Track 2

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■02 あっ、お兄ちゃん……。 あの、ごめんね。わたし、これで帰るから、じゃあまたっ……。 お兄ちゃん、一緒に帰っていい? うん、大丈夫……クラスの友達。カラオケに行こうって誘われたんだけど……ちょっと、ね。 ううん、女子もいるんだけど……男子も何人かいるって言うから。それは、ちょっと無理だと思って……うん、誘ってくれるのは嬉しいんだけどね? でも、男子の前で歌うなんてできないし……友達の前でだって恥ずかしいくらいなのに……あはは……。 ねぇ……手、繋いでもいい? ううん、さっき誘われた時、いきなり手を引っ張られてちょっと驚いただけ……だ、男子に……なんだか、ちょっと嫌な感じだったから。だから、お兄ちゃんの手で、安心させて? うん、大丈夫……少し落ち着いたよ。 うちのクラス、男女の仲がいい方だから……たまにこうして、何人かでまとまってカラオケに行ったり、遊びに行ったりしてるみたい。わたしも誘われれたけど、男子がいる時にはちょっと……仲のいい女子だけならいいんだけどね、あはは……。 今、お兄ちゃんがいてくれて良かった……1人だと、断れなかったかもしれないから……うん、大丈夫。これくらいで、仲間外れにされたりなんかしないよ。仲いい子もいっぱいいるし、部の先輩にもすごい人がいるから……後ろ盾がある、っていうのかな。 虎の威を借る狐……でもいいけど、あはは。それに、そこまで心配されるほど弱くないよ? わたしだって、はっきり言う時は言うもん……た、たぶん……でも、今日はいきなりだったからちょっとね。だから、助かっちゃった……ありがとう、お兄ちゃん。 ただいま~~……あれ? お母さん、出かけてるのかな。あぁ、今日ってカルチャースクールの日だった? それじゃあ、帰ってくるのは6時過ぎだね……それまで、ゆっくりできるかな。ね、ねぇ、お兄ちゃん……ちょっと、ここに座って? いいからっ。 ジッとしてね……ん~~っちゅ。あははっ、さ、さっきのお礼……いいでしょ? ほっぺにチュウくらい、子供の頃は家族全員やってたんだし……久しぶりにしてあげたんだから、少しは喜んでよ……喜んでる? そ、そう……ならいいけど。 え? もう落ち着いたかって? うん、手を繋いでくれたから、それで……あ。う、う~~ん。やっぱり、まだちょっと、手に嫌な感じが残ってるかも。いきなり握られて、ぐいぐい引っ張られたから……明るくて騒がしい人だから、わたしはちょっと苦手……。 うん。もうちょっと、お兄ちゃんに握っててもらおうかな……ふふっ。やだぁ、指、絡ませないで? くすぐったいよ……ん、んん……やっ、あ、あぁん。指の一本一本まで、そんなにさすらなくても……え? 他の男の感触なんて、忘れさせてやる! うん、忘れさせて……あと、あとね? 肩も触られた……この辺。うん、そう……さすって? お兄ちゃんの手で、気持ち悪い感触、忘れさせて……ん、んん……え? あと? あとはなにか……えぇと、背中、かな……肩から、こうして背中まで……んっ。 んはぁ、はぁ……背中を、押されて。エスコートしてたつもりみたいだけど、いきなりそんなことされても怖いよね……わたしは、イヤだった。だから、その男子からは逃げたけど……ねぇ、立って? 相手がお兄ちゃんなら、こうするよ……。 こうして、寄り添ってると安心するから……あんっ!? お、お兄ちゃん? わたし、こんな風に抱きしめられたりしてないよ? え……全体的に触った方が、他の奴の感触なんてなくなるから? ……ふふっ。うん、そうだね。そう……。 こうしてれば、お兄ちゃんの感触だけになるもんね……そ、それじゃあ、わたしも抱きついちゃおうかなぁ……ん~~。うぅん、お兄ちゃんの胸板~~……くんくん、お兄ちゃんの匂い……鼓動、聞こえてくる……んんっ、んはぁ、はぁ……お兄ちゃん……。 うん、なぁに? もう一度……ほっぺにキスするの? 今度は反対側? ……いいよ、してあげる。屈んで? 背、大っきいから届かない……横、向いて? そんなにまっすぐ向いてたら、ほっぺにできないよ……ほっぺに、キス……んっ! んぅっ……。 んぅ、ちゅっ……んむ、んん、んっふ、ぅう……んはぁ! はぁ、はぁっ、お、お兄、ちゃん……キスしたぁ……はぁ、はぁ……ほ、ほっぺにするんでしょう? 口づけなんて、しちゃ駄目でしょう? く、口はよごされてなかったもん……。 それに、キスは……好きな人とするものでしょう? わたしのキスは、お礼のキスだもんっ、ほっぺはいいの! で、でも、口は……ごくんっ……わたしだって、お兄ちゃんは好きだけど……で、でも、兄妹の好きでは、キスはしない……よね! イヤなら、離れろ? ……イヤじゃないよ、イヤなんかじゃないけど。ううん、イヤじゃないから離れない。わたしまだ、お兄ちゃんに触っててもらいたいもん……それならキスも、唇を触るだけ? ち、違うでしょ~!? キスはキスだもんっ、別物だよ! とにかくっ、お兄ちゃんはわたしを触っていればいいのっ。こうして、抱きしめててくれればいい……そうすれば、安心するから。安心させてくれたら、また、お礼をしてあげるから……え? 先払いで欲しい? そ、そんな……だってそれは、あっ…… 。 んむっ、んっ、んんぅ……んん~~、んふっ、んっ、んん……ぷはぁ! く、苦しいよ……口づけは駄目だって……え? 鼻で息をすればいいの? そ、そっか、そうだよね……つい、口をふさがれると、息を止めちゃうけど……じゃなくてぇ! 兄妹でキスしちゃいけないんだよ? い、いけないんだよね? うぅ……だ、だって、兄妹は、恋人にはなれないから……え? なってもいいの? 恋人って言うのは、好き合ってる者同士のことだから大丈夫……それは、そうだけど……でも、その……。 す、好きだよ? わたしも、お兄ちゃんのことは大好き……クラスの男子なんていらない。お兄ちゃんだけいてくれればいいの……でも、でも……兄妹で恋人同士になるのは……き、き……近親相姦、だから……え? それがなんで駄目なのかって!? そんなこと知らない……知らないもん……でも、お兄ちゃんは、本当は分かってるんでしょう? 分かってて聞いてる……意地悪……わたしは分からないよ。教えてくれないと分からない……なら、教えない? うん、いいよ……あんまり知りたくないし。 わたしが知りたいのは、、そんな理屈とかじゃなくて……お兄ちゃんが、わたしのことどう思ってるかだけだから。わたしは、もう何度も言ったもん。でも、お兄ちゃんはまだ言ってない……言ってないの。聞こえなかったもん……だから、言って! わたしのことどう思ってるか、はっきり言って? そうしたら……キスするの、許してあげるかもよ? さっきのはナシ……覚えてない……なにもなかったよ。だから、このままなにも言わないなら、なんにもなかったまんま……うん……うん……うん。 わたしは……お兄ちゃんのことが好き。わたしも、お兄ちゃんのことが好き! 兄妹でもいいの。兄妹だから駄目だなんて、わたしは知らない。教えてくれるまで知らないから……だから、いいよ? わたしに、恋人のキス……して? あ……んんっ。 んちゅ、んっふ……んちゅ、ちゅむん! んはっ、んじゅ、ちゅっぷ。んふ、ちゅむんっ、んっ、んんぅ……んはぁ、はぁ、はあっ! お、お兄ちゃん……ベロが、入って来た……これが、恋人のキス? わたしのツバ、汚くない? ないの! わたしは平気。お兄ちゃんのツバだもん、気持ち悪くなんてないよ。むしろ嬉しいくらい……だから、ほら。何度でもできるよ……お兄ちゃん、んっ、んんぅ! ちゅ、んむっ……じゅるる、ちゅぶっ……んっふ、んんぅう、んふわ、ぷはぁっ……。 ふわぁああ!? あわわっ、お、お母さん!? あ、あははっ、なんでもないよ? おかっ、おかえりなさい……早かった、ね? うん、わたしたちも今帰ってきたところ……ちょうど帰り道で、お兄ちゃんと会ったから、一緒に……うん、あはは……。 き、着替えてくるから、そうしたら夕飯の準備、お手伝いするね。ほ、ほらぁ、お兄ちゃんもいつまでも制服のままでいないで? シャツと、体操服もあったら、洗濯カゴに入れておいてね……な、なによぅ。ニコニコして……変なお兄ちゃん……んふっ。