
お手手...
ほんに大きくなったね
もう優雨よりずっと大っきい
んしょ
左の腕...
お手手...
指先まで、綺麗...綺麗...
さ、それじゃ坊っちゃん
すこ~し膝枕はお預けね
ゆっくり頭、下ろすけんね
はーい
よいっしょ
それじゃ、お腹...
うふふ、いいんよ
寝とって
気持ちようなったらそのまま眠ってしまっていいんよ、ね?
それじゃ、右足...
左足も...
長いあんよがこと(??)
うふふ
足の指を綺麗にしましょうね
左の指...
右の指...
綺麗になった
なら、次はお耳
いいよ
寝とって
ほーら、動かんの
ちゃんと綺麗にしますから、ね?
うふふ
それじゃ、よいっしょ
坊っちゃんのお耳、久しぶりやね
それじゃ、入っていくよ
どう?
ゾワゾワする?
ふ、うん
ほ~ら
綺麗、綺麗
坊っちゃんのお耳
綺麗
うふふ
ここは、年を取らないのかね
小ちゃい頃からずーっと同じ形
可愛い形
ふーーーー
ふーーーー
うふふ
くすぐったがりのも変わらんね
もう少しだけ
うん
綺麗になったね
それじゃ、反対の...
よいっしょ
くすぐったかろうけど、我慢するんよ
どう?気持ちいい?
そう、良かった
坊っちゃんの顔を見とるとあたしも何だか気持ちようなってくるんや
もう少し...
ふーーーー
ふーーーー
ふーーーー
うん、こっちはこれで大丈夫
はい、坊っちゃん
お耳も体も綺麗になりました
うん、気持ちいいね
優しい雨に打たれて、全身ひんやりしてるみたい
濡れた手ぬぐいの感覚が心地よ~く残って
うふふ
坊っちゃん
偉い眠たそうにしとるよ
ん
ほんなら、このまま眠ろうか
そう、ゆ~っくり
体が綺麗になったなら心も同じにしてやらんと
さ、それじゃ、ね
よいっしょ
優雨おねえさんがお隣で寝んねしてあげますからね
とっても近くであたしの声、聞こえるんやろ?
むか~し、坊っちゃんと初めて合うた時、お母さんが留守電でむずがる坊っちゃんにこうしてから
それからはずっと雨降りの度に、こうしおるね(?)
落ち着くね
ん
いいよ
あたしはいつまでもこうさせてもらうって、ただ嬉しいだけ
坊っちゃんはくすぐったがりやけんね
眠れん時とか、眉と眉はひっついとる時もこうするのが一番
こうしたら、
うふふって笑って
幸せそうな顔になって
それで眠る???
眠くなったら、寝ていい
優雨おねえさんは、ずっとこうしてますからね
ほら
もうこんなに???
右の眉と左の眉が間の固くなったとこ、
ここが???っとると、
悩みを忘れてしまうんよ(?)
さ、こっちも
いい子、いい子やね
坊っちゃん、かわいい
大好きよ
坊っちゃん
もう、大丈夫
大丈夫やね
口元までふんやりしとる
幸せそうな顔
坊っちゃん
大好き
大好きよ
ずーっと、いつでもしてやるけんさ、安心して
もう少しおやすみ、ね
いつもの歌、歌ってやるけんね