主従なんとか
[その日の夜・リュックいっぱいの荷物を抱えて主人公のマンションに戻って来た月]
《インターホンの音》
あ、こんばんは~、お兄さん。月です。
……今朝はお礼もなしに黙って出ていってしまってごめんなさい。
今から、少しお邪魔してもいいですか?
(主「おかえり、待ってたよ」)
(開く自動ドア)
えへへ……ありがとうございます!
[主人公の部屋、ソファに座ってるふたり]
オートロックだったようなので、そのまま出てったんですが大丈夫でしたか?
(主「その点は問題ないけど、どこ行ってたの?」)
ああ……えっと、少し家に戻ってました。
(主「家に戻ることにしたの?」)
いえ……本当のことを言うとまたぎゃ(くたい)……え~っと、怒られて、しまうので……
親のいない時間を見計らって書き置きして、着替えと貯金箱と……
それと、大事なものをいくつか持ってきました。
ついでに家の鍵も置いてきましたので、もう私にはあとがありません。背水の陣というやつですね。
……お兄さん。私の提案、聞いてもらってもいいですか?
(主「うん」)
えへ……ありがとうございます。
私、お兄さんのこと好きになりました。
昨日、私を救って貰って、優しくして貰って、一緒に寝て貰って……
なので、えっと、できればお兄さんに飼って欲しいです。
(主「飼う?」)
はい、「飼う」。飼育の飼(し)、です。
(主「本気で言ってる?」)
はい、もちろん本気ですよ。
お兄さんさえ良ければ、私のこと、好きに使ってくれて構いませんし……
私としては、お兄さんの恋人としておうちに置いてもらえれば、それが一番嬉しいです。
(主「断ったら?」)
……もしダメなんだったら、またあの駅前に行くことになりますね。
そして、昨日みたいなことを続けてお金をもらったり、寝泊まりするところを探す日々が始まると思います。
昨日は……まあ、そうなるつもりで家を飛び出してきたわけですが……
でも、お兄さんみたいな人に拾ってもらえて……なんですかね。運命みたいなのを感じたんです。
私はそういう生き方をするガラじゃないって、言われたような気がしました。
事実、本当はすごく怖かったですし、優しくして貰えて、本当に嬉しかったです。
そして、やっぱり私の初めては……お兄さんに貰って欲しいって、思いました。
多分お兄さん的には、私がもっと大人になるまでダメって言うでしょうけど……
私的には今すぐにでも、お兄さんが欲しいです。大好きなんです。
なので、飼ってください。私のこと。
ちゃんと私を綺麗なまま、お兄さんがオッケーだって思うまで、育てて欲しいです。
お兄さんのペットとして、言われたこと……できることなら何でもします。
そういうことでも、もっと軽いのでも、雑用とか家事だって。
ちょっと食費はかかるかもしれませんし、お兄さんの快適な一人暮らしの邪魔になるかもしれませんが……
それでもよければ、私のことを助けると思って……
(主「月ちゃんはそれでいいの」)
それでいいっていうか、それがいいんです。それしかないとさえ思ってます。
……実は、昨日出ていく時、お兄さんにキスしました。何度も。(そこまでじゃない)
私の初めて、もう、一つ、お兄さんに捧げたんです。
なので……なので……(持ち札を全部使いきった月)
(泣きそうな月を「もうわかったから」と、抱きしめる)
えへ……お兄さん……
このぎゅーは「いいよ」って事、ですか?
(主「ここまで言われたら流石にね」)
えへへ……ありがとうございます、お兄さん……
(許可したことを信じてもらうために、ちゃんとキスをしてあげる主人公)
んむ……ん……んぷ、ちゅ……んちゅ……ちゅ、ちゅ……
んふ……キス、してもらうのは初めてなので、これもファーストキス……ですよね。
お兄さん……もっとしてください……もっと、教えてください……
んぷ、ん……んちゅ、ちゅ……んむ……
(舌を入れてくる月)
んれる……ぇる、れる……んりゅ、んぷ……んちゅ、んむ……れりゅ……
えへ……初めての大人のキスも……お兄さんに……んむ、れる……
(※やっと手に入れた安息の地を噛みしめるような甘いキス・30秒)
《フェードアウト》