“しろねこ”
《ガチャッ……かちゃん》
《ぎゅっ……》
…………えっと。
【家に帰り荷物を片付けていると、急に袖を捕まれ体を引き留められた。
振り返ってみれば、先ほどまで笑顔だった少女の……困ったような蕩(とろ)けるような、艶のある瞳があなたを見つめていた】
その……まずは! あの……プレゼント、ありがとうね!
それで、えっとね……本当に、本当に嬉しかったわ!
様子がおかしかったし、何か企んでるかもとは思ってたけど……プレゼントがあるなんて。
あんな事しくれると思ってなかったから……人前で泣き出しちゃう事になるなんて、一分 夢にも思わなかったわ……。
1分 恥ずかしくはあったけど、それよりも……胸がぎゅって痛いくらい締め付けられて。
頭にびりって痺れみたいなのが走って……息が苦しくなって、それから熱くなって……あなたの事、好きだって胸の奥から気持ちが溢れてきた。
今までも何度も思ってたし言ってきたけど……改めてそう思ったの。
あなたが好き、大好き……愛してるって!
あなたの事を考えるとそれだけでムズムズして、顔がくすぐったくなって……。
なんだか、体が全然自分のものじゃないみたいに気持ちが跳ねて……悔しいぐらい、あなたが好き。
あなたが私と手を繋いでくれるだけで心がポカポカしてくるの。
ずっと……ずっと、寒い冬の夜にいたみたいになってた私に……温かい日溜りがやってきて、照らし出してくれてるみたいに。
あなたの横に並んでいられるよう……あなたと一緒にいられるよう、頑張ってきたつもりだけど。
あは……こういう事されると、まだまだ頑張らなきゃって思わされるわね!
あっ、それが嫌って訳じゃないのよ?!
むしろどうやったら喜んでもらえるかなって、色々考ながらあなたの様子見てるのは好きだし!
ただ、時々あなたが私にくれた物をどれだけ返せてるんだろうって……不安になる事はあるの。
って、ごめんなさい。湿っぽい話になっちゃった……わね。
そうじゃなくて、そうじゃなくてね?!
……ぅー、もうっ! サプライズなんてされたから、変に緊張しちゃってるわね……ぅー、ちくしょう!
こほんっ、兎に角! 私が言いたいのはっ!!
嬉しいし! 私も、ドキドキされっぱなしだし! お、お返ししたいの!!
だから、ちょっとそこで待ってて! き、着替えて……くるからっ!!
《――どたばた。ばらっ……するっ》
《――……ぎっ》
うっ……あぅ、やだ……なんか、ちょっと怖い……恥ずかしい。
え、えっと……ど、どうかしら? その、私の……エッチな下着姿……。
あ、貴方がプレゼントしてくれたから私も何かお返ししたいなって……う、浮かれたっていうか。
……こういう下着とか着ける気、もうなかったんだけど。
嬉しくて、舞い上がってた勢いで……これならお返し出来るって、さっき店先で見つけて思わず買っちゃった……。
【突然身を翻し着替えてくると姿を消した少女が、扉の奥に身を隠すと、衣擦れの音と共に羞恥で赤くした顔を伴って再びあなたの前に姿を表した。
その姿は先ほどまで着ていた休日用の普段着ではなく……うっすらと透ける、彼女の髪の色にも似た白い色の――可愛らしいながらも、扇情的で淫らな感じを残す――所謂、大人の下着であった。
とてもよく似合っていたが、過去の事もあり、彼女がこの手の下着を今まで拒んでいたからこそ、軽い驚きがあなたを襲った】
もう、絶対着ないと思ってたけど……あなたになら。
あなたに喜んで貰うためなら……また、着ても……いいかなぁって、そう思って…………あぅっ。
だ、ダメかしら?! に、似合わないかしらね、やっぱり!?
あ、あなたに変な気を使わせちゃうかしら?! あは、あはは……そ、そうよね!
ちょっと、やっぱり舞い上がり過ぎてたわよね……ごめんなさい、着替えなおしてくるわね!
《――ぎゅっ》
あっ、な……何? えっ? よく……似合ってる?
色が私の髪と合ってるって……あぅっ!? まるで天使みたいって……そ、それは言い過ぎじゃないかしら!?
歯が浮きそうな事言って……っ! はっ、恥ずかしくなるじゃない! ぅーっ、……ありがとう♪
……ねぇ、私をリィンと呼んでくれる、貴方?
”しろねこ”を受け入れてくれた……愛しい(いとしい)貴方?
私ね? 貴方がリィンと呼んでくれるようになってから、”しろねこ”であった事を捨てようと思ってた。
……辛い事、悔しい事がいっぱいあったから。
貴方と出会えた事で、今までのそれ全部を無かった事にしようって思って!
でも、ね?
今日、貴方に改めて私との出会いを祝福して貰えて……すごく嬉しかったの。
嫌な事ばっかりだったけど、”しろねこ”だった事が、貴方と出会えた切欠になったなら……私もそれを受け入れた方がいいのかもって、ちょっとだけ……思ったの。
ねぇ、私の……貴方?
貴方だけの私……リィンとして……”しろねこ”として。
私の今と、今までと、これから……全部全部、あなたに捧げていいかしら?
重くて、面倒な事ばかりの女だけど……、私……これからもずっと、貴方と一緒に生きていいかしら?
――ふふ、うん……分かってた♪
貴方なら、頷いてくるって……知ってた♪
ありがとう、世界で一番、誰よりも愛してる……愛しい(いとしい)人♪
ちゅっ♪ んっ……ぁ、ぅ……んぅっ、ちゅぅ……ぁ、む……んんっ。
んちゅぅ……じゅる、ちゅぅ……はむっ、ちゅぅ……れろぉ……んぅっ、んっ♪♪
ぷはっ♪ ふふ……また一つプレゼント♪
溶けちゃいそうなキス……貰っちゃった♪
ねぇ……プレゼントのお返しが私、なんてベタな話だけど、受け取って……貰える?
【それは潤んだ瞳の、愛らしい少女お願いであり、艶やかに濡れる恋人のお願いでもあった。
可愛らしいお願いというだけでも聞いてあげたくなるのに、そこに愛しい(いとしい)人の願いが重なるとなれば、尚更だ。
あなたは少女に小さく微笑みを返し、そっと以前より短くなり、今はあなたの贈った髪飾りが飾られている髪を撫でた。答えは勿論……。】
あっ……えへ、えへへへへ♪ ……ありがとっ♪
大好きなあなた? 腰が溶けちゃって、あなたと私が混ざっちゃったかと思う位……。
優しく、甘く、すっごく、すっごく暖かく……っ!
一緒に、いっぱいエッチしましょ? ふふふ♪