声が聞きたくて
//電話シチュエーションです。
//左耳設定でお願いします。
【舞結】
「もしもし~」
【舞結】
「えへっ、かけていいって来たから、
早速かけちゃいました」
【舞結】
「今は大丈夫なんですか?」
【舞結】
「あとは寝るだけなんて言われたら、
寝るまで話したくなっちゃいます」
【舞結】
「……ダメって言わないところが優しいですよね。
さすが年上の余裕っていうか、魅力ですね」
【舞結】
「お世辞じゃないですよぉ。
私は、考えたことしか口にしないです」
【舞結】
「あっ、ひどーい。
……まあ確かに、いろんなこと考えてますけど」
【舞結】
「どんな……ですか。
うーん……あはっ、お兄ちゃんのこと」
【舞結】
「これでいいです?」
【舞結】
「さっきも言いました。
考えてないことは口にしません」
【舞結】
「……本当ですよ?
今日も、授業中とか考えてました」
【舞結】
「あはっ、電話だと恥ずかしいことも、
けっこう言えたりするものですね」
【舞結】
「えっ、お兄ちゃんも考えてたんですか?
私のこと?」
【舞結】
「あはっ、どんなことです?」
【舞結】
「秘密はずるい~。
ほらほら、どんなこと考えてたんです?」
【舞結】
「かわいい? 私が?」
【舞結】
「……ぁ、ぁりがとぅ……ござぃます……」
【舞結】
「そりゃあ照れますよ!
人からそんなふうに言われたことないので」
【舞結】
「でも……本当に、可愛いって思ってくれてます?」
【舞結】
「それは、その……年下の妹みたいな感じで、とか、
そういう感じの、なんていうか……えっと……」
【舞結】
「つ、つまりですねっ。
女性として……とかではないですよね……?」
【舞結】
「本当ですかっ!?」
【舞結】
「(やったっ、ふふっ)」
//こっちにはばっちり聞かれてますが、本人は小声のつもりです。
【舞結】
「あ、あのっ、質問してもいいですか?」
【舞結】
「……彼女さんとかは……いないんですか?」
【舞結】
「いないんですかっ!」
【舞結】
「あっ、違うんです!
これはその喜んでるとかそういうのではなくって!」
【舞結】
「驚きというかなんというか、そのですね……」
【舞結】
「その、ですね……」
【舞結】
「ふぅぅ…………」
//ふかーく息を吐きだす感じです
【舞結】
「彼女は欲しいとか、そんなこと思ったりはします?」
【舞結】
「欲しいけど……なんです?」
【舞結】
「出会いがないんですか……」
【舞結】
「……出会ってますよね」
【舞結】
「わ……わっ、私たちは、出会ってますよね?」
【舞結】
「……だから、その……私たちはその、
偶然っていうか、劇的っていうか……」
【舞結】
「私のドジではあるんですけど、
なんかドラマみたいな出会いだったと思うんです」
【舞結】
「つまり……ですね。
そうなんです。そう……なんです、けど……」
【舞結】
「うぅぅ……」
【舞結】
「……もしよかったら、なんですけど。
あっ、お試し期間とかそういうのでも構いません」
【舞結】
「恋人候補っていうか、えっと……」
【舞結】
「私と……付き合うっていうのは、
ダメ……だったりします?」
【舞結】
「ああっ、無理にではないんです!
ほんと、無理にとかではないんです!」
【舞結】
「……えっ?
いいよってどういう意味です?」
【舞結】
「…………ええっ!?
いいんですかっ!?」
【舞結】
「確かに可愛いって言われちゃいましたけど、
年下ですよ? いわゆるJKですよ?」
【舞結】
「……本当に…………ほんっ…とうにいいんですかっ?」
【舞結】
「いっ、いえっ!
こちらこそよよしくでしゅ!」
【舞結】
「うー……噛んだ」
【舞結】
「……あらためて……あらためて、
よろしくお願いします!」
【舞結】
「とかいって私、まだ付き合うってよくわかってなくって、
だからお試し期間でダメだったら……」
【舞結】
「その時は、ちゃんと言ってくださいね」
【舞結】
「お互いにって言葉、ふふっ、いいですねなんか」
【舞結】
「ってことで、とりあえず確認しますっ!」
【舞結】
「その……友達以上恋人未満からのスタートでいいです?」
【舞結】
「あっ、違うんですね、すみません……」
【舞結】
「……えっ?
お兄ちゃん以上、恋人未満?」
【舞結】
「えっと……わかるようでわからないような……」
【舞結】
「お兄ちゃんって、呼んで欲しいんですか?
それはもちろん!」
【舞結】
「あ……私のことは呼び捨てでいいですよ」
【舞結】
「試しに、呼んでみてください」
【舞結】
「あはっ、恥ずかしがらないでいいですよ」
【舞結】
「ほぉら、呼んでくださいっ」
【舞結】
「ぁ…………あぅ」
【舞結】
「私の方が恥ずかしかったですね……。
でも嬉しいかも。えへ」
【舞結】
「ちなみになんですけど、今度のお休みはいつです?」
【舞結】
「あう……私が用事入ってた……うぅ……」
【舞結】
「(早く会いたいのに……)」
//こっちにはばっちり聞こえてますが、小声です。
【舞結】
「……えっと、その前の日の夜は空いてます?」
【舞結】
「何もないんですか……?
だと、会うのはオッケーだったりします?」
【舞結】
「やったっ!
じゃあ夜ごはんとか、一緒にどうですか?」
【舞結】
「本当に? 約束ですよ? 絶対ですよ?」
【舞結】
「待ち合わせはどこがいいです?」
【舞結】
「お疲れならお兄ちゃんの家から近いほうがいいですよね」
【舞結】
「近くの駅ってどこでしたっけ」
【舞結】
「わ、意外と近かった!
じゃあそこにしましょう!」
【舞結】
「何時ころだといいですか?」
【舞結】
「わかりましたっ。
6時半に待ち合わせで!」
【舞結】
「楽しみにしてます。
えへへ……」
【舞結】
「お兄ちゃんもそういってくれるなら嬉しい」
【舞結】
「……あのっ」
【舞結】
「お試し期間だとしても……私たち、
恋人なんですよね」
【舞結】
「あっ、お兄ちゃん以上恋人未満、ですけど」
【舞結】
「……よろしくお願いしますね、お兄ちゃん」
【舞結】
「もっとフレンドリーな話し方でって言うと?
友達と話すみたいな?」
【舞結】
「……いいんですか?
私、調子に乗っちゃいますよ?」
【舞結】
「えへっ。じゃあ遠慮なく!」
【舞結】
「あらためて……よろしくね、お兄ちゃんっ」
【舞結】
「あー、緊張したぁ」
【舞結】
「一応、なんか覚悟みたいなのはあったんだけど、
まさかこんな早くだとは思ってなかったから」
【舞結】
「でも良かった。
ちゃんと私の望みを言えたから」
【舞結】
「……そして、叶ったから」
【舞結】
「そりゃ緊張するよぉ。
だって、告白みたいなものでしょ?」
【舞結】
「今だって、まだ心臓ばっくばくだし」
【舞結】
「会ったら死んじゃうかも」
【舞結】
「大袈裟かもしれないけど、
そのくらい嬉しいし恥ずかしいしなのっ」
【舞結】
「なんか大人の余裕って感じ。
でもそれがお兄ちゃんのいいところだし」
【舞結】
「……甘えていいの?」
【舞結】
「あっ、でもそれじゃ対等じゃないし」
【舞結】
「年下らしく……でいいの?」
【舞結】
「納得いかないわけじゃなくって、
私も何かしてあげたいなぁってのもあるから」
【舞結】
「甘えたり甘えられたりがいいなぁ」
【舞結】
「あはっ、それでいいって言ったからね。
今しっかり聞いたからね」
【舞結】
「わかった。
そうだよね。マイペースでいいんだよね」
【舞結】
「……うん。
言いたいことはちゃんと言うね」
【舞結】
「お兄ちゃんもだからね」
【舞結】
「っと、お風呂入らないと。
うー、名残惜しい」
【舞結】
「うん、携帯は持ってくけど」
【舞結】
「じゃあ続きはLINEで」
【舞結】
「……ほんと、よろしくね」
【舞結】
「えへっ、私にも彼氏ができた」
【舞結】
「うん、ありがとう。
ゆっくり入ってくるね」
【舞結】
「……それじゃあね、お兄ちゃん。
ばいば~い」
//通話切る音