Chapter7:ある寒い日のお話
■Chapter7:ある寒い日のお話
[11/30夜。ソファで眠ろうとする主人公の横に朱音が]
あなた……えっと、隣、いいかしら?
うん、ありがと。
はぁ~(寒い時に手を温めるあれ)
なんだか今日は妙に冷えるわね……
この部屋、普段は全く生活に困ることはないし、いいお部屋なんだって思うけれど、今日みたいに寒い夜はちょっと辛いわ。
あなたも……ソファで眠るのは寒いんじゃないかしら。
(主「僕は大丈夫だよ」)
大丈夫だなんて……そうやって強気でいるのは構わないけれど、風邪を引いてからじゃ遅いのよ?
そもそも本当は身体が強い私がソファで寝て、あなたがあのベッドを使った方がいいとは思ってるのだけど……
(主「それは駄目」)
ほら、そうやってダメっていう。別に私は大丈夫なのに……
まあそれは置いといて……えっとね……
今日みたいに寒い日は……その……
一緒に眠ってもいいんじゃないかなって……言ってるのだけど……
(主「さすがにそれは」)
もう、なんでそんなに遠慮してるのよぉ。
覚えてないのかしら?ここに来た最初の日、私達一緒の毛布で寝てたじゃない。
それとも、あなたは私と一緒のお布団で寝るの……嫌?
「嫌じゃないけどいろいろ問題が」……?
あぁ……うん、そうね。
この前の件(3話)もあることだし……私はあまり強く言えた立場じゃなかったわね……
でも……その…………ぁぅ…………
(落ち込む朱音の様子に負けて承諾する主人公)
え……いいの……?
う……なんだか私が駄々をこねたみたいになってしまったわね……ごめんなさい。
「そんな目で見つめられたら断れない」?
えへへ……ありがと……あなた。
[ふたり同じベッド(元は主人公のもの)に入る]
やっぱり一人用のベッドだから、ちょっと狭いわね……
このあなたの家から送ってもらったベッド、最初はあなたの匂いがしててとっても心地よかったんだけど、
もうすっかり私の匂い……というより、この家の匂いになってしまったわ。
(主「キミの匂いがするの、とっても心地いい」)
もう、あなた……何を言ってるのよ……
あ、でも私も同じようなことを言ったのよね。
あなたの匂いがーなんて言って、私、気持ち悪くなかった?
「前に見た光景だから」……って……(前作Chapter10)
~~~~~~!!
もう、いつまでその話……してるのよぉ……
あの時は完全に油断してたっていうか……絶対見られてないだろうなと思っていたわけで……
だって……だってぇ…………ふえぇ…………
(「ごめん」と朱音の頭を撫でる主人公)
んむぅ~…………ばかぁ…………
お詫びに、ぎゅってして……欲しいわ。
ん…………
えへへ、暖かい……
空気はこんなに冷えきっていて、なんだか矛盾してる気もするけれど、
気温が下がって寒くなれば、こうやってあなたと寄り添って眠ることができる……
二人分の温度が合わせられるのなら、むしろ暖かい日なんじゃないかって思えるくらいよ。
あなた……あなた…………まだ眠っちゃやだ……
せっかく一緒のお布団で、こんなにも密着してるのよ?
もう少しお話したい……一緒の時間を味わいたいわ。
………………
と言ったのはいいけれど、いったい何のお話をすればいいのかしら……
(面白くなって笑う主人公)
えへへへ……わがままも考えて言わないとあなたを困らせちゃうわね。
だったらこうしましょう。
私は勝手にお話してるから、あなたはそれをただ聞いていてくれればいいわ。
子守唄代わりにでも思ってくれれば、それで。
頭……撫でていてもいいかしら?
うん、じゃあそうするわ。
お耳の所、失礼します…………
(ささやき声で/)
ふぅ…………
さっき、このベッド、前はあなたの匂いがしてたって話したわよね?
その時は私、あなたの匂いに興奮して、あまり寝付けなかったの。
だから毎日、少しだけ寝不足だったりしてたのよね……えへへ……
でもずっと使っているうちに、すこしずつ私の匂いも混ざっていって、今ではむしろそっちのほうが強く感じるの。
それでもやっぱり気をつけて嗅ぐと、そのどこかに微かながらもあなたの匂いがあって、
私達、同じ家で生活しているんだなぁって思って嬉しくなったりもするのよ?
家って、それぞれの匂いを持ってるなって感じたことないかしら?
私が最初にあなたの家におじゃました時は、「これがあなたの家の匂いなのかぁ」って思ったし、
お部屋に入った時なんかはそれにいつものあなたの匂いが混ざって、とても素敵に感じたものよ。
最初にこの部屋に引っ越してきた時にはこの部屋独特の、
きっと前まで住んでた人と、しばらく誰も住んでいなかった期間の匂いを感じてた。
でももうこの部屋はそういった雰囲気の匂いでも、もちろんあなたの家の匂いでも私の家の匂いでもない。
あなたと私のふたりが生活している空間の匂いになっていると思うの。
こういった寝具からや、カーペットや、洗濯したてのお洋服からだって。
こうやって匂いに注目してしまうの、もしかしたら私の吸血鬼の血が関係してるのかもしれないけれど、どうなのかしらね。
今は……私の匂いのするお布団に、さっきのお風呂で使ったシャンプーやボディソープ、それにあなたの匂いもする。
あなたの匂い単品だと少し興奮してしまうのだけれど、他の匂いと一緒に嗅ぐと、とっても落ち着く匂いになるのね。
まるで私の中であなたが眠っているような、そんな錯覚すら覚えてしまうの。
私、ちょっと変かしら?
(首を横にふる主人公)
うふふ、あなた、まだ起きていたの?
でも、そうやって否定してくれるってことは、あなたも同じことを思ってるってこと……よね?
…………
……寝たふりしてるでしょ?
もう……そうやって都合の悪い時には黙ってしまうんだから……
でも、それもあなたにとっての肯定だって、私にはもう理解できるわ。
大好き……大好きよ、あなた……v
(耳を甘噛みしたり舐めたり/)
はぷ……ちぅちぅ……ちゅる、ぁむ……
ほら、体ぴくってした……まだ起きてるのね……ちぅ……
はぷ、ちゅ……なんだか恥ずかしいことをひとり語りしていたおかげで……ぁぷ、ちゅ、んむぁむ……
あなたへの「好き」が……れりゅ……私の中でいっぱいになってしまったわ……
んちゅ、んぷ、れる、ちゅ……はむぁむ、りゅ、んぷ……
こうやって……れる、ちゅ、ちぷ……解消させて……?
ちゅ、れりゅ、んぷ……ぁふ……あなた……あなた、好き……ちゅぷ……れりゅ、ぁむ……
大好き……ちゅる、れりゅ、ぷちゅ……大好き……あぷ、はむ……愛してる……ちゅぷ、くぷ……
(主人公、体を逸らしてそっぽを向く)
(/耳を甘噛みしたり舐めたり)
(/ささやき声で)
やぁ……なんで逃げるのよぉ……
へ?「興奮しすぎ」?
あは、あはは……そう……だったかしら?
だって同じベッドで同じ布団で、こんなに近くにあなたがいるのよ?
ドキドキしてこんなことをしてしまうのは当然だと思うの。
(主「じゃあやっぱりソファで寝るよ」)
あ、待って……(パジャマの袖を掴む)
行かないで…………寒いの……
もう調子に乗ったりしないから……お願い……?
(しぶしぶ戻る主人公)
えへ、やっぱり戻ってきてくれた。
作戦大成功……にひひ。
(むっとした主人公が朱音の耳元に口を)
あ……ひゃっv
あ、あなた!?急に何を…………
(朱音の耳を舐めだす主人公)
ぁふ、ひゃぁ……あ……ん…………ちょっと……ぅ……あなたぁ……v
急に……っ……ぁ……お耳……舐めちゃ……らめ……ゃ…………ぁ…………
わかった……わかったから……ぁ……ひゃ……っ…………ちょっ……まって……ん……
(耳舐めをやめる)
はぁ……はぁ…………ふぅ…………
お耳……舐められるの……こんなにドキドキ……っ……するのね…………
確かに……こんなことされていたら……眠るどころじゃ……ない……わよね……
ん……ごめんなさい…………
……え?「こんなになるなんて思ってなかった」?
あ……やっぱりあなた、私をリラックスさせてくれようとしていたのね……
えっと……ほら、急にされたから身構える暇がなかったのよ、きっと。
だから、ね?ほら、いいわよ。もう一度……お願い……
(主人公、朱音の耳をぺろりとひと舐め)
ひぁふっ…………!
……っは……はぁ……はぁ…………
………………
えっと、やっぱりダメみたい……ね。
今まで何度か耳元で囁いてもらって……とっても気持ちよく思っていたし、
あなたも同じように囁いたり、お耳を噛んだり舐めたりっていうのを気持ちよさそうにしていて……
私も同じように感じたかったのだけれど……ちょっと無理かもしれないわね……
うーん、嫌なんかじゃなくて、むしろいっぱい愛してほしいのだけれど、
「あなたに舐められてる」って思うと、体がビクッてなって、意識が飛んじゃいそうになって……
えっと、だから……
私のお耳は囁くまでにして……舐めるのはもうちょっと待ってくれると……嬉しいのかなって……思うわ。
ごめんなさい……私もなんでこんなふうになってしまうのか、全然わからなくって……
あなたの愛を、もっと受け入れたいのに……うぅ……
(涙ぐむ朱音の背中をポンポンと叩く主人公)
ぁ……やぁ……そんな風に背中をポンポンしないで……
もう私、子供じゃないんだから……
………………
ねえ……あなた。
良かったらこのまま抱きしめていて欲しいわ……
うん、そんな感じ……
ありがとう……気持ちいいわ……
でも、ちょっとショック……
私、あんなに耳が弱いなんて……なんだか恥ずかしい……
だってこんなふうに、自分で触ってもなんともないのよ?
なのにあなたに舐められた途端あんなふうに……
あなたは「そんなとこもかわいい」っていうんでしょうけど、やっぱりあんなはしたない所、大好きなあなたにはあまり見せたいものではないわよ……
うん、この問題はしばらく保留ね……
今日はもう遅いし、早く寝ないと、明日の学校に支障が出てしまうわ。
うん、このまま……このまま眠りたい……
大好き……愛してるわ……あなた……
あなた…………あなたぁ………………
……………………(少し苦しそうな寝息)
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