Track 4

前からおんぶ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 04.前からおんぶ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ //部屋。前から抱き着いてます(商品名:前からおんぶ) //口は【7】の位置。あごがかたに乗ってます 【瑠奈々】 「こ、こうでいいかしら」 【瑠奈々】 「情けない声で返事しないで。  スパっといってもらわないと、私が恥ずかしいじゃない」 【瑠奈々】 「これで、いいのよね?」 【瑠奈々】 「そ、そう……なら、よかったわ……」 【瑠奈々】 「…………」 //なんか悶々としてください 【瑠奈々】 「ね、ねぇ……やっぱりこれ、  ただ抱きついているだけ、よね」 【瑠奈々】 「私は――  ……私は、嫌じゃないわ。ただ、恥ずかしいだけ」 【瑠奈々】 「み、認めたのよ。  貴方のひらめきを」 【瑠奈々】 「だからその……受け入れたの……」 【瑠奈々】 「これ、落ち着くの?」 【瑠奈々】 「嬉しいって、答えが違うわよ」 【瑠奈々】 「私? だから嫌じゃないって――」 【瑠奈々】 「さっきの逆よね、これ……もう、私ったら……」 【瑠奈々】 「……えっと、し、正直に、言うわね」 【瑠奈々】 「……ぃぃなって、思ってる」 【瑠奈々】 「どきどきしてるの。  けれど、それもまたいいの」 【瑠奈々】 「してみたら、凄くいい感じなの」 【瑠奈々】 「もっと、ぎゅっとしたくなるの……」 【瑠奈々】 「……いいの?」 【瑠奈々】 「ええ……。  ぎゅっ……」 【瑠奈々】 「苦しくない?  つらくない?」 【瑠奈々】 「私は全然。  っていうか……」 【瑠奈々】 「できるなら、私の背中にも手を回してくれないかしら」 【瑠奈々】 「私ばかりぎゅっとしてても、  なんか、切ないのよ……」 【瑠奈々】 「ええ、いいわ」 【瑠奈々】 「ふぁぁ……」 //幸せそうな感じの何かみたいな何かを(笑 【瑠奈々】 「やだ、前からおんぶって、  こんなに……」 【瑠奈々】 「ごめんなさい。  けれど、ニヤけてしまうの」 【瑠奈々】 「あっ、だめよ。  髪、まだ少し濡れてるから……」 【瑠奈々】 「んん……やっぱり撫でて」 【瑠奈々】 「……ええ、撫でて」 【瑠奈々】 「ふふっ」 【瑠奈々】 「あやされてるみたいね。  けれど、嫌じゃないの」 【瑠奈々】 「どうしてなのかしら。  恥ずかしかったのに、落ち着くの……」 【瑠奈々】 「うん、しばらくこのままでいたい……」 【瑠奈々】 「体勢はつらくない?  無理してない?」 【瑠奈々】 「気になるのよ。  私ばっかり楽するのはイヤ」 【瑠奈々】 「癒してあげたいって、思っているから」 【瑠奈々】 「癒されてるの? 嘘はなしよ?」 【瑠奈々】 「ちょっと、姿勢変えるわね」 //今度は【3】で 【瑠奈々】 「さっきもね、素直に伝えたけれど、  貴方には、期待してるわ」 【瑠奈々】 「一緒に、頑張りましょう」 【瑠奈々】 「真面目な姿、私は見ていたから」 【瑠奈々】 「何かあれば、全力でサポートする。  もちろんカバーもする」 【瑠奈々】 「だから、お仕事頑張ってちょうだい」 【瑠奈々】 「ただ、やっぱり仕事は疲れてしまうもの。  体だけじゃなく、心もそう」 【瑠奈々】 「そういうときは……私に話して」 【瑠奈々】 「こうして癒されるのなら……」 【瑠奈々】 「……私はまたこうして、前からおんぶされてあげるから」 【瑠奈々】 「ふふっ、前からおんぶ。  名付け親は貴方よ?」 【瑠奈々】 「インパクトは絶大よね」 【瑠奈々】 「こっちもって、なに?」 【瑠奈々】 「……スタイル?」 【瑠奈々】 「……いやらしいわ。  まあ、男の人はしょうがないのだろうけれど」 【瑠奈々】 「ふふっ、変な言い方してもいいかしら?」 //ここあたりから悪魔のささやき感マシマシで 【瑠奈々】 「できれば……口に出さず、黙って楽しんで」 【瑠奈々】 「あら、そこで楽しむって言葉を否定するの?  くすっ、おかしな人」 【瑠奈々】 「だって……それを含めての、  前からおんぶ……でしょ? ね?」 【瑠奈々】 「いくら奥手な私でも、  それくらいは理解してるの」 【瑠奈々】 「私でよければ……いつでもこうしてあげるわ」 【瑠奈々】 「あ……拒否ってもいいのよ?」 【瑠奈々】 「ふふっ、むしろお願いしますなんて、  硬い言い方しなくていいわ」 【瑠奈々】 「今はオフの時間……そうよね?」 【瑠奈々】 「今の『またこうしてくれ』って言い方、かっこよかった」 【瑠奈々】 「かっこ……よかったわ。  今日ずっと……」 【瑠奈々】 「……ありがとう」 【瑠奈々】 「んんー……ぎゅってされると、  甘えたくなる」 【瑠奈々】 「私のほうが癒すって言ったのに」 【瑠奈々】 「くっついていればそれでいいの?  ええ、くっついているわよ?」 【瑠奈々】 「貴方が離れてって言わない限り、  こうしているわ」 【瑠奈々】 「こうして……前からおんぶ」 【瑠奈々】 「ふふっ、気に入ってる」 【瑠奈々】 「だってほら、ここだけにしかないものでしょ?  この部屋から一歩外に出た世界では、だっこだもの」 【瑠奈々】 「そういうの、いいなぁって思うの」 【瑠奈々】 「あら、私のキャラってそうは見えないかしら」 【瑠奈々】 「一応……仕事以外のことは何も知らない女よ? 私」 【瑠奈々】 「何度も美人って言うのね。  私の顔、好き?」 【瑠奈々】 「ふふっ、ただの好きじゃなく、大をつけてくれるのね」 【瑠奈々】 「……私も」 【瑠奈々】 「こういうこと、友達じゃしないものね」 【瑠奈々】 「なってくれるって、なにに?」 【瑠奈々】 「彼女……?」 【瑠奈々】 「……いいの? 私で」 【瑠奈々】 「ねえ、『なる』と『なってあげる』と、  どっちがいい?」 【瑠奈々】 「貴方の好みなほうで答えるわ」 【瑠奈々】 「ふふっ、じゃあ……彼女になってあげる」 【瑠奈々】 「甘えるのと、甘えられるのはどっちが好み?」 【瑠奈々】 「あら、よくばりなのね。  どっちもなんて」 【瑠奈々】 「……ふふっ、いいわ。  好きなときに、好きなほうを選んで」 【瑠奈々】 「ちなみに……今は?」 【瑠奈々】 「……ええ、こうしているわ」 【瑠奈々】 「けれどこれ、どっちが甘えているのかわからないわね」 【瑠奈々】 「もちつもたれつって、こういうときに使う言葉かしら?」 【瑠奈々】 「けれど……ふふっ、貴方の言葉のセンス、好きよ? 私」 【瑠奈々】 「ええ……好きよ」 【瑠奈々】 「ころっと落とされちゃったわね。  貴方には、そういうセンスもあるのかしら」 【瑠奈々】 「ギャップって、なにが?」 【瑠奈々】 「乙女だった? 私」 【瑠奈々】 「普段は口うるさいものね」 【瑠奈々】 「やだもう、そこは否定して欲しいわ」 【瑠奈々】 「ええ、みんなのためを思っているわよ?」 【瑠奈々】 「ありがとう。  優しいって言い方してくれると、気持ち的に助かるわ」 【瑠奈々】 「あ……でも職場ではこういうのはだめよ?  オンとオフはメリハリをつけること」 【瑠奈々】 「今? 今は……」 【瑠奈々】 「ふふっ、いまはぁ……おふっ。  ぎゅーっ」 【瑠奈々】 「きつくない?  苦しくない?」 【瑠奈々】 「ねえ、私にもして」 【瑠奈々】 「ぎゅーってして」 【瑠奈々】 「あはっ、やりかえすっ」 【瑠奈々】 「……あぁん、だめっ。  ずっとオフでいたくなっちゃう」 【瑠奈々】 「って、貴方本当に大丈夫なの?  私を彼女にして」 【瑠奈々】 「なんでって、オンでもオフでも顔を合わせるのよ?  飽きたり疲れたりしない?」 【瑠奈々】 「即答。  すごいいい返事」 【瑠奈々】 「……ふふっ、信じてるからね」 //【1】に 【瑠奈々】 「ねぇ、私美人?」 【瑠奈々】 「ふふっ。タイプ?」 【瑠奈々】 「今日思ったの?」 【瑠奈々】 「前っていつから?」 【瑠奈々】 「最初から……?  やだ、嬉しすぎるわ」 //【7】へ 【瑠奈々】 「もっと……もっともっと美人になるわ」 【瑠奈々】 「好いてくれたんだもの。  今後はもっと手を抜けないわね」 【瑠奈々】 「前からおんぶじゃなく、だっこされた時、  貴方をときめかせられるように」 【瑠奈々】 「あら、今もときめいているの?」 【瑠奈々】 「……私も……ときめいているの」 【瑠奈々】 「ねえ……」 【瑠奈々】 「恋人なら、並んで寝てもいいわよね?」 【瑠奈々】 「いいのって、ここでそれ聞くの?  ふふっ、おっかしぃ」 【瑠奈々】 「……ええ。いいわ」 【瑠奈々】 「どうする?  早速添い寝?」 【瑠奈々】 「あ……添い寝は別の言い方ある?」 【瑠奈々】 「……ないの?  じゃあ宿題ね」 【瑠奈々】 「貴方のセンス、期待しているわ」 【瑠奈々】 「それじゃ、まだこうしていたいけれど、  寝る準備をしないとね」 【瑠奈々】 「……またしてね。  前からおんぶ」 //トラック04 おわり