Track 18

Chapter18:来年の今日

Chapter18:来年の今日 [少し後、部屋の中でワイングラスを傾ける二人] 【正面・近距離】 乾杯v (ワイングラスの音) んく……(ワインを一口飲む) うふふ。これ、凄く甘いわ。 アイスワインというのだったかしら。いつか飲んだものとは大違いね。 (主「僕の血と比べてどう?」) うーん、そうね。 あなたの血の味はこのワインよりもさらにコクがあって、蕩けるような深い甘味だって言えば、少しは伝わるかしら? それに、これと違ってとてもあなたの味がするから……ね。 うふふ。 半分くらい偶然だったとはいえ、こんな素敵な夜をあなたと過ごせて、本当に幸せよ。 今日という特別な日に、こんなに素敵な舞台を用意していただけて……こうやって愛し合って。 もう、明日からの日常に戻るのが、なんだか名残惜しく感じてしまうわ…… (主「じゃあ、次の婚約記念日の予定を立てようか」) あら、次の記念日の予定?うふふ。あなた、なんだか気が早すぎない? 来年の話をすると鬼が笑うっていうけど、吸血鬼の私が笑ってしまったわよ。 (主「来年のこの日に、結婚しよう」) ……え?……結婚? えへ……えへへ…… ちょっと意外だったっていうか……全然予測できなかったわ。 2度目のプロポーズ……ってこと、よね。 えへ……なんだか素敵。 このままずっと恋人同士っていうもの、十分に幸せそうだし、しばらくはそれでいいのかなとも思っていたのだけれど…… でも、私はあなたと結婚したい。最初から、ずっとそう思っていたのよね。 強く想っていたのはもう随分前のことだったから、すっかりその気持ちは鳴りを潜めていたようね。 最初の、あなたが欲しくてたまらなかったあの日々のこと。 こんな幸せな毎日の中で、あなたの愛に溶かされて、寂しさも辛さも何もかも、あなたが忘れさせてくれたから……えへへ。 でも、今思い出したわ。 あなたとの結婚……あの時の決意を、勇気を。 (主「それで、答えは?) ……ええ。もちろんお受けするわ。 私を……あなたのお嫁さんに……して、ください。 うぅ……なんだか改まって言うの、恥ずかしすぎるわ…… でも、結婚記念日を婚約記念日と一緒にしようなんて……あなた、少し欲張りすぎない? (主「そうかな」) だってそうでしょう?毎年この日に、今日までの倍か、もしくはそれ以上愛してくれるってこと、なのよね? (主「君がそう望むなら、答えるよ」) うふふ……そんなに愛されたら、私、壊れてしまうかもしれないわねv 私も、もっとあなたに相応しい女の子にならなくちゃ…… あと1年で……あなたのお嫁さんとして、もっと完璧になってみせるわ! もしうまくできなくても……私を捨てたりしないでね?(わざとっぽく) (主「そんなことするわけない」) 「そんなことするわけない」(主人公の言葉と同時に) うふふ。あなたの答えなんてお見通し。 もう何年も一緒にいて、ずっと横で言葉を、心を交わしているの。 その間、私はずっと幸せでいられたわ。 何度も躓くことはあったけれど、それも今思い返せば、この幸せのために必要だったことだって思う。 誰かに語れる過去があることが幸せだというのなら、私は幸せ。 誰かと一緒に歩ける道があることが幸せだというのなら、私はとっても幸せ。 誰かと一緒に育める家庭があるのが幸せだというのなら、私はこれから、思う存分幸せになれる。 あなたと出会えて、一緒に歩き始めて、わたしはこの人生に「幸せ」と名付けられるようになったわ。 幸せ、幸せ。 大好きって言ってもらえる度に幸せ。 手を握り返してもらえる度に幸せ。 涙を拭いてもらえる度に幸せ。 唇を重ねる度に、幸せ。 そして、来年の今日……私たちは最高の幸せを手にする…… それは、きっとまだ触れたこともない、 私の両手じゃ抱えきれない大きさの、あなたと一緒で初めて抱(いだ)ける幸せだって、そんな気がするわ。 ……なんだかまだ実感がわかないけれど。 夢を見てるみたい…… あなたと一緒になってから、ずっとそうだって、前にも言ったかもしれないけれど…… 今回のは、特別すぎて。 でも、きっとこれから大変よ? 結婚に関すること、私ほとんど調べてないもの。 (主「僕は少し調べてる」) んむ……前から今日プロポーズするつもりだったのね? 先に調べてるなんて……抜け駆けはずるいわ。 その計画、今度からは私もちゃんと、混ぜてよね? それで、一緒にたくさん考えて……最高に幸せな結婚、しましょう? うふふ。 あなた……大好きv