Track 2

深化

 やさしい波に抱かれて水面を漂う。  とても気持ちいいいわよね。  このままゆらゆら揺られているだけで、あなたはとても安らいで、もっともっと深い深いリラックスに沈んでいくわ。  それこそ海の中に沈んでいくようにね。  どう?もっともっと深い深い世界を体験してみたい?  深い深い真っ暗な世界に沈んでいって、もっともっと海と一体化してみたい?  うふふ・・・いいわよ答えなくても、してみたいに決まってるもんね。  じゃあ私の声についてきてね、あなたをもっともっと深い深いところに誘導してあげる。  深い深~い気持ちのいい場所にいざなってあげる。  ここはどこ?  ここは海の上。  水面ゼロメートルね。  あなたが求める幸せの世界は、やすらぎの世界は、ず~っと深い所にあるの。  あなたはこれから私の誘導に従って海に沈んでいくの。  海に沈むにはどうすればいいと思う?  そうね、やっぱり身体を重くするのがいちばんよね?  だからこれから私があなたの身体を重くしてあげる。  まずは力を抜きましょう。  まずは両肩、両肩から力を抜いて・・・両肩から力が抜けると、両腕の力も抜けてくるよね。  両肩から意識して力を抜いていくと、力が指先までず~っと押し出されるように抜けていくわ。  次は腰、腰はからだの重心だから、腰の力をす~っと抜くと、お尻から太腿までつながりながら力が抜けていくの  太腿まで力が抜けると、そのまま脚のつま先までまたす~っと力が逃げていくわ。  手足がだらーんと広がって、まるで海月みたいに身体の力が抜けていく。  肩と腰の力が抜けると、その間にある背中や脇腹の力も抜けるわ。  身体の力が抜けると全身だらーんとして気持ちよくなっちゃう。  残るは頭、首から意識して力を抜いていくと、頭の力も自然に抜けていくわ。  頭の力を抜くと、頭の中の力も抜けて、頭の中が海月みたいに真っ白になっちゃうのよ。  全身の、頭の力が全部抜けると、いよいよ身体が重くなってくるわ。  だらーんと投げ出した足が重くなる。  重く重くなって、ゆっくり沈んでいく・・・ズブズブと沈んでいくわ。  でもそれが不思議と気持ちいい。  脚が重くなると腰も重くなるわ。  気持ちのいい重み、確かな重み。  重くなって重くなって、腰までズブズブと沈んでいくの。  腰の次は胸と両腕、力が抜ければ抜けるほど重くなっていって、ゆっくり沈んでいく。  重く重く気持ちよくなって、ズブズブ沈んでいく。  そして頭、頭の中が真っ白に、海月になっちゃったあなたは水の中でも平気。  そう安心するとどんどん重くなって沈んでいく。  重く重くなって、気持ちよく沈んでいく。  沈めば沈むほど深い深い気持ちのいい世界に入っていく・・・って、当たり前よね?  あなたはゆっくり重くなって。  ゆっくり沈みながら。  ゆっくり深く入っていくの。  (できれば効果音を水中用に・・・)  どう?水中に入ると、私の声以外がすぅっと遠くなるでしょ?  これであなたは今までよりも私の声に集中しやすくなったわ。  このままどんどん深~い所に沈んでいくと、周りの音や感覚が水の壁に阻まれて、どんどん遠くなっていくわ。  そろそろ1メートルぐらい沈んだかしら?  水面にいたときよりも、ちょっとだけ周りがくら~くなっているの気づいた?  これからあなたは深いところに沈んでいくけど、沈んでいけばいくほど、私の声と自分の中の感覚に没頭していくようになるわ。   そんな事を話しながらだけど、そろそろ2メートルぐらい潜ったかしら?  だんだん周りが暗くなって。  だんだん周りが遠くなって。  わたしの声だけがあなたに届く。  そうね、海底まであと97メートル。  沈めば沈むほど、深さの数が大きくなればなるほど、あなたは私の世界に没頭していく・・・。  あと96メートル。  まだまだ実感は弱いかもしれないけど、これからどんどん深く深~くに潜っていけば、どんどん深く・・・。  95メートル。  深い世界に。  94メートル。  海の底へ。  93メートル。  私に導かれて。  92メートル。  91メートル。  90メートル。  もっと深く。  89メートル。  88メートル。  87、86、85、84、83、82、81、80メートル。  暗くなる、深くなる、深く入っていく。  私の声に導かれて、深い深いところへ・・・。  79、78、77、76、75、74、73、72、71、70メートル。  深く深く入れば入るほど、まわりが暗くなればなるほど、あなたの頭の中は白くなっていく。  真っ白になっていく。  そう、思い出して・・・あの海月のようにきれいな白に・・・。  69、68、67、66、65、64、63、62、61、60。  もう世界は真っ暗。  あなたの頭は真っ白。  59、58、57、56、55、54、53、52、51、50。  真っ暗な世界で、真っ暗なだけの世界で、あなたの頭の中の白さだけがぼうっと浮かび上がる。  とてもキレイね。  49、48、47、46、45、44、43、42、41、40。  頭の中の白さに集中してくると、もっと深く入る準備が自然にできるようになるわ。  39、38、37、36、35、34、33、32、31、30。  深くなる、深く沈む、気持ちいい。  深く、深く・・・。  29、28、27、26、25、24、23、22、21、20。  まわりは真っ暗、あなたの頭だけ真っ白。  まわりはしーんと静まり返って、私の声だけしか聞こえない。  19、18、17、16、15、14、13、12、11、10。  うふふ・・・深い深ーい海の底  もうなーんにも解らない。  9、8、7、6、5、4、3、2、1メートル・・・。  もう海の底まであとちょっと、一番深くて気持ちのいい場所。  今あなたは海の底のすぐ上をゆらゆら漂ってる。  最後の1メートルはゆっくり降りましょう。  そう、ゆっ・・・くり沈んでいくわぁ。  0メートル。  さあ、一番深い場所についたわ。  あなたは一番深く入って。  一番頭を真っ白にして。  一番私の言うとおりになる事ができました。  大好きな私の声に深く深く集中できるようになったの。  嬉しいでしょ?  楽しいわよね?  でももっともっと楽しいことがあるの。  それをこれから教えてあげる。