夢への入り口 深化
沈み込んだ体。
とぷんと、水面から水中に落ちるように。暗い暗い水の中。
ゆらゆらと揺れる意識。ゆらゆら、ゆらゆら。
声に導かれて、ゆらゆら、ゆらゆら。
ボーっとした心で、考えられない。眠い、眠い、深いまどろみで、眠い。
でも、ボウヤの無意識は眠らずに、私の話に耳を傾け続けている。意識だけが深い、深い、無意識の毛布にくるまれて、安らかに、安らかに、眠っていく。
無意識もボーっとしている。無意識は、ボウヤの深い心、そう、心。
心は知っている、聞いている。お姉さんの声。私の魔法。
だから、催眠に落ちていく。深く、暗い水の中で、どんどん、呑み込まれて、沈んで、魔法の世界に、催眠の領域に、スーッと落ちていく。
心は知っている。魔法も、催眠も、おんなじ。不思議。
だから、魔法に、はまっていく。魔法という声を聴くと、催眠に入っていく。
うふふ、魔法は、おねえさん、得意なんですから。お姉さんの声を聴いているだけで。
そう、おねえさんの声を聴くと、魔法にかかっていく。おねえさんの声を聞いているだけで、深い、まどろんだ、催眠状態に落ちていく。
ボウヤの心に、おねえさんの声はやすやすと侵入してくる。
でも、ボウヤはお姉さんの声を望んで聞いているのよね。そう、言っていたものね。
ボウヤとおねえさんのお遊戯のために、ボウヤは喜んでお姉さんの声を聴いてしまう。
そうして、自ら深い魔法を受け入れてしまう。深く、トロトロとした魔法。
お遊戯のため、気持ちのいいお遊戯のため。
でも、思い出してみて。ボウヤは、これから、お姉さんとお遊戯するのでしょ。お姉さんとお遊戯するからには、ボウヤはがんばって勝たないと。そう、お遊戯は楽しくしないといけない。お遊戯は盛り上がらないと、つまらない。
お遊戯でお姉さんのいうとおりにされてばかりだと負けちゃいますよ。
だから、すこしだけ練習。
誘惑されないように、気持ちよくされないように。練習。
お姉さんの誘導に抗う練習。
じゃあ、簡単なもので。とっても簡単。気持ちよくされちゃいけない。たった、これだけ。
簡単でしょ。
そもそも、気持ちいいっていうのはですよね。何を気持ちいいっていうのでしょうね。
お姉さんだったら、あったかいお風呂に入って、ゆったりと、ボーっとしているだけでも気持ちいいし、そのあと、柔らかいお布団に入るのも気持ちいいし、朝のまどろみの中でぬくぬくのお布団の中で丸くなるのもきもちいいですよ。
そうやって、感じ方が違うものですよね。
ほら、イメージしてください。お風呂も、ベッドも、朝のまどろみも、お姉さんと一緒。
お姉さんと一緒に、いろいろ。ふふ、いろいろって、なんでしょうね。
ほら、気持ちいいイメージしちゃダメですよ。気持ちいいことを考えると、体も気持ちよくなってしまいますから。
でも、そうやって抗おうとすると、がんばらないといけない。
こうやって、「お姉さんと、きもちいいことしよ」って言われても、がんばって、想像、しないように。でも、それって、疲れるよね。
疲れてくると、意識がもっとぼんやりする。気力がなくなってくる。そうだよね。
がんばるのにも力がいるから、がんばると力が抜ける。気持ち良くならないようにしないといけないから、がんばらないと。そうすると、力が抜ける。力が抜けるとだんだん気持ちよくなってくる。
ふふ、ほら、もっと頑張って。お姉さんと、もっと気持ちいい、遊びしましょうね。
あれ?サキュバスのお姉さんから気持ちよくされないように、誘惑に抗わないといけなんじゃなかったかしら。
だから、気持ちいい遊びはいいのかな?ほら、抗おうとすればするほど、考える力がなくなってくる。
考えることができなくなってくる、ということは、それだけボウヤが疲れてきているのですよ。
ふふ、もうそろそろいいんじゃないですか?だって、頭、疲れてきちゃったでしょう。
疲れてくると頭がボーっとして、私の誘惑に抗う力がなくなってきちゃいますよ。
ボーっとしてくると、力が抜けてしまうのとおんなじ。
ほら、頭、ボーっとしてない?
ボーっとすると夢の中に入っていく。そうすると気持ちよくなって、もっとボーっとしてしまう。
力が抜けちゃう。力が抜けると、考える力も抜けてきちゃう。
考える力が抜けてきちゃうと、なんだかふわふわとして、気持ちいい。
気持ち良くなっちゃうと、頭がボーっとしちゃう。頭がボーっとすると何も考えられなくなる。
ほら、なんだか変だね。くすくす、もしかして、もう頭の中空っぽ、かな?
でもね、頭に意識が向っていると、意識の向かっていない部分の力が抜けてきちゃうのよ。
ほら、の部分にも意識を向けて。
手、足、指先、足先。
ふふ、私の言葉についてきて下さいね。
でも、言葉のいうとおりに意識を向けていると、意識の向けていないところの力が抜けそうになりますから、気を付けましょうね。しかし、逆に意識を向けていないところに意識を向けようとすると、今度は意識を向けていたところがおろそかになって、どんどん力が抜けていってしまいますよ。
ふふ、難しいですか?簡単、ですよね。
ほら、肩、ひざ、鼻、手首。ねえ、お腹の力、抜けていなかったかしら?ふふ、ダメよ、油断しちゃ。油断すると、どんどん力が抜けてきちゃうからね。力が抜けてくると、どんどん油断しやすくなっちゃいますし。
さあ、ひじ、ふともも、おでこ、のど、おしり。ほら、ちゃんとついてきてる?でも、力、抜けていっちゃってるように見えるわよ。ふふ、がんばってね。
足の裏、舌、足首、目。あっちこっちに意識を振り回されて疲れていない?
でも、ほら、覚えている?疲れてくると頭がボーっとして、私の誘惑に抗う力がなくなってきちゃうのよ。そうならないように頑張らなくちゃ。
ほら、もうあと少しで終わりよ。
ゆびの爪、背中、腰、耳、を、舐めちゃう。
ふふ、もしかして、気持ち良かった?ダメよ、ボウヤは気持ち良くなっちゃダメ。そんなことになったら、私にた~ぷり意地悪なお仕置きされちゃうのですから。
でも、油断しちゃうほどに、ボウヤは私の魔法に犯されてしまっている。ずぶずぶと深い夢の世界に落ち始めている。
もうボウヤは、抗う力、ほとんどないんじゃないかな。
だって、ボウヤ、気持ち良かったでしょう。ボウヤは気持ちいいの好き、よね。
ほら、意識は、アソコに。ねえ、欲しいかしら。「何を」って?ふふ、わかっているでしょう。わかっているのに。
ボウヤは、すでに望んでいる。
うんうん、違うわ。ボウヤは最初から望んでいるの。だって、お姉さんがボウヤの夢の中に入れたのは、ボウヤが望んでいたから。
だから、ね。ボウヤは、私のことを受け入れている。ボウヤは、気持ちいいことが大好き。
もっと深い夢に入っていくと、もっと気持ちいいこと、できるよ。
ボウヤの、好きなこと、たっぷりしてあげる。
ボウヤは私の言葉に身を任せていればいいの。
ほら、どんどんおりていく。
それは、階段を、一つ一つ降りるように。
じゅう
意識がだんだんと、ぼやけてきて
きゅう
呑み込まれるように、下に、下へと
はち
心地よい、階段。心地よい、り階段。
なな
お姉さんの合図で、ボウヤは完全に夢の中
ろく
いいえ、夢の世界に溶け込んでいく
ごー
お姉さんの夢の世界
よん
そこは、ながい螺旋階段の宮殿
さん
下りれば下りるほど、深い魔法に、深い催眠にはまっていく世界
にー
そんな世界で、いろんなお遊び、したいよね
いち
さあ、いきましょうね
ゼロ