⑬回想 ~初出勤前~
【聡】
「なぁ、ほんとに夜から朝まで働くのか?
女の子なんだし、いろいろ危ないんじゃ…」
【理紗】
「だーいじょうぶだってっ!
店長さんがついててくれるみたいだし、なんかあっても問題ないよ」
【聡】
「うーん……でもなぁ……できれば昼間とかのほうがいいと思うんだけど……」
【理紗】
「んもぅっ! だからぁ、夜のほうが時給高いんだって!
さとちゃん、うちの事情知ってるでしょ?」
【聡】
「まぁな……でも、それでもさ……」
【理紗】
「私ね……親に甘えるだけの子供になりたくないの。
まだ学生だけど……だからって、この思いは変わらない」
【理紗】
「今まで私を育てるために頑張ってくれた分、お父さんにはラクしてもらわないと……」
【聡】
「……うん、そうだな……そこは俺がとやかく言うところじゃないし……
それに、りさのそういうとこ、俺好きだし……」
【理紗】
「ふふっ、もう、さとちゃんったら口がうまいんだから……ん~~~、ちゅっ☆」
【聡】
「て、照れるよ……思ったことを素直に言っただけだからさ……」
【理紗】
「ううん、私もね、さとちゃんのそういうとこ、好きだよ……
だから、私にもしもなんかあったら……ちゃんと、守ってね?」
【聡】
「わかった……せっかく付き合ってるんだし、彼氏らしいこと、しなくちゃな」
【理紗】
「うんうん、その意気その意気~っ!
んじゃ、今日の夜からだから、家帰って準備してくるね」
【聡】
「あぁ…また明日な」
【理紗】
「うん、また明日ね!」