Chapter3:愛逢傘
Chapter3:愛逢傘
[梅雨時・家の中から雨空を眺めるふたり]
【右側・近距離】
……雨、なんだか憂鬱ね。
こんな日は学校なんか行かないで、あなたと家で本でも読みながらゴロゴロしていたいわ。
(主「サボる?」)
うふふ。別にズル休みをしたいって言ってるわけじゃないのよ?
ただ、こうやってあなたとのんびり、雨音を聴いているのも悪くないかなって、そう思って。
雫の音に耳を傾けていると、とても心安らぐように感じて、私は好きよ。
あなたも?えへ。
…………
ね、あなた。
背中、押してほしいわ。
【正面・近距離】
行ってらっしゃいって、してほしい。
(行ってらっしゃいのキスをする主人公)
ん……ちゅっ……
えへ。ありがと。
(主「行ってらっしゃい」)
ええ。じゃあ行ってくるわね。
【正面→左側・徐々に離れていく感じ】
また後で、帰りの時間に会いましょ?
(玄関の方へ進む朱音・傘を学校に忘れてきたことに気付く朱音)」
【左側・遠距離】
……あ。
(主「どうしたの?」)
【正面・中距離】
えへ、えへへ……えっと、ほら昨日、予報では雨が降るって言ってたのに、降らなかったじゃない?
それで、持って行った傘をゼミ室に置いてきちゃったみたいで……
あなたも後で学校に行くのだし、傘を借りるってわけにもいかないわよね。
うーん……
(主「じゃあ、一緒に行こうか」)
一緒にって……同じ傘でってこと?
【正面・徐々に近距離に】
※まあ、今の状況を解決するのに最良の結論だとは思うけれど……
ちょっと、恥ずかしいかも……
それに、あなたは講義まで時間があるのでしょう?
学校で暇を持て余してしまわないかしら?
(主「まあ、なんとかするよ」)
……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかしら。
[通学路を二人、相合傘で]
【右側・近距離】
やっぱり二人で入ると思ったよりも狭いわね。
あなた、肩濡れてるわよ?
別に私は、多少濡れたくらいで風邪を引くわけでもないし、平気なのだけれど……
(主「女の子は体を冷やしちゃダメって言うし」)
うん、あなたの主義に反するのよね。
本当にあなたって人は……うふふ。
ありがと。大好きよ。
……でも、やっぱりこれは少々目立ってる気がするわね。
周りの人に、度々二度見されているもの。
別に見せつけるようなつもりはないけれど……
でも、私たちの愛が滲み出てしまっているのなら、そうなっても仕方ないのかしら。
えへ。……ちゅ。(主人公の頬にキスをする)
だったらもう少しくらいベタベタしても、それは仕方のないことよね。うふ。
今日みたいにあなたにエスコートしてもらえると、多少の憂鬱も気にならないわ。
雨の日の度にこうしてもらえるのなら、私、雨の日をもっと好きになれそう。
……でも、梅雨時だとあなたへの負担が大変なことになりそうね。
いつも大変な思いをさせてるのに、それはあまりにも我儘がすぎるって、自分でもわかるし……
これからはちゃんと傘、忘れてこないようにしなくちゃ。
でも、今日みたいに少し甘えたいなって思う日には、また一緒に歩いてくれるかしら?
(主「うん。是非。」)
えへへ。その時は是非、よろしくお願いしたいわ。
ねえ、今日は晩御飯、どうする?あなたは何が食べたい?
(主「今日はハッシュドビーフが食べたい気分」)
ハッシュドビーフ……なるほど、さっきテレビで作ってたものね。
でも、冷蔵庫にある食材じゃ足りなさそうだわ。ルーも常備はしていないし。
だったら帰りは一緒にスーパーでお買い物しましょう?
ハッシュドビーフって言ってもルーやお肉でずいぶん味が変わってしまうと思うし、
あなたのリクエストなんだったら、そこはあなたに決めてほしいわ。
あなたが選んだ食材を、私が美味しく料理してあげる。
そうすれば、それは二人で作ったことになるでしょう?
(主「僕も何か手伝うよ」)
手伝ってくれるの?そうね……それじゃ、玉ねぎを切ってもらおうかしら。
私、玉ねぎってどうしても苦手で……
涙が出るって言うのもそうなのだけれど、新鮮な時の匂いがどうしても……ね。
(主「ニンニクとかも苦手なんだっけ」)
ええ、そう。にんにくなんかと一緒で、伝承の吸血鬼が苦手なものは、あまり得意ではないみたいなの。
別に退治されてしまうってわけではないのだけど、あなたが請け負ってくれるなら、それに越したことはないわ。ありがとう。
(気付いたら校門の前まで来ていたふたり)
…………と、そんな話をしていたら、いつの間にか学校についてしまったわね。
なんだか、こうやって歩きながら肩を寄せ合ってお話しするの、幸せだったわ。
あなた、こっち向いて?
【正面・至近距離】
ん……ちゅ。ちゅぅ……(少し背伸びして、主人公の唇にキスをする朱音)
えへへ。じゃあ、行ってきます。あなた。
【正面・中距離】
帰りはいつものところで待ってるから。遅れるときは連絡してね?