トラック3:お互いに好き同士だって気づくお話
(テスト後、前日に言ってたお店にて)
あむ、はむはむ、ごくん。
んー、このチョコパフェ、とってもおいしい!
えへへ、今日は連れてきてくれてありがとう!
でもさぁ、テレビでやってたお店に恥ずかしくて一人で行けないからって、テスト期間中に誘うってのはどうかと思うんだぁ。
え?ここ平日のお昼にしかあいてないんだ。へぇ~。
「本当に甘いもの好きなんだな」って、それはお互い様でしょ~?
いっつも私がお菓子を作ってくると、それはもう子供みたいに目を輝かせてるでしょ?
まぁ、私も好きでやってるんだからあんまり人のことは言えないんだけどね。
ね、君のも一口ちょうだい?
えーい、勝手に取ってやるー!
はむ!
んー!こっちのイチゴパフェもおいしいー!
えへへー
そうだ!ちょっと話は変わるんだけどぉ
君が今回、テストで勝って私に命令したかったことって、なんだったの?
いいじゃんいいじゃん、どうせテストはもう終わっちゃってるんだし、ここまで勝ち負けが見えてる以上叶えられっこないことなんだから!
その言い方は傷付く?えへ、ごめーんね?
でも、私にどんなひどいことをしようとしてたのか、すっごく興味あるから、ね、教えて?
「そんな目で見るのは卑怯」……そうかな?
君ぃ、こうやって上目遣いで瞳をキラキラーってさせるの好きなんだ……へぇー……
ちょっとドSさんだねぇ……
ま、私はそう言うの嫌いじゃないけど……
んで、どんなお願いしたかったの?
観念して言うてみい~ほれほれー
え?引かない引かない!大丈夫だって!
ほらぁ~早く早くぅ~
……え?私と付き合いたい……?
もー、冗談きついんだからぁ!
ふ、ふざけないで本当のこと言ってよ~
冗談じゃ……ない?心からそう思ってる?
それって、私のことが好きってこと、でいいんだよね?
えへ、えへへ~
そっか~、君は私のことが好きなのか~へぇ~
あ、待って!帰らないでよぉ~
……えっと、じゃあ私の命令、今やってもいいかな?
だって、君のは聞いちゃったし、ここで私が命令しちゃっても何の問題もないでしょ?
どうせテストは勝ってるんだろうし!
こほん。
それじゃ言うね。
私の命令は……
君、私と付き合いなさい!
……どうしたのよぉ、そんなキョトンとしちゃってぇ
本気なのかって、だから言ったでしょ?
この変わらなく流れる日常を終わらせて、幸せをつかむための願いだって。
何度も言わないよ?思ったよりずっと恥ずかしかったんだから……
うん、そう。
私たち、同じこと考えてたみたいだね。
とっくに好き同士だったのに、それに気が付かないなんて、君は鈍感だねぇ。
あ、それを言ったら私も一緒か!あははは、はは……
ね?本当なんだよね?本当の本当に、私のこと好きなんだよね?
だって疑いたくもなるよ!ずっと好きだった人が「本当は両思いでしたー」なんて、漫画の世界のお話だもん。
うん、うん、そうだね。嘘みたいな話だよ、こんなの……
うん、とっても嬉しい。
とってもとっても幸せ……だよ?
……ありがと。私のことを想っててくれて。
私も、ずっとこう言えたらいいなって思ってた。
君の隣でただの幼なじみでいれるだけでも幸せだし、変に告白してその場所すらなくなってしまうのが怖かったんだ。
でも、好きで、いいんだ……よね?
えへ、えへへへ……
あれ?なんで、こんな、涙が……
ぐすん、んぅ……
ん、ありがと……
んもー……だいじょうぶ…だってばぁ……
あっ……
えへへ、あったかい。
君の胸、とっても広くて、なんだか心強いね。
そっか、こういうことができるのが「恋人」なんだね……
ね、もうしばらくこのまま……いいでしょ?
ずっとこうすることを夢見てたんだ。
君と好き同士になって、お互いの暖かさを、存在を、愛情を確かめるためにぎゅって抱き合うの。
とっても素敵……だと思うでしょ?
ふふ、よかった。
えぇ?いつもとキャラが違う?
ふんだ!女の子はね、好きな人の前ではこんな風になっちゃうんだよ~
みんながみんなじゃないかもしれないけど、私はそうなの!
もう、気分が削がれちゃった。
はい、おしまい。
こんな人目に付くとこであんまりベタベタしてると、見られちゃうよ?
それもいいねって、君、そういうのが好きなの……?
私は……二人っきりの時以外あんまりくっついて欲しくないかな……
だってだって、恥ずかしくない?
それに、まだ慣れないから……
君は、こういう経験今までにあったりする?
そうだよねー、ないよねー
いやいや、バカにしたいわけじゃなくって、
幼なじみの私の知らないところでそういう関係の子が居たんだとしたら、ちょっとショックかなぁって。
そっか、初めてなんだね。
お互いに初めて同士で好き同士だなんて、なんだか素敵……
ええ、そうだよ。女の子はみんな乙女なの。
恋する乙女だから、こんな風にべたべたに甘いセリフだって出てくるんです。
んふふっ
……でも、どうしよっか。
何がって、テストの話だよー
どっちも同じこと考えてたんなら今回の約束、なんの意味もないでしょ?
だったら別のお願い、しちゃおうかなって。
うーん、そうだなぁ……
ね、テストの結果が出るまで考えてていいかな?
うん、ありがと!
それじゃ、そろそろ帰ろうか。
ほら、外、もうこんなに暗くなってる……
手、つないで帰ろっか。
違うよー、これはテストの命令じゃなくって、恋人としてのお願い。
だめ……かな?
えへ、そうやって黙っててを握ってくれるのって、なんだか君らしいね。
初めてなのに、初めてじゃないみたい……
だってずっと君のこと見て育ってきたんだもん。
なんとなく、わかるんだ。
えへへ、幸せ。
私、とっても幸せだぁ。