Chapter11:絆痕
Chapter11:絆痕
[翌朝]
(失血で気を失ったまま眠っていた主人公を起こす朱音)
【右側・近距離】
あなた……あなた……!
(主「あ、おはよう」)
「おはよう」じゃないわよ……
【正面・近距離】
はぁ……でもよかった……全然起きてくれないから、死んじゃったかと思ったわ……
ごめんなさい……こんなに血塗れしてしまって……
私、またやらかしてしまったわね……
えっと……途中からよく覚えていないのだけれど……
昨日のお酒のせいで……だよね?
とっても幸せで……気持ちよくなって……
……たぶん、あなたから勝手に血を貰ったんだと思う……
手首のとこ、痛くない?
勝手にして、そのまま眠ってしまったみたいで、全然後処理もなにも出来てないから……
そのまま傷になってる……みたい……
(恐る恐る傷口にふれる朱音、少し痛がる主人公)
あ、ごめんなさい!……痛い……わよね?
えっと……治療、させてもらってもいい……かしら?
今からだと少し遅いとは思うけれど……でも、意味はあると思うから……
ん……ありがと……ぁぷ……ん……
(傷を癒すために舐める)
ぇる、れる……れりゅ、ちゅ……んむ、ん……
ぁぷ、ちゅる、ちゅぷ……ん、ちゅ……
ごめんなさい……んちゅ……ごめんなさい……
んちゅる、んぷ……またあなたのこと、こんなに傷つけてしまって……
もう絶対にやめようって……去年のあの時、心に決めたはずなのに……
(主「昨日のは僕がいいよって言ったんだから、問題ないよ」)
え……?同意の上……だったってこと?
本当に……?
(主「本当に」)
んぅ……でも……
(主「君は少しも悪くない」)
ん……わかった。あなたの言うことだもの、嘘じゃないのよね。
でも、結果こう言う事態になってしまったわけだし、やっぱり申し訳ないわ……
(主「お酒のせいだよ」)
お酒のせい……本当はそんな言葉で片付けてしまってはいけないことなのよ?
「酔っ払っていたから」が通る世の中だったら、なんにも責任を負う必要がなくなってしまうもの。
……お酒は程々にしなくちゃっていうことが、よくわかったわ。
少なくとも、私は。(前作のChapter4のことも踏まえて)
飲み始めた時の幸せな気持ち、あの暖かな感覚は確かに覚えているもの。
きっとそこで止めておけば、こんなことにはならなかったんでしょうね……
(主「勉強になったと思えば……」)
うん、これを教訓に、自分のことをもっと把握しておかなくちゃ。
それに、幸せに振り回されるだけでなく、それを自分でコントロールすることの大切さも学んだわ。
どれだけあなたとの時間が幸せでも、それが原因で愛を蔑ろにしては元も子もないものね。
最大限努力はするけれど……慣れるまではまた、同じようなことが起こるかもしれないわ。
……こんな私だけど、次も一緒に飲んでもらえる?
(主「少しずつ慣れていこう」)
えへへ……ありがとう、あなた。
またダメになりそうだったら、容赦なく止めてよね?
あなたを傷つけたくないし、過剰な幸せに慣れて癖になってもいけないし……
後で後悔しない幸せが1番だって思うから、ね。