Track 5

夢の螺旋 深化(1)

暗がりの中、一点の揺らめきを目指して、落ちていく 暗い、くらい、夢の世界。そこに揺らめく淡い光。 それは、白く、赤く、漂う炎の揺らめき。 おだやかで、見つめているとトロンとした眠気を感じる。そういう、揺らめき。 遠くに、深くに見える、その揺らめきは、やがていくつもの細かな炎へと分かれ、渦を巻く。 それは、深く、深くに、続く炎の道しるべ。渦は下へ、意識を引きずり、下りていく。 そして、ボウヤはどんどん深くへと、炎に近づく。 螺旋に続く道しるべ。道を照らす、おだやかな炎。 見つめていると、引きずられるように、炎へ、道へ、どんどん引き寄せられていく。 そして、一歩、また、一歩と近づき歩く。それは、どこから続いていたかもわからない螺旋の階段。 ときどき、見失いそうになるほど、うっすらとしたもの。より深く、より降りていくための階段。 ボウヤは、底を目指して降りていく。 ボウヤは、この螺旋の空間を少しづつ進む。 螺旋状の階段をぐるぐる、ぐるぐると、回りながら、降りていく。 すると、炎がおぼろげに、足元の感覚も、おぼろげに。 ボウヤが、どんどんまどろんでいく。 ボウヤの余分な力が抜けていく。 一歩、一歩と進む度に、まどろむ、おぼろげに。 意識がぐるぐると回るように、螺旋に引き込まれるように。 奥に何があるのか、意識するだけで、スーッと吸い込まれるように、降りていく。 一歩、一歩のはずなのに、意識だけは急速に、深く深く、降りていく。 意識がさらに、奥へ、奥へと。 深い深いの中へいざなわれて。 とてもふわふわとした心地。だから、気持ちいい。そして、心地よい。 ふふ。 ここは、お姉さんの夢の中。ここは、お姉さんのすみか。ここは、お姉さんのお遊戯場。 ボウヤは、ここへお姉さんとお遊戯をしに来たんだよね。 そう、ボウヤは、ここでお姉さんとゲームをする。この螺旋の迷宮に備えられた各部屋、それぞれの部屋でお姉さんとボウヤのお遊戯をしましょう。 ボウヤは、お姉さんの誘惑に負けないように、お姉さんの誘惑に屈しないように。 お姉さんはボウヤを溺れさせるように、堕落させるように、屈服させるように。 ボウヤが誘惑に耐えられればご褒美を。負ければ、お仕置きを。 ボウヤは、どちらが好みかしら。ふふ、ボウヤにとっては、どちらもご褒美、かもしれないね。うふふ。 お姉さんの誘惑に負けたときは、それはもう、たっぷりと可愛がって、気持ちよく搾り取ってあげる。 負けたボウヤは、お姉さんには逆らえない。だって、ルールだもの。それは、どこでも変わらない絶対のルール。敗者は勝者のいいなり。 でも、安心していいよ。だって、お姉さんはボウヤの望むこと、そう、気持ちいいことしかしないから。ふふふ。 だから、ボウヤもそれを受け入れている。お姉さんがここにいることが、その証拠。 さあ、もっと進みましょう。進めば進むほど、さらにボウヤはすべてを受け入れる。 そして、ゆっくり、ゆっくり、が進むたびに、始まりの時が近づいてくる。 怖い?やめたい?それとも、楽しみ?ふふ。 誘惑のサキュバス、その夢の中、奥深くまで来たのですから、楽しまないと。 それに、ボウヤも本当は望んでいるのでしょう。だって、お姉さんを招き、ここまで導かせたのはボウヤ自身なのですもの。 夢の中では、なんでも自由。お姉さんの魔法は自由自在。 だから、 何の 不思議も ないのよ。 矛盾なんて存在しない。すべてが起こりうる。すべてが夢。 今みたいに、ボウヤの意識の中に直接話しかけることも 何人も、同時に 話しかけることも 簡単に、できる。ここは夢。そして、お姉さんの世界。 お姉さんの。お姉さんの領域。 最後の部屋まで、がんばってきてね。ボウヤがお姉さんの誘惑に負ければ、負けるほど気持ち良くしてあげる。 さあ、まずは最初のお部屋。 いっぱい楽しみましょうね。うふふ。