夢の螺旋 深化(1)
暗がりの中、一点の揺らめきを目指して、落ちていく
暗い、くらい、夢の世界。そこに揺らめく淡い光。
それは、白く、赤く、漂う炎の揺らめき。
おだやかで、見つめているとトロンとした眠気を感じる。そういう、揺らめき。
遠くに、深くに見える、その揺らめきは、やがていくつもの細かな炎へと分かれ、渦を巻く。
それは、深く、深くに、続く炎の道しるべ。渦は下へ、意識を引きずり、下りていく。
そして、ボウヤはどんどん深くへと、炎に近づく。
螺旋に続く道しるべ。道を照らす、おだやかな炎。
見つめていると、引きずられるように、炎へ、道へ、どんどん引き寄せられていく。
そして、一歩、また、一歩と近づき歩く。それは、どこから続いていたかもわからない螺旋の階段。
ときどき、見失いそうになるほど、うっすらとしたもの。より深く、より降りていくための階段。
ボウヤは、底を目指して降りていく。
ボウヤは、この螺旋の空間を少しづつ進む。
螺旋状の階段をぐるぐる、ぐるぐると、回りながら、降りていく。
すると、炎がおぼろげに、足元の感覚も、おぼろげに。
ボウヤが、どんどんまどろんでいく。
ボウヤの余分な力が抜けていく。
一歩、一歩と進む度に、まどろむ、おぼろげに。
意識がぐるぐると回るように、螺旋に引き込まれるように。
奥に何があるのか、意識するだけで、スーッと吸い込まれるように、降りていく。
一歩、一歩のはずなのに、意識だけは急速に、深く深く、降りていく。
意識がさらに、奥へ、奥へと。
深い深いの中へいざなわれて。
とてもふわふわとした心地。だから、気持ちいい。そして、心地よい。
ふふ。
ここは、お姉さんの夢の中。ここは、お姉さんのすみか。ここは、お姉さんのお遊戯場。
ボウヤは、ここへお姉さんとお遊戯をしに来たんだよね。
そう、ボウヤは、ここでお姉さんとゲームをする。この螺旋の迷宮に備えられた各部屋、それぞれの部屋でお姉さんとボウヤのお遊戯をしましょう。
ボウヤは、お姉さんの誘惑に負けないように、お姉さんの誘惑に屈しないように。
お姉さんはボウヤを溺れさせるように、堕落させるように、屈服させるように。
ボウヤが誘惑に耐えられればご褒美を。負ければ、お仕置きを。
ボウヤは、どちらが好みかしら。ふふ、ボウヤにとっては、どちらもご褒美、かもしれないね。うふふ。
お姉さんの誘惑に負けたときは、それはもう、たっぷりと可愛がって、気持ちよく搾り取ってあげる。
負けたボウヤは、お姉さんには逆らえない。だって、ルールだもの。それは、どこでも変わらない絶対のルール。敗者は勝者のいいなり。
でも、安心していいよ。だって、お姉さんはボウヤの望むこと、そう、気持ちいいことしかしないから。ふふふ。
だから、ボウヤもそれを受け入れている。お姉さんがここにいることが、その証拠。
さあ、もっと進みましょう。進めば進むほど、さらにボウヤはすべてを受け入れる。
そして、ゆっくり、ゆっくり、が進むたびに、始まりの時が近づいてくる。
怖い?やめたい?それとも、楽しみ?ふふ。
誘惑のサキュバス、その夢の中、奥深くまで来たのですから、楽しまないと。
それに、ボウヤも本当は望んでいるのでしょう。だって、お姉さんを招き、ここまで導かせたのはボウヤ自身なのですもの。
夢の中では、なんでも自由。お姉さんの魔法は自由自在。
だから、
何の
不思議も
ないのよ。
矛盾なんて存在しない。すべてが起こりうる。すべてが夢。
今みたいに、ボウヤの意識の中に直接話しかけることも
何人も、同時に
話しかけることも
簡単に、できる。ここは夢。そして、お姉さんの世界。
お姉さんの。お姉さんの領域。
最後の部屋まで、がんばってきてね。ボウヤがお姉さんの誘惑に負ければ、負けるほど気持ち良くしてあげる。
さあ、まずは最初のお部屋。
いっぱい楽しみましょうね。うふふ。