右耳の耳かき
(正位置・通常)
それでは耳かきを始めますね。
まずは右耳から始めましょうか。
家主さん、すみませんが、右耳が上になるようにお願いします。
(SE:寝返り・右耳が上)
(右・通常)
はい、ありがとうございます。
(ぎこちない喋り方)
そ、それでは・耳かき・始めます。
え?
き、緊張とかしてないし。
だ、大丈夫です。
地縛ってる間、ずっと耳かきのイメトレしてましたから!
完璧です!
家主さんは安心して私に任せてて下さい。
それでは。
行きます。
(耳かき開始)
(SE:耳かき音)
(右・通常)
大丈夫ですかー。
痛くないですよねー。
(耳かき中)
ふう。
思ってたより、人の耳の穴って小さいんですね。
難しいです。
いえ、お気遣いなく。
成仏するためにも、最後までしっかりやらさせてもらいますから。
(耳かき中)
(右・接近)
す~は~、す~は~、す~は~、す~は~。
(右・通常)
え?
また息遣いが怖いですか?
うう、仕方ないじゃないですか。
今、緊張してるんです。
あんまりごちゃごちゃ言わないで下さい。
また金縛りにしちゃいますよ。
(耳かき中)
(右・通常)
ん?
今度は何ですか?
私の膝枕がひんやりしてる・・・?
そうですね、幽霊ですから。
なぜだかは分からないんですけど、昔から幽霊は冷たいみたいです。
夏はいいですよね。
天然クーラーみたいでしょ?
うふふ。
あ、そう言えば、貞子さんが言ってました。
心霊スポットに行くと、ひんやりするのって、そういうことなんだよって。
貞子さんは大先輩なので、色々と教えて頂きたいんですけど、あの方はお忙しいので。
ほら、呪った相手にイタ電とか、10日後きっかりにお迎えに行くとか。
そういうので大変みたいです。
(手を止めて)
(右・接近)
ここだけの話しですよ。
以前、スケジュール帳を見せてもらったことあるんですけど、呪いの予定でびっしりでした。
(耳かき再開)
(右・通常)
すごいですよねえ、貞子さん。
私なんて、耳かきのイメトレしたり、アイドルの歌の振り付けを覚えたりとか、たまに家主さんの持ち物をこっそり隠したりとか。
その程度で、恥ずかしいです。
あ、気が付いてなかったですか?
この前、メガネが無い!って言ってたでしょ?
あれ私の仕業です。
ん、でも、ちゃんとすぐに返したじゃないですか、机の横に。
だって、暇だったんです。
地縛霊ってどこにも行けないから、言ってみたら強制ニートですよ?
いたずらの1つや2つ、許して欲しいです。
(耳かき中)
あ、家主さん。
動かないで下さいね。
今、微妙なところなんです。
危ないですから。
あんまり動くようだと、また金縛りしちゃいますよ。
(耳かき中)
う~ん。
耳かきって思ってたよりも難しいですね。
もっと簡単なものだと思ってました。
あの、家主さん、痛かったりしませんか?
大丈夫ですか?
あは、良かった。
もうちょっとで終わりますからね。
(耳かき中)
うん・・・っと。
大体、キレイになりました。
それでは細かい耳垢は、ふわふわした梵天というもので取り除きます。
家主さん、もうちょっとですから、じっとしてて下さいね。
(SE:梵天の音)
うふふ。
梵天、好きですか?
ふわふわで耳の中をゴソゴソされるのって気持ちいいですよね。
(SE:梵天の音)
ん~~。
(右・接近しながら)
どれどれ。
(右・接近)
ふ~~~。
ふ~~~。
んん、もうちょっとかしら。
(SE:梵天の音)
(右・通常)
ごそごそ~っと。
はい。
では、もう1度、ふーふーします。
(右・接近)
ふ~~~。
ふ~~~。
(右・通常)
ん?
どうしましたか?
え?
息が冷たくて、ゾクゾクする?
幽霊だから仕方ないですよ。
それぐらい我慢して下さい。
(右・接近)
ふ~~~。
ふ~~~。
ふ~~~。
(右・通常)
はい。
こちらのお耳は終わりです。
いかがでしたか、私の耳かき。
気持ち良かったですか?
あは。
良かった~。
下手クソって言われたらどうしようかと、ちょっと不安だったんです。
それじゃあ、反対のお耳も耳かきさせてもらえますよね?
あは、ありがとうございます。
幽ちゃん、頑張りますね!