Chapter9:モンスターパレード
Chapter9:モンスターパレード
[ハロウィンの日、パレードイベントの会場にて]
(吸血鬼っぽいコスチュームを着た朱音)
【正面・近距離】
じゃーん。
えへへ……あなた、どうかしら、この衣装。
(主「吸血鬼の衣装?」)
ええ、せっかくのハロウィンパレードだから、ヴァンパイアのコスチュームにして見たの。意外だった?
昔の私だったら、こんな格好絶対に選ばなかったでしょうね。
自分のこの生まれがあまり好きではなかったから……
でも、あなたと出会って、あなたにこんなに愛してもらえるように、血をもらうようになって……
自分が吸血鬼の血を引いてること、多少は誇らしく思うようになったのよ?
うふふ。
【右側・耳元】
(ひそひそ話)
それにしても、この会場にいる誰も、ここに本物の吸血鬼がいるなんて思ってもないでしょうね。
私とあなただけしか知らないはずよ。
二人だけの秘密。
(/ひそひそ話)
【正面・近距離】
なんだか甘美な響きよね。そうは思わないかしら?
(スーツに狼の頭を付けた主人公を見て)
あなたのそれは……狼男さん?
なんだか顔だけ狼だと、どこかのアーティストみたいで少し面白い……
でも、狼男とヴァンパイアって、物語の中でだと対立して描かれることが多いように感じるわ。
あれって何故なのかしら?
どちらも夜が得意で十字架や銀に弱いって、共通点は多いのにね。
私たちみたいに、仲良くできたらいいのに……なんて。
ねえ、狼男さん。そんなを格好してると、私を食べちゃいたくなったりしない?
えへへ。冗談よ。
でも、私は……この格好をしてると、なんだか血が飲みたくなってしまう気がするわ。
別に形から入ろうってわけではないのだけれど……なんだか不思議ね。
ね、あなた?もしよかったら、このイベントが終わったあと……
(主「うん、了解」)
うん、ありがとv
あ、安心してね?しっかりと頂くつもりはないわ。
少しだけ、今日という日をもっと味わうためのスパイスとして、ね。
でも、こんな格好であなたの血を貰ったりしたら、あなたまでヴァンパイアになってしまわないかしら。
(主「そういえば気になっていたんだけど、」)
え?なあに?
(主「君に何度も噛まれてるけど、僕は大丈夫なのかなって」)
ああ、そのことね。やっぱり心配かしら。
大丈夫よ。噛むことで仲間を増やすって言うのは物語の中のお話。
現に、もう何度もあなたから血を頂いているけれど、特に変わったことはないでしょう?
吸血鬼……少なくとも私たちの一族に、そういった力はないらしいわ。
起源をたどればそう言うことも可能だったのかもしれないけれど、
今の私は単純に、あなたの血液を栄養源にしているだけ……
って言う表現、あまり好ましくないわね。
正直なところ自分でもよくわかっていないの。
あなたと一緒のものだって普通に食べられるし、前は長い間血を飲まなくても平気だったし……
うーん……どうなのかしら。
あなたと出会ってから、前よりも吸血鬼っぽくなったような気がしないでもないわね。
……あなたの血が、私を変えてくれたのかしら?うふふ。
大好きよ、あなた……
んぅ……そんな頭つけてたら、キスできないわね。
(主「後でするんでしょ」)
うん、そうね。後であなたから頂く時に、その時にたくさん重ねましょう。
[しばらく後]
(やっぱり人混みが苦手なので気分が悪くなる朱音)
【左側・近距離】
うう……少し気分が悪くなってしまったわ……
そういえば私、あまりこう言う人混みは得意ではなかったわね……
あなたと一緒にイベントに参加できるのが嬉しくて、少し調子にのりすぎていたわ。
あなた……もしよければ、少し風に当たれるところに連れていって貰えるかしら……
(「じゃあこっちへ」と、朱音の手を取る主人公)
ん……ありがと……
[少し離れた通り・少し回復した朱音]
【左側・近距離】
ふぅ……少し落ち着いたわ。
ごめんなさい、あなた。せっかくのイベントだったのに、また……
(主「でも、二人きりの方が好きだよ」)
うふ……あなたならそう言うかなと思った。
そうね……あまり大勢の中にいるよりも、こうやって二人きりで過ごす方が私たちらしいわね。
あなた……少しだけ手を握らせて欲しいわ……
(差し出された主人公の手を握る朱音)
えへ……ホッとできるの、こうしていると。
あなたに、ちゃんと繋ぎ止めてもらっているのがわかる……
少し肌寒くなってきた気候にぴったりの、幸せな温度よ。
(主「飲む?」と、もう片方の手首を朱音の前に出す)
……もう、そんなふうに手首を差し出されたら断れないの、わかっててやってるでしょ?
あなた。ずるいわ……
でも……そうね。あなたの血を貰えば、元気になれるかもしれないわね。
このままパレードと離れてしまうと、ハロウィンと言えど街中で浮いてしまいそうだし……
うん……じゃあ、貰いたい……
あ、でも……その狼の頭、もしよければ取って貰ってもいいかしら?
ちゃんとあなたの顔を、目を見ながら頂きたいって思うから。
(被りものを脱ぐ主人公)
……ありがと。
じゃあ、頂くわ。
【正面・至近距離】
あ……その前に……ん、ちゅ……(主人公にキスをする朱音)
ん、ちゅ、ちゅむ……んちゅ、ちゅ……ちゅぷ……
えへ……さっき、後でしましょって言ってたし、今がチャンスかなって。
じゃ、改めて……
【正面やや右より・近距離】
ん、ちゅ……ぁくっ(差し出された主人公の右手首を噛む朱音)
ん……じゅる、ぢゅるる……んぐ、んきゅ……
んちゅ、ぢゅる……美味しい……んく、ちゅる……んぐっ……
ちゅる、じゅる……んく……ちゅぷ、れりゅ……んぎゅ……
(十分に飲んだので後は血を止める動き)
れる、ちゅる……んむ、んぷ……
ん……んふぅ……んぷ、れる……ぇる……んむ……
かぷ、れる……んむ、ちゅる……ちゅるる……
んむ、ん……んぷ、ちゅ、れぇっ……ぇりゅ……
(手首を放す朱音)
【正面・近距離】
ぁふっ……はぅ……ん、ふぁ……んく……
んふぅ……
えへへ……少し元気、出てきたかも。
本当に、あなたと一緒なら私、無敵になれる気がするわ。
疲れても、傷ついても、ボロボロになっても……
あなたの愛とあなたの血が、私の心と体を無限に癒してくれるの。
あなたと一緒なら、本当にどこまでも歩いて行けるわね。
(主「僕も一緒だよ」)
あなたも同じように感じてくれているの?うふふ、嬉しいわ。
こんなにも熱く幸せにされてしまったら、私……
もう、とろとろに溶けて液体になってしまいそうだわ。
それとも、物語の吸血鬼らしく灰にでもなってしまおうかしら。
えへ……あなた。愛しているわ……
(愛のこもったやさしいキスを)
ん、ちゅ。ちゅる、ちゅ……ふぅ。
あ、そろそろ戻らないと、パレード本隊とずいぶん離れてしまっているように気がするわ。
こうしているの、とても幸せで好きなのだけれど、せっかく参加しているのだものね。
ちゃんとあなたと、最後まで楽しまなくっちゃだわ。