第5話_よろこんで欲しくて前編
トラック5「よろこんで欲しくて:前編」
お疲れ様でしたー!
いやーやっぱりと言うか流石と言うか、先輩の働きっぷりすごかったです!
他の先輩方の演技を華麗にフォローするその様は、まさに黒子の中の黒子!
私の目にはもう先輩しか入って来ませんでしたよ!
え、「そんなに目立ってたか?」
いえいえ、私が先輩だけを追い続けてただけですよ、きっと。
先輩、このあと時間ありますか?
ええ、ちょっとだけ、二人きりになりましょう。
もちろん、その後も後夜祭までずっと先輩と一緒にいたいとは思っていますけど。
えへへ、部室、やっぱり誰もいませんね。
皆さんさぞお疲れでしょうし、今日は文化祭です。
残された特別な時間をわざわざ部室で過ごすなんて、野暮な真似はしませんよね、普通。
えへへ、じゃあ、内側から鍵をかけて……
カーテンも閉めちゃいましょうか。
これでこの部屋は密室です。
いつもは皆さんと一緒にいる場所が、今日は先輩と私、二人だけの空間……
なんだかちょっとだけ背徳的な感じ、しません?
「こんな所で何をするつもりだ」?
うーん、そろそろネタバラシしちゃいましょうか。
えっとですね、きっと後で、部活の皆さんで打ち上げなんかをやることにはなるとは思うんですが、それとは別に、
今日は私から先輩へ、労いの意味を込めたプレゼントをしようかなって。
きっと、気に入ってもらえると思いますので。
では、先輩、こちらへどうぞ。
えへへ、膝枕しちゃいます。
ちょっと、先輩~
あんまり私の太もも、撫でないでくださいよ~
ゃん!
もー、いたずらするなら、何もしてあげないですよ?
ふふ、素直でいいです。
では早速、先輩のお耳、綺麗にしちゃいましょうね~
先輩はじっとしててください。
動いたら刺さっちゃいますよ~
何って、耳かき、ですよ。
「これがしたかったのか」?
いいえ、これは今からすることの準備ですよぉ。
本当の目的はぁ、まだ内緒です。内緒の内緒ですっ。
じゃ、始めますよ~
うわぁ、ちょっと先輩?
普段からあんまりお耳のお掃除しないタイプの人なんですかぁ?
うふふー大丈夫ですよー、私に任せて下さい。
どうですか、先輩。気持ちいいですか?
痛くないですか?
痛かったら手を上げてくださいねーって、なんだか歯医者さんみたいです。
ふんふんふーん♪
先輩のお耳、まっかっか。
とってもかわいいです。
早く頂きたいですねー…
いえ?何にも言ってないですよ?
ふわぁー、奥からどんどん出てきます。
結構ゴミが溜まっちゃってますね~
んしょ、んしょ。
え?嫌じゃないですよ?
私、先輩のかわいい顔見れて、とっても楽しいです。
それに、今先輩の全部を掌握してるんだなぁって思うと、なんだかゾクゾクしてきちゃいますっ
「意外とSなんだな」って、そんなわけないじゃないですか~
私は、先輩のことが、先輩の全部が大好きな、普通の女の子なんですから。
えへ、せーんぱい。
ふふ、呼んでみただけです。
先輩はお耳掃除されるの、嫌いですか?
※そりゃそうですね、あまり他人に自分の中身を触られていい気分のする人間なんていませんし。
でも自分でしても、ちゃんと綺麗にならないですからね。
これからは私が、いつでもお耳綺麗にしてあげますよ~
ふぅ、こんなものでしょうか。
ふー。ふー。
このぽわぽわした白いところで、仕上げしてあげます。
ふわふわしてて気持ちいいでしょう?
新品の、最初のお掃除が一番いいんですよね~
うふふ、先輩、いい顔してますよ~
かわいいです。
はぁい、綺麗になりました!
では、左のお耳も拝見させてください。
そのままコロンって、頭を回していただければ。
あ……先輩の息が、お腹のとこに当たってる……
暖かいです、先輩。
あれ、こちらのお耳はあんまり汚れて無いんですね?
でも奥の方は…
ほらやっぱり。
こちらも、ちゃんとお掃除させていただきますよー
んふふー
こうやってお耳の中を覗かせてもらってるのって、なんだか先輩の中を見てもいいよって言われてるみたいです。
先輩、私に先輩の全部を見せてもらえますか?
あ、はい!
えへへへ……ありが……とう、ございます……
ちょっと、またどきどきしちゃってます……
ちょっと待っててくださいね……
はぁ……はぁ……
すぅー、はぁー
…………はい、もう大丈夫です。私が妙なことを聞いちゃって、自爆しただけです。
……全部を見せてもらうのは、今じゃなくていいですよ。
これから長い長い時間を、共に歩むんです。
少しずつ、少しずつ、お互いを知って行きましょう?
はい!ありがとうございます!
えと、それじゃ続きを………
ふんふんふーん
おぉー、やっぱりすごいですね~
これが金だったら、ゴールドラッシュですよ~
「変な例えするな」って、分かり難かったですか?
でも、先輩のお耳をお掃除してるだけなのに、なんだか楽しいです。
私、好きです。
…いいえ、もちろんお耳掃除もですが、それ以上に先輩のことが好きって言ったんです。
先輩のみみたぶ、ちょっと冷たいです。
ふわふわですねー食べちゃいたいくらいです。
ん、ん、んんー
もっと奥まで入れちゃいますよー
こんなもの、でしょうか。
それじゃ、仕上げしますねー
もふもふー、もふもふー
えへへー、先輩、どうですか?どんな感じですかぁ?
気持ちよかったなら、何よりです。
はい、おしまいです!
ええ、随分と汚れてましたから、掃除のしがいがありました。
ああ、先輩!まだ横になっててくださいよ?
言いましたよね?これは準備なんです。
今からすることが、本番なんですよ~
えへへ~