Chapter6:吸血系ちゅーちゅー
■Chapter6:吸血系ちゅーちゅー
[9月中旬、平日の気怠げな夕方]
ねえねえ、あなた。
あなたって血液型、何型?
(主「急にどうしたの?」)
ううん、ちょうど今読んでる雑誌に血液型相性診断ってのが載っていたから気になっただけ。
そう、あなたはO型なのね……
(主「そういう君は?」)
私?あたしはAB型よ。
(主「吸血鬼にも血液型ってあるんだ」)
む……失礼ね。
吸血鬼だって人間なんだから、血液型くらい存在するわよ。
だいたい吸血鬼って言っても私は殆ど人間なんだから、そこのところ忘れないでよね?
さてさて、AB型とO型の相性は~
へぇ~、ABとOは相性が良い血液型なんですって!
あ、でもなんだか色々と良くないことも書いてある…………
(主「そんな所に書いてあることは信じなくていいよ」)
うふふ、わかってる。別に全部を信じるわけじゃないわ。
でも、相性が良いんだよって書かれてると、なんていうか、裏付けされた気分になって……ね。
えーっと……あ、ほら。
AB型の女性はO型の男性を頼りにして、O型の男性はAB型の女性をたくさん愛せばいいカップルになれるって書いてあるわ。
これって私とあなたにそっくりそのまま当てはまると思わない?
(呆れた顔の主人公)
もう、なぁにその顔。
まあ、言いたいことはわかるわよ?
(近くによってくる朱音)
別に相性診断がなんて言ってたって、私達の相性は最高で、誰にも文句を言わせないって、
そんな顔をしてるわ。
(くすぐったい顔をする主人公)
あたり?うふふ……あなたの言いそうなこと、最近ちょっとわかるようになってきたわ。
もう半年も一緒に生活してるんだもの。少しずつあなたの行動が読めるようになってきたわよ?
私達時々、同じタイミングで同じことを言ったりするわよね。
あれ、私とっても嬉しいって思うの。
テレビを見ていて同じタイミングで笑ったり、はっとした時に同時に振り向いて同じタイミングで目が合ったり……
「ああ、私達同じ時間を生きてるんだなぁ」って、そう思える瞬間が幾つもあって、その瞬間瞬間をとっても幸せに思うの。
あなたも……って、あなた、さっきから携帯をずっと見てるけど、何か調べもの?
なんだか心なしかニヤニヤしてるし……ちょっと見てもいいかしら?
なになに……
「O型の血液型の人が一番蚊に刺され易い」?
ふぅ~ん……それってつまり私が蚊みたいなものだから、O型のあなたの血を美味しいって思ってるって……そういうことが言いたいのかしら?(少し不機嫌そうに)
(主「いや、別にそういう訳じゃ……」)
うふふ……いいのよ、あなた。別に怒ってはいないわ。
ただ、急にあなたの血が欲しくなっただけだから……
あ、あなたってO型だから、蚊にさされやすいんだっけ……
蚊に刺されると痒い所……どこか知ってる?
んふふふ…………
あーんむ……(朱音、主人公の足の方へ行き、足の指を噛む)
(足の指を舐めながら/)
あぷ……ちゅる、ちゅぷ……ちゅ、んぷ……
足の指って……ちゅぷ、れりゅ……蚊に刺されるととってもかゆい……んぷ、ちゅ、ぁぷ……わよね……んちゅ、れりゅ
れりゅ、ぷちゅ……汚くなんてないわ……あなたの体なんだもの……はぷ、れりゅ……汚いところなんてどこにもないわ……ぁぷ、はむはむ、ちゅる……
それに……さっきお風呂に入ったばかりだもの、むしろ……ボディソープの……んちゅ、りゅ……いい匂いがする……
ちゃんと隅々まで綺麗にしてるのね……うん、いいことだと思うわ……
(くすぐったくて抵抗する主人公)
あぷ、んぅ……もう、暴れちゃ……だめ……!
くすぐったいのはわかるけれど……あまり暴れられるとちょっと痛い……
(主「じゃあやめたらいいのに」)
いや……やめない……だって私は……あなたに「蚊に刺されたら痒いところ」を教えてあげてるんだもの……
「ごめん」って、何を謝っているのかしら?
ちゅぷ、れりゅ……別にあなたは……悪いことなんてしてないじゃない……
私はただしたいから……してるだけなのよ?
んちゅ、はぷ、んぷ……むしろ……ありがたく思って……じゅる……欲しいわ。
はぷ、ちゅ、れりゅ、ちゅぷぷ……
うふふ……あなた、なんだかかわいいわ……
それになんだか……顔も赤い……んちゅ、ちゅぴちゅぴ……
ぷぁ……ん……ふぅ…………
(/脚の指を舐めながら)
うふふ、ちょっとからかってみただけよ。
だから……えっと……
ちょっとむっとしただけで……私も大人気なかったって思うし……その……
私が人の足を舐めるのが好きな変態だなんて……思わないで欲しい……わ……
(笑う主人公)
も~、笑わないでよぉ!
………………
指……痛くなかった?
(主「慣れてないからちょっと」)
あ、やっぱり……ごめんなさい、わたしったら……
「足を舐めてるところがかわいかったから許す」……?
も……もう!なんてこと言うのよ~!
間違ったことは言ってないけれど……ううぅ…………
…………変態。
「人の事は言えない」って、それはそうだけど……
もう、いいでしょ?この話は終わり!
(主人公、足元にいる朱音に、隣に座るように促す)
うう……なんだかとんでもないことをしてたような気が……
もう、「良かった」とか言っちゃ嫌だわ……
……ねぇ?
別にあなたの血がO型だからって言う訳じゃないのだけれど、
人と人とって、遺伝子的に離れていれば離れているほど惹かれあうものだって聞いたことがあるわ。
それと似たようなものなのかどうかはわからないんだけれど、O型とAB型って、そういう理由でも惹かれ合ったりするものなのかなぁって……
それとも、単純に遺伝子の違いが血液を美味しくさせているのかしらね?
だってあなたは純粋な日本人の遺伝子を、
私は少しだけ吸血鬼が混じった遺伝子を持っているんだもの。
だからきっと私の中の本能が、あなたの遺伝子を求めているんじゃないのかなって、そう思ったの。
(主「なんだかえっちな言い方だね」)
え……?あ、いや、そんないやらしい意味で言ったのではなくて、えっと、えっと…………
(「冗談だよ」と、朱音を抱きしめる主人公)
あうぅ……もう、あなたはいつもそうやって抱きしめてごまかす……
あれ?でもこの場合、ごまかされて有利なのは私の方なのかしら?
………………
えへへ。
(キスをしようとする主人公)
あ……、キスは……ダメよ。
だって私、さっきあなたの足の指を噛んだり、舐めたりしていたのよ?
嫌……でしょう?
(主「自分でいい匂いだとか言ってたくせに」)
たしかに汚いなんて思わなかったけれど……でも、あなたは……いいの?
「君の身体が汚いわけない」……って、それ、さっき私が言った台詞じゃない……
なんだかさっきまでは私のほうが優勢だったはずなのに、いつの間にか丸め込まれてしまってるように感じるわ……
うむむ……
あ、だから……(唇を奪う主人公)
んぅ、んむ……ちゅぷ、ちゅ…………
もう、強引だわ……
(主「嫌だった?」)
ううん、嫌なんかじゃない。むしろ、心地いい。
ちょっと……さっきのは忘れてくれると嬉しいかなって思うけれど……
(主「あんなに可愛い君の姿を忘れられるわけない」)
「忘れられるわけない」……デスヨネー…………
うふふ……だったら、しっかり覚えてて欲しい。
ちょっと変態チックな私の姿も、ちゃんと覚えてて、そこもしっかり愛してくれれば、それで許してあげるわ。
「最初からそのつもり」?
あなたってば……もう…………んぷ……
んちゅ、ちゅ、ちゅぷ……
(主人公からのキスを10秒ほど)
(フェードアウト)