夢の螺旋 深化(3)
ふふ、またこの螺旋の中へ帰ってきましたね。
さあ、ボウヤ。また、降りていきましょうか。
一歩、二歩と、前に進む度に、意識がだんだん、ぼやけてくる。
それは、もう、感じたよね。
足元の感覚がだんだん、うっすらとなって。
最初は、確かにあった床の感覚。
でも、今は、まるででも踏むように柔らかで、頼りない。
もし、床がなくなれば、あの底の底まで、一気に、落ちてしまう。
ふわり、ふわりとした足元。それに伴って、だんだん、意識もふわふわ、ふわふわと。
雲の上でも歩くように、あやうく、でも、心地いい。
意識がふわりと、浮遊する。すると、穏やかな心地が心を満たす。
とても穏やかで、安らいだ、安心しきった感覚。
また、一歩、足が床を踏む。包まれるような安心感。
心が弛緩する。すると、頭全体を包むような温かさを感じる。
また、一歩。温かさが、ゆっくりと下りてくる。
額に、ゆっくり、鼻を伝い、頬を包み、唇を撫でる。
温かさが、じんわりと広がる。顎を触って、のどを温め、肩の力を溶かしていく。
すると、腕の力も弛緩する。じわり、じわりと広がる温かさ。
柔らかな床に包まれるように。ふわり、ふわりと。
極上の毛布にくるまれるように温かく、そして柔らかく。
腕の力が弛緩して、温まり、指先まで達する。
そして、今度は、胸に、お腹に、腰に、お尻に、ふわふわとした感触と、じんわりとした温かさ。
温かさが、体の緊張を、不安を全部溶かしてくれる。
ぼんやりとした温かさ。広がれば広がるほど、あいまいに。
歩いている感覚があいまいに。思考があいまいに。
感覚があいまいに。
また、温かさが、じんわりと伝っていく。太ももへ、そして、ふくらはぎへ、すると、足首、足先まで。
ふわり、ふわりとした感覚。おぼろげな温かさ。あいまいな状態。
もう、一歩があいまい。溶けてしまったように。浮かぶように。
おだやかに、やすらかに。
そうしているうちに、次の部屋へ。
うふふ。さあ、また、お遊戯しましょうね。ボウヤ。